【初心者向け】遺産相続の税金はどのくらい?無税になるためには?を簡単解説
2021年12月17日
遺産相続でかかる税金(相続税)とは
遺産相続でかかる税金(相続税)を言い換えると、
「遺産を相続した人が、相続した遺産の分だけ払わなければならない税金」と言うことができます。
つまり、遺産を相続した人だけが払う税金なのであって、遺産を相続しない人は税金を払う必要がありません。
ただし、遺産を相続した人が全員、相続税を払わないといけないわけではありません。
相続税は、遺産の総額が一定額をこえた人だけに課される税金なのです。
この、相続税がかかるかかからないかの境界線である「一定額」のことを「基礎控除」と言います。
※基礎控除については後ほど説明します。
さらに、相続税は「遺産に含めなくても良い財産」や、「税額控除」と言う相続税額を引き下げる項目など、特別扱いするものが法律などで細かく決められています。
これらを考慮したうえで、最終的な相続税額が確定していくのです。
相続税の計算のしかた
相続税について、みなさんが最も知りたいことは
「相続税はかかるのか?」
「いくら相続税がかかるのか?」
だと思います。
ご自身の状況を把握するためにも、まずは相続税の計算のしかたを簡単に学びましょう。
ざっくりと相続税の計算の流れを説明するとこのようになります。
【相続税計算の6ステップ】
2-1遺産の総額を計算する
▼
2-2遺産の総額から基礎控除額を引く
▼
2-3相続人全員の相続税の総額を計算する
▼
2-4実際に相続する割合に応じて相続税の総額を按分する
▼
2-5税額控除を引く
▼
2-6それぞれの相続人が負担する相続税額が計算完了!
それでは、これから、相続税計算のそれぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。
2-1遺産の総額を計算する
「遺産」と聞くと、「財産」のようなイメージを持たれるかもしれませんが、
相続税を語る上での「遺産」はこのイメージとは少し異なります。
相続税の計算の基礎となる「遺産の総額」とは、
現預金や株式、骨董品といった財産も、
借金や未払の税金などといった債務も、
死亡保険金や死亡退職金といった少し変わった財産も、
プラスもマイナスも全部ひっくるめた総額のことを言います。
プラスの財産からマイナスの財産を差し引きして、遺産の総額を求めていきます。
プラスの財産には、現預金、不動産、株式や投資信託といった金融商品だけでなく、貴金属や骨董品、自動車なども含まれます。
これらのプラスの財産を、亡くなった時の時価で評価していくのです。
相続税の計算において、特に不動産の評価は税理士の腕の見せ所です。
実は、相続に詳しい税理士は世の中にあまり多くはありません。
「年に1件しか相続税の申告をしなかった」なんてことはザラにあります。
相続に特化している税理士事務所であれば、不動産の評価を引き下げるようなノウハウをたくさん持っています。
不動産は、額が大きくなりがちなだけに、納税額に与えるインパクトがとても大きいのです。
借入や未払の税金については、相続税額をざっと計算するうえでは、
大きな額の借入金や未払金を把握しておけばよいでしょう。
死亡保険金と死亡退職金については、「財産」としてカウントしなければなりませんが、それぞれ下記の額までは非課税とされているので、この計算式の金額をこえた部分だけを「プラスの財産」としてカウントしましょう。
500万円×法定相続人の数
※法定相続人とは、法律上、遺産を相続する権利が認められている人のことを言います。
ここでは代表的な3パターンだけ押さえておきましょう。
- 子供がいる場合は配偶者と子供が法定相続人になります。
- 子供がいない場合は、配偶者と親が法定相続人になります。
- 子供も親もいない場合は、配偶者と兄弟姉妹が法定相続人になります。
2-2遺産の総額から基礎控除額を引く
先ほどご紹介したように、
相続税は、遺産の総額が一定額をこえた人だけに課される税金です。
この、相続税がかかるかかからないかの境界線である「一定額」のことを「基礎控除」と言います。
