相続税はいつまでに払う?遅れるときや払えない時の対処法は?
2021年12月05日
相続税はいつまでに払えば良い?
期限は「10か月」
相続税は、申告期限も納付期限も同じです。
相続税の申告・納付期限は、死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。
イマイチわかりづらい表現なのでかみ砕いて説明すると、
「亡くなった日の2か月前の翌年」です。
余計に分からなくなったかもしれませんが、例えば、
令和3年4月15日に亡くなったら、令和4年2月15日が期限
令和3年1月20日に亡くなったら、令和3年11月20日が期限
と考えるとイメージがつきやすいですね。
※死亡したことをすぐに知ることができる人の場合
つまり、この日までに遺産相続に必要な資料を集めて、遺産の分け方を決めて、相続税額を計算して、納税資金を準備して・・・といった工程を全て完了させなければならないのです。
「10か月」と聞くと長そうな印象を受けるかもしれませんが、遺産の分け方が難航したり、相続に慣れていない税理士の先生が担当したりすると、ギリギリになってしまうことがあるので要注意です!
10か月の期限に間に合わないときや、納税資金が足りない場合には、これからご紹介する対処法もありますので、ご検討ください。
「10か月」の例外
相続税の申告・納付期限は「死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」とご紹介しましたが、ここでは例外となるケースをいくつかご紹介します。
- 死亡した日の後日、死亡を知った場合
別居していたり、音信不通だったりした方が亡くなった場合、亡くなったことをタイムリーに知ることができない事が多々あります。
相続税の申告・納付期限は「死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」とありますが、この「死亡したことを知った日の」がポイントです。
いつ死亡したことを知ったのかがわかる資料を必ず取っておきましょう。
郵便物などであれば、封筒に消印がありますので、封筒も捨てずに取っておいてください。
相続税の申告の際に、こういった資料も添付して税務署に提出しますので、相続に関係する資料は「何も捨てない」か「税理士に相談する」かが鉄則です。 - 法定相続人以外の人が遺言によって遺産相続された場合
遺言によって遺産相続することを遺贈と言います。
遺贈された方は「遺贈があることを知った日の翌日から10か月以内」が相続税の申告・納付期限となります。
この場合も①と同様、いつ死亡したことを知ったのかがわかる資料を必ず取っておきましょう。 - 「死亡したことを知った日の翌日から10か月」が土日祝日の場合
「死亡したことを知った日の翌日から10か月」が土日祝日の場合、その翌日以降の平日が申告・納付期限となります。
相続税の申告・納付が遅れたときの罰則は?
特例の適用ができなくなる
相続税の申告では、税額を大幅に下げることができる特例が多くあります。
代表的なものでは、小規模宅地等の特例、配偶者の税額の軽減、農地の納税猶予、事業承継税制といったものがありますが、これらの特例は申告期限を過ぎてしまうと適用できなくなってしまいます。
特に利用する方が多い小規模宅地等の特例は、亡くなった方の自宅の敷地が330㎡までが80%減額されるといったように、納税者にとって非常に有利な特例となっています。
※小規模宅地等の特例は申告期限後に適用できる例外がありますので、『2-1分割がまとまらなくて納付が遅れる場合』をご参照ください。
ペナルティの税金が追加で課される
相続税の申告・納付が遅れた場合、4つのペナルティが課される可能性があります。
どのようなペナルティがあるのか、簡潔にご紹介します。
- 延滞税
納期限までに全額の納税が間に合わなかった場合、この延滞税が課されます。
計算方法は納付する日数によって税率が変わるため、少し複雑になっています。
令和3年12月31日までは、下記のような税率になっています。
納期限の翌日から2か月を経過する日まで:年2.5%
納期限の翌日から2か月を経過する日まで:年8.8%
※1円未満切捨て - 無申告加算税
その名の通り、「申告が無かったこと」による加算税のことを言います。
この場合、通常は納付すべき税額の5%が課されます。
しかし、納付よりも先に税務調査が入ってしまうと、この加算税の税率は上がってしまいます。
具体的には、
税務調査の通知があった時~税務調査着手前であれば、納付すべき税額の10%(税額が50万円をこえる部分は15%)
税務調査着手後であれば、納付すべき税額の15%(税額が50万円をこえる部分は20%)
となります。
ただし、災害などの「正当な理由」がある場合には、無申告加算税が免除されることもありますので、そのような場合には早めに相談されることをおすすめします。 - 過少申告加算税
