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親が死亡した後、相続で兄弟がもめないための方法

2021年12月14日

親が死亡した後、相続で兄弟がもめないための方法

もめる事の多いケース

親の面倒を見ていた兄弟姉妹がいる

兄「私は両親の面倒を見ていたのだから、他の兄弟姉妹には遺産を相続する権利は無い!」

弟「いや、遺産相続は兄弟姉妹平等にするべきだ!

こんなトラブルが起きてしまうことがたびたびあります。

このケースの兄のような方が多めに遺産を相続することを、民法では「寄与分」といいます。

この「寄与分」については法律でこのように定められています。

共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、(省略)相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。

【民法904条の2】

つまりどういう事かというと、

「亡くなった方の財産の維持・増加に特別の貢献をした人は、多めに遺産相続しても良い」

ということが書かれているのです。

計算方法は具体的に決まっているわけではありませんが、

この「寄与分」が認められるためのハードルは非常に高いと考えておいてください。

相続人(遺産を相続する人)同士の話合いで遺産の取り分の話し合いをすることが原則ですが、どうしても話合いがまとまらない場合は調停を、調停でもまとまらない場合は家庭裁判所での審判によって、取り分が決定します。

実際に「寄与分」について争った事例などを見ても、調停や家庭裁判所の審判の結果が自身の主張通りになるというケースは非常にまれです。

相続人同士のこれからの関係性などを考えても、できるだけ相続人同士の話合いで解決できるように進めていくことが良いでしょう。

子供がいない

亡くなった方に子供がいない場合、

遺産を相続する権利は配偶者と兄弟姉妹が得ることとなります。

また、兄弟姉妹が先に亡くなっているときは、兄弟姉妹の子(甥・姪)に遺産を相続する権利が移ります。

このように、亡くなった方との関係性が遠くなればなるほど、トラブルが発生する可能性は高くなりがちです。

例えば、亡くなった方が自宅を所有していて、配偶者と一緒に住んでいるようなケースでは、このようなトラブルが発生することがあります。

妻「夫と一緒に長年住んでいた自宅は、当然私が相続して住み続けます!

兄弟姉妹「私たちも相続する権利があるから、見合った財産をもらわないと納得いかない!

妻「現金も無いし、自宅を売らないといけなくなってしまうの・・・?

相続では、預貯金だけでなく不動産などの財産も評価して、遺産の総額を計算します。

想像していたよりも地価が上昇していて、自宅を相続すると兄弟姉妹に渡す遺産がなくなってしまうなんてことも起こってしまう可能性があるのです。

結果、自宅を兄弟姉妹とで共有しないといけなくなったり、

最悪の場合、売却して出ていかなければならないといったこともあるのです。

また、遺産の分け方の話合い(遺産分割協議)は、相続する権利がある人(相続人)全員が参加しなければならないのですが、

関係性が遠い相続人がいたときに話合いがまとまらず、

相続税の申告の期限に間に合わない!といったトラブルもあります。

兄弟姉妹の妻(夫)が過度に介入する

兄嫁「もっと遺産をもらえるように弟を説得しなさい!

兄「(嫁の意見に従おう・・・)

弟「兄嫁は介入しないでくれ!

こんなケースもしばしば起こります。

この場合、遺産を相続する権利は兄と弟にあって、兄嫁にあるわけではありません。

しかし、遺産は兄の家庭に入るので、兄嫁が取り分について主張するということがあります。

関係性の薄い相続人(前妻との子など)がいる

前妻との子「私たちは離婚してから苦労していたのだから、正当な取り分をもらわないと納得できない!

現在の妻と子「苦楽を共にしてきたのは私たちだから、遺産は分けたくない!

こんなケースもしばしばあります。

前妻との子との縁が切れていたとしても、法律上の親子関係がなくなるわけではありません。

つまり、前妻の子も遺産を相続する権利が発生し、現在の妻と子だけで遺産相続の手続きを進めてはいけないのです

もめないようにすべき生前対策

遺言書を書いておく

遺言書には、「誰にどの遺産を相続させるのか」を記載します。

相続をめぐるトラブルのほとんどは遺産の分け方をめぐって引き起こされます。

事前に遺言書を書くことで、回避できるトラブルが多くあります

さらに遺言には「付言事項」と言って、家族への最後のメッセージを記載することができます。

相続をめぐるトラブルの多くは、遺族同士の気持ちの摩擦が引き起こすことが多いのです。

生前対策の様々なテクニックも大事ですが、

ご自身の想いを伝えることが最も大切なことかもしれません。

ただし、遺言書を作成する際は必ず相続に詳しい税理士のチェックを受けてください。

その理由は2つあります。

  1. 遺産の分け方で相続税が何倍も変わってしまう事がある!
  2. そもそも遺留分を侵害している遺言書はトラブルを予防できない可能性がある!