つまり、遺産の総額が基礎控除を下回る場合には、
「相続税の心配はいらない!」
ということになります。
基礎控除は、このような計算式で計算することができます。
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
※法定相続人とは、法律上、遺産を相続する権利が認められている人のことを言います。
ここでは代表的な3パターンだけ押さえておきましょう。
- 子供がいる場合は配偶者と子供が法定相続人になります。
- 子供がいない場合は、配偶者と親が法定相続人になります。
- 子供も親もいない場合は、配偶者と兄弟姉妹が法定相続人になります。
基礎控除額が計算できたら、2-1で計算した遺産の総額から基礎控除額を引きましょう。
2-3相続人全員の相続税の総額を計算する
相続税の計算方法で特殊な点はここです。
みなさんのイメージでは、
「2-2までの計算で出てきた金額に税率をかけるんでしょ」
と思われたかもしれません。
これはよくある間違いです。
相続税の計算では、
まず、(実際に相続するか否かとは関係なく)法定相続分通りに相続したと仮定して、それぞれの相続人が相続する計算上の遺産を計算し、それぞれの相続人の相続する計算上の遺産に、それぞれ税率をかけて税額を計算します。
その税額を全て足して「相続税の総額」を計算します。
実際に相続人それぞれが負担する相続税額は、
それぞれの相続人が実際に相続した遺産の割合に応じて、
「相続税の総額」を按分して計算するのです。
税額を計算する場合は、こちらの早見表を参考にしてください。
【平成27年1月1日以後】 相続税の速算表 |
||
法定相続分に応じて取得した遺産の額 |
税率 |
控除額 |
1,000万円以下 |
10% |
- |
3,000万円以下 |
15% |
50万円 |
5,000万円以下 |
20% |
200万円 |
1億円以下 |
30% |
700万円 |
2億円以下 |
40% |
1,700万円 |
3億円以下 |
45% |
2,700万円 |
6億円以下 |
50% |
4,200万円 |
6億円超 |
55% |
7,200万円 |
例えば、法定相続分通りに相続したと仮定した場合の遺産が4,000万円とすると、
その税額は
4,000万円×20%-200万円=600万円
となります。
※法定相続分とは、法律で決められた、相続人の遺産の取り分の割合のことを言います。
ただし、これは単なる計算上の割合なので、実際の遺産相続はこの割合に従う必要はありません。
ここでは代表的な3パターンだけ押さえておきましょう。
- 子供がいる場合は配偶者が1/2、子供が1/2です。
- 子供がいない場合は、配偶者が2/3、親が1/3です。
- 子供も親もいない場合は、配偶者が3/4、親が1/4です。
それでは、相続税の総額までを実際に計算してみましょう。
現預金:5,000万円
不動産:9,000万円
借金:2,000万円
このケースの遺産総額は、
5,000万円+9,000万円-2,000万円=1億2,000万円
基礎控除額は、
3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円
遺産総額から基礎控除額を引くと、
1億2,000万円-4,800万円=7,200万円
そして、法定相続分通りに相続したと仮定した場合の、それぞれの取得する遺産は、
妻:7,200万円×1/2=3,600万円
子:7,200万円×1/2×1/2=1,800万円
子:7,200万円×1/2×1/2=1,800万円
それぞれの取得する遺産に税率をかけると、それぞれの計算上の税額は、
妻:3,600万円×20%-200万円=520万円
子:1,800万円×15%-50万円=220万円
子:1,800万円×15%-50万円=220万円
※税率表は下記に記載しています。
相続税の総額は、
520万円+220万円+220万円=960万円
と、このようになります。
【平成27年1月1日以後】 相続税の速算表 |
||
法定相続分に応じて取得した遺産の額 |