本来納付すべき税額よりも少ない額を申告してしまった場合、この過少申告加算税が課されます。
過少申告加算税の税率は、追加で納付しなければならない税額の10%となっています。
追加で納付が必要な税額が50万円よりも高額である場合、または、追加で納付が必要な税額が既に期限内に納付が完了した税額よりも高額な場合は、次の計算式の税額が更に加算されることとなります。
(追加納税額-期限内に申告した相続税額または50万円のいずれか大きい金額)×5% - 重加算税
相続財産を隠ぺいまたは仮装していた場合、つまり意図的に財産隠しをしていた場合には、この重加算税が課されます。
重加算税の税率は、相続税の申告書を提出していた場合と、していなかった場合とで異なります。
相続税の申告書を提出していた場合:35%
相続税の申告書を提出していなかった場合:40%
相続税の納付期限までに払えないときの対処法
分割がまとまらなくて納付が遅れる場合
例え遺産分割が難航して、申告・納付期限までにまとまらない場合であっても、相続税の申告・納付は期日通りに行わなければなりません。
そのため、法定相続分通りに財産を相続したものと仮定した申告書を税務署に提出する必要があります。これを「未分割申告」と言います。
そうすると、『2-1特例の適用ができなくなる』でご紹介したように、相続税を大幅に減額する特例が適用できなくなってしまいます。
しかし、未分割申告を行う際に、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出することで、3年以内に遺産分割を確定させれば、小規模宅地の特例と配偶者の税額の軽減の特例を適用することができます。
さらに、分割が完了できないことにやむを得ない事情がある場合には、「遺産が未分割であることについてやむを得ない自由がある旨の承認申請書」を、申告期限後3年を経過する日の翌日から2ヶ月を経過する日までに提出すると、この「3年以内」の期限をさらに延長することができます。
こういった手続きは、ひとつの誤りや提出忘れが取り返しのつかない事態を招くこととなります。ご自身で判断して進めるのではなく、必ず相続に詳しい税理士の先生の指示をあおぐようにしてください、
お金がなくて納付できない場合
「延納」を利用して最大20年間の分割払いをする
相続税額が10万円をこえている方で、所定の要件を満たした方には、利子税がかかるものの、相続税を最大20年間の分割払いを行うことが認められています。
相続税額が10万円をこえていること以外の所定の要件は、このようなものがあります。
- 金銭で納付することが困難であること
- 延納申請書を申告期限内に提出すること
- 担保を提供すること
延納は誰でも利用できるわけではありません。
相続財産の状況、その方がもともと持っている現預金の状況、生活費、将来の収入や支出などを整理して税務署に提出したうえで、延納税額に相当する担保を提供するなどしなければなりません。
時間と労力を要する手続きですので、相続税を払えなさそうであれば、すぐに相続に詳しい税理士に相談してください。
「物納」を利用して不動産などのモノで納付する
先ほど『3-2-1「延納」を利用して最大20年間の分割払いをする』で延納についてご紹介しましたが、延納を利用してもなお、税額を払うことが不可能であると認められる場合には、不動産などの現物を納税に充てることができます。これを物納と言います。
物納は、相続財産の状況、その方がもともと持っている現預金の状況、生活費、将来の収入や支出などを整理するだけでなく、特に土地を物納に充てる場合には、司法書士、不動産鑑定士、不動産事業者などと連携した細かな物件の整備が必要となります。
手続きの難易度が非常に高いため、物納は全国でも年間数十件程度しか行われないのが現状です。経験上、物納を検討される場合は、亡くなってから1日でも早く物納の経験のある税理士に依頼して進めていく事が成功の秘訣です。
新型コロナウイルスの影響で手続きが滞ってしまった場合
昨今の新型コロナウイルスの影響により、令和2年4月、相続税の申告・納付期限の延長が認められました。新型コロナウイルスの影響で書類が準備できなかったり、遺族間の話し合いができなかったりした場合に、これを適用すると申告・納付期限が延長でき、ペナルティがかかりません。
このような場合に該当する方は、税理士の先生に相談してみましょう。
おわりに
相続税の申告は、「正しい手続きが命」です!
自己判断で進めることは大変危険です。また、相続に不慣れな税理士に依頼することも危険です。税理士が手掛けたにもかかわらず、ミスだらけの申告書も過去に多数見てきました。
相続税は税負担が大きく、少しの手続きで納税者の負担が見違える様に変わることもあります。
相続が発生した後、円満に相続を完了させる秘訣は「1日でも早く、相続に詳しい税理士に相談すること」に尽きると言っても過言ではありません。
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