相続に詳しい税理士に依頼することで、遺産の総額を適切に評価したうえで、トラブルを回避する遺言の書き方をアドバイスしてもらえます。

間違った遺言は、逆にトラブルを引き起こすようなことにもなりかねません!

遺言は書き方の形式を間違えてしまうと無効となってしまうおそれがありますので、

できれば公証役場で作成する「公正証書遺言」を作成することをおすすめします。

公正証書遺言を作成するためには、2名の証人に公証役場に同席してもらう必要があります。

将来相続人になる人(推定相続人)は承認になることができませんが、

公証役場で証人を紹介してもらう事が可能です。

生前対策を税理士にお願いする場合は、その税理士に証人として同席してもらえるか聞いてみましょう。

生前贈与を活用する

生前贈与を活用することで、多くの遺産を遺したい人に、前もって財産をうつすことができます。

確かに、相続税の計算上も3年よりも前の生前贈与は相続財産から除外されます。

しかし、それぞれの相続人が相続すべき遺産の割合(相続割合)を計算するうえでは、生前贈与した財産は「遺産の前渡し」として考えます。

つまり、相続割合を計算するうえでは、

その贈与が無かったものと仮定して、それぞれの相続人が相続すべき遺産の額を計算するのです。

これを、「特別受益の持戻し」と言います。

しかし、2019年の法改正で「特別受益の持戻し免除」が認められることとなりました。

どういうことかと言うと、

贈与した人が「生前贈与したお金は持ち戻ししなくても良い」と意思表示をすることで、相続割合を計算するうえで、相続財産に生前贈与したお金を加えなくてもよくなったのです。

この「特別受益権の持ち戻し免除」は、口頭でも成立しますが、

相続人間のトラブルを避けるために、きちんと書面に残すようにしましょう

生命保険を活用する

死亡保険金は、相続税の計算上「相続財産」として扱われますが、遺留分の計算からは除外されます。

遺留分をわかりやすく言い換えると、相続することが最低限補償されている遺産の割合のことを言います。

遺留分は法律で決められていますので、基本的には必ず守らなければなりません。

特定の子供などに多くの遺産を相続させることが決まっているような場合には、

死亡保険の受取人をその子供にしておくことで、

「遺留分の計算上の財産」が減り、他の相続人に遺す遺産を減らし

さらに死亡保険金から遺留分に相当する額を支払うことができます

ただし過去の裁判事例では、あまりに多額の生命保険に加入するなどした場合に、

「遺留分の計算からの除外は認めない」とされているケースもありますので、

必ず専門家の意見を聞きながら進めるようにしましょう。

ただし、他の相続人からすると不公平感を感じることは否めませんので

「トラブルを予防する」というよりは、「トラブルが起きても守る」ようなイメージかもしれません。

生前のコミュニケーション

これが最も効果的な対策かもしれません。

相続をめぐるトラブルの多くは、亡くなった方と遺族、または遺族同士のコミュニケーションが足りないことで起きています。

「お金の話は何となく避けたい」という国民性もあるでしょうが、

大切な家族の気持ちが離れ離れにならないためにも、

生前から相続について話す機会を設けて、時間をかけて話し合うことが大切です。

生前対策せずにお亡くなりになったときは

生前対策をすることなく相続が発生した場合、

当事者間では解決の糸口が見つからないことが多くあります。

弁護士を立てると、やり取りはスムーズになりますが、

今後の家族仲もギクシャクしてしまうことも想像されます。

そうなる前に、相続に詳しい税理士に相談して、中立的な立場から財産の正しい評価をしてもらい、一緒にお互いの「落としどころ」を探していくことが有効です。

相続のトラブルの多くはお互いの感情のすれ違いから引き起こされます。

第三者が間に入ることで、そのようなトラブルの潤滑油になるということはよくある話です。

まとめ

相続は、誰しもが何度も経験するものではありません。

言ってみれば、ご遺族の全員が初心者なのです。

慣れない相続の手続きで多くのストレスを抱える中、

感情が問題をますます複雑化させて、お互いの立場を思いやることを忘れてしまったりします

起きている問題を正しく整理し、できるだけ円満に相続を進めるためにも

第三者として税理士を選ばれる方が多くいらっしゃいます。

ただし、相続が得意な税理士はあまり多くありません。

税理士に依頼したとしても、担当税理士によって納税額は何倍にも変わってくることがあります

税はそれだけ特殊な税金なのです。

相続については、落とし穴に気づかなければ大きな損をしてしまう可能性があるので、自己判断で進めていくのは大変危険です

私たちは相続に特化した税理士事務所として、「相続初心者の方向け」のサービスを徹底しています。

多くの方が感じている税理士の敷居の高さを壊して、安心して任せていただけるよう、

わかりやすいサポートを行うことをモットーとしています。

相続税の概算や、生前対策の相談なども行っておりますので、お気軽にご連絡ください。

ウェブ面談も受け付けておりますので、ご希望の方はお申し付けください。

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