税率 |
控除額 |
1,000万円以下 |
10% |
- |
3,000万円以下 |
15% |
50万円 |
5,000万円以下 |
20% |
200万円 |
1億円以下 |
30% |
700万円 |
2億円以下 |
40% |
1,700万円 |
3億円以下 |
45% |
2,700万円 |
6億円以下 |
50% |
4,200万円 |
6億円超 |
55% |
7,200万円 |
2-4実際に相続する割合に応じて相続税の総額を按分する
相続税の総額が計算出来たら、次は実際の相続税の負担額を計算します。
ここまで、遺産の総額を「法定相続分」で分けて相続税の総額を計算してきましたが、
この「法定相続分」は、あくまで「相続税の総額」を計算するために用いただけの分け方なので、
実際の遺産相続は法定相続分通りでなくても構いません。
例えば、相続税の総額が300万円で、妻が財産の2/3を、子供が財産の1/3を相続する場合は、
妻:300万円×2/3=200万円
子:300万円×1/3=100万円
この額が、それぞれの相続人が負担する相続税額となります。
2-5税額控除を引く
それぞれが負担する相続税額が計算できたら、最後に「税額控除」を引きます。
税額控除とは、一定の条件があてはまる方は税額を減額することができる制度です。
相続税の税額控除は6種類あります。
以下、その税額控除の内容を簡単にご説明します。
- 贈与税額控除
相続開始前3年以内に、亡くなった方から贈与された財産がある場合、その贈与の対象となった財産は、「遺産」として考えて相続税の課税対象となってしまいます。
ただし、贈与したときにすでに支払った贈与税と同額を、相続税から引くことができます。
- 配偶者控除
配偶者の法定相続分と1億6,000万円のいずれか多い方の金額までは相続税がかからないという制度です。
- 未成年者控除
相続人が未成年である場合、満20歳になるまで、1年につき10万円まで相続税を引くことができる。
ただし2022年4月1日以降は、「未成年」が18歳に引き下げられるので、18歳になるまでの年数に応じて10万円を引くこととなります。 - 障害者控除
相続人が障害者である場合、満85歳になるまで、1年につき10万円まで相続税を引くことができる。
なお、特別障害者である場合には、満85歳になるまで、1年につき20万円まで相続税を引くことができる。 - 相次相続控除
今回発生した相続の前10年間で、今回亡くなった方が相続税を支払ったことがある場合に、以前支払った相続税の一部を、今回の相続税から引くことができる。
- 外国税額控除
亡くなった方の遺産が外国にあって、その遺産について外国で相続税をかけられた場合、日本で払う相続税を一定程度引くことができる。
2-6それぞれの相続人が負担する相続税額が計算完了!
それぞれの相続人が実際に相続する遺産の割合に応じて、相続税の総額を按分したら、
そこから税額控除を引けば、それぞれの相続人が負担する相続税額が計算できます!
相続税が無税になるためには
これからご紹介する相続税の税額を下げる方法は、ごく一部にすぎません。
相続対策は、人や家庭によって、その方法は多種多様です。
それらをここでご紹介してしまうと、
かえって混乱しますので、あえて基礎中の基礎のみをご紹介することにしました。
(ただし、基礎中の基礎といっても、とても重要な話です!)
「どういう対策を取れば良いの?」
「支払う相続税はどのくらい?」
といったご相談がある方は、初回面談は無料ですので
是非一度、当事務所にご相談ください。
遺産の総額が基礎控除をこえていなければ無税
「2-2遺産の総額から基礎控除額を引く」でご紹介したように、
遺産の総額≦基礎控除
となった時点で相続税はかかりません!
もちろん、「遺産の総額」の中には、
不動産や自動車、骨董品のように、パッと見ただけでは価値がわかりづらいようなものも含まれます。
「遺産の総額」についてご不安な方は、
初回面談は無料ですので、是非一度、当事務所にご相談ください。
遺産の分け方で無税に。ただし次回の相続は要注意!
「2-5税額控除を引く」でご紹介した配偶者控除を利用する方法です。
配偶者控除とは、配偶者の法定相続分と1億6,000万円のいずれか多い方の金額までは相続税がかからないという制度です。
つまり、配偶者が相続する遺産は少なくとも1億6,000万円までは無税になるのです。
ただし、配偶者が亡くなった時は、
「配偶者が相続した遺産+配偶者がもともと持っている財産」
に対して相続税がかけられますので、
税額が低くなりそう!という直観だけでこのような分け方を選択するのは注意が必要です。
一旦、配偶者に多く遺産相続させて、次の相続までの間、時間をかけて相続対策を行うなど、プランを立ててから遺産の分け方を決めていきましょう。
非課税枠や税額控除などを活用する
「2-1遺産の総額を計算する」で、生命保険と死亡退職金は「500万円×法定相続人の数」だけ非課税になることをご紹介しました。
また「2-5税額控除を引く」では、それぞれの相続人の税負担を軽減する6種類の制度についてご紹介しました。
(配偶者控除については特にインパクトが大きいので「3-2遺産の分け方で無税に。ただし次回の相続は要注意!」で紹介しました)
このような制度を活用することで、税負担を軽減できます。
贈与を活用する
- 年間110万円までの贈与は非課税
- 子供や孫の住宅購入資金の贈与は3,000万円まで非課税
- 30歳未満の子や孫への教育資金の贈与は最大1,500万円まで非課税
※ただし相続開始前3年以内に、亡くなった方から贈与された財産がある場合、
その贈与の対象となった財産は「遺産」として考えられ、相続税の課税対象となってしまいます。
自宅の敷地が8割減!特例を使って税額を下げる
亡くなった方の自宅の敷地の面積のうち、330㎡までの相続税評価額が80%も減額されるという制度があります。
これを「小規模宅地等の特例」と言います。
ただし、この特例を適用するためにはいくつかの要件があります。
この特例は、適用されるための要件が複雑になっています。
専門的な話になってしまうので、ここでは割愛させていただきますが、
この特例を適用するためには相続税の申告が必要なので、
相続に詳しい税理士に相談して、ご自身がこの特例を使えるかどうか、聞いてみましょう。
当事務所でも、初回面談は無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
不動産を活用する
相続税の計算において、不動産はこのような特徴があります。
- そもそも市場価格よりも安い評価になりやすい
- 相続税を減額する仕組みがたくさんあります
- そもそも市場価格よりも安い評価になりやすい
相続税は、亡くなった人の持っている資産の「時価」で計算することとされています。
ここでいう不動産の「時価」は、土地については「路線価」、家屋については「固定資産税評価額」をもちいることとされているのですが、ほとんどの場合、これらは市場価格よりも低く設定されているのです。 - 相続税を減額する仕組みがたくさんあります
「3-5自宅の敷地が8割減!特例を使って税額を下げる」でご紹介した小規模宅地等の特例の他に、不動産には相続税の評価額を下げる仕組みがたくさんあります。
相続に詳しい税理士が相続税申告を手掛ける場合、その不動産の形状、立地、使い方などによって、数多くの制度を組み合わせて減額させていきます。
非常に専門的な話になってしまうので、ここでは詳細は割愛しますが、不動産の活用は、相続税対策に非常に有効な手段です。
まとめ
相続税の申告は、誰しもが何度も経験するものではありません。
言ってみれば、ご遺族の全員が初心者なのです。
税理士ですら相続税については詳しくない税理士が多いので、
みなさんが相続について詳しくないのは当然のことです。
何と、税理士に依頼したとしても担当税理士によって納税額は何倍にも変わってくることがあるくらい、特殊な税金なのです。
相続税は落とし穴に気づかなければ大きな損をしてしまう可能性があるので、自己判断で進めていくのは危険です!
私たちは相続に特化した税理士事務所として、「相続初心者の方向け」のサービスを徹底しています。
多くの方が感じている税理士の敷居の高さを壊して、安心して任せていただけるよう、
わかりやすいサポートを行うことをモットーとしています。
相続税の概算や、生前対策の相談なども行っておりますので、お気軽にご連絡ください。
ウェブ面談も受け付けておりますので、ご希望の方はお申し付けください。
無料相談! WEB面談も可能です。
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