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相続税を減少させる効果がある制度

2021年09月06日

相続税を減少させる効果がある制度

相続税の非課税財産

墓地等

墓地や墓石、仏壇、仏具、神などを祭る道具など日常礼拝をしているものは相続税の非課税財産となります。
ただし、投資の対象としていいるものや骨董価値があるものなどは相続税が課税される財産となります。

もし、ご自宅の敷地に庭内神し(『ていないしんし』といいます)がある場合には、その庭内神しの用に供されている敷地部分は相続税が非課税となります。

庭内神しとは地蔵尊、庚申塔、お稲荷様などのご神体を祀り日常礼拝の用に供しているものをいいます。

国、地方公共団体などに寄付した財産

相続または遺贈により取得した財産を、相続税の申告期限までに国、地方公共団体などに寄付した場合は、その寄付した財産は相続税の非課税となります。

生命保険金

相続税の生命保険金は非課税枠が設けられております。生命保険金の非課税は、次の要件を満たす必要がございます。

  • 被相続人の死亡を保険事故として支払われる保険金であること
  • 死亡保険金の保険料の全部または一部を被相続人が負担していること
  • 死亡保険金の受取人が相続人であること(相続を放棄した人は含まれません)
  • 非課税金額は 
    500万円 × 法定相続人の数 = 非課税金額

※ 法定相続人の数とは相続の放棄があった場合にはその放棄がなかったものとした場合における相続人の数のことを言います。

養子がいる場合の取り扱いですが、法定相続人の数に含める養子の数は実子がいるときは1人。
実子がいないときは2人までとなります。 

死亡退職金

被相続人の死亡によって支払われた退職手当金はすべて相続税の課税対象となるわけではありません。
相続人が取得した退職手当金のうち非課税限度額までの金額は相続税の課税対象とはなりません。

非課税限度額は次の計算式で計算します。
 500万円 × 法定相続人の数 = 非課税金額

※ 法定相続人の数とは相続の放棄があった場合にはその放棄がなかったものとした場合における相続人の数のことを言います。

養子がいる場合の取り扱いですが、法定相続人の数に含める養子の数は実子がいるときは1人。実子がいないときは2人までとなります。 

この計算式は生命保険金の非課税限度額の計算と同じです。

※退職手当金とは
受け取る名目にかかわらず実質的に被相続人の退職手当金として支給される金品をいいます。従って、金銭ではなく現物で支給されたものも退職手当金に含まれます。

弔慰金

被相続人の死亡によって受ける弔慰金や花輪代、葬祭料(『弔慰金等』といいます)については非課税となります。しかし、弔慰金等の名目で受け取ったが実質的には退職手当金に該当する場合は、退職手当金として相続税の課税対象となります。

その場合、先ほど説明させていただいた退職手当金の非課税限度額部分までは相続税の課税対象とはなりません。

【弔慰金の非課税限度額】

受け取った弔慰金等の金額が次の金額までは非課税となります。

  • 被相続人の死亡が業務上の死亡であるとき
     被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する金額
  • 被相続人の死亡が業務上の死亡ではないとき
     被相続人の死亡当時の普通給与の半年分に相当する金額

※ 普通給与とは
 給料、賃金、扶養手当、勤務地手当、特殊勤務手当などの合計額を言います。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例は税務的には非課税とはいいません。
正確に言うと『評価減』といいます。
要件に合致した時だけ該当する土地の評価額を減額することができる制度です。

ただ、いずれにしても相続税が減額されることには変わりないので説明させていただきます。
この特例は要件多いので概略だけ説明させていただきます。

特定居住用宅地等

相続開始の直前において、被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で一定の要件に合致する場合は、その宅地のうち330㎡に達するまでの地積については土地の評価額を80%減額することができる制度です。

この特例ですが配偶者は無条件で適用することができます。その他の相続人は同居要件など満たす必要があります。

特定事業用宅地等

相続開始の直前において、被相続人等の事業(不動産賃貸業を除きます)の用に供されていた宅地等で一定の要件に該当する場合には、その宅地のうち400㎡に達するまでの地積につては土地の評価額を80%減額することができる制度です。

貸付事業用宅地等

相続開始の直前において、被相続人の事業(不動産賃貸業や準事業に限ります)の用に供されていた宅地等で一定の要件に該当する場合には、その宅地のうち200㎡に達するまでの地積については土地の評価額を50%減額することができる制度です。

準事業とは、事業と称するに至らない不動産貸付で対価を得て継続的に行うものを言います。
いわゆるサラリーマン大家といわれるような方が該当することが多いのではないかと思われます。

貸付事業用の特例は平成30年に改正されました。
改正以前は相続開始の直前でも貸付を行えばこの特例の対象となっていました。
しかし改正により、制限が設けられました。

(改正の内容)
相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地については小規模宅地等の特例は適用できません。
しかし、事業的規模で貸付事業を行っている方については、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供した宅地等については引き続き小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

※事業的規模とは
貸家であれば5棟以上、アパートなどの共同住宅であれば10室以上を貸し付けている場合を事業的規模といいます。

債務・葬式費用

債務と葬式費用は相続税を減少させる効果があります。

預貯金や株、不動産などの財産をプラスの財産とした場合、債務や葬式費用はマイナスの財産ととらえます。
従ってプラスからマイナスを引いて相続税を計算することになるので、相続税を減少させる効果があるというわけです。

債務と葬式費用は相続税法上の非課税ではありませんが、相続税を減少させる効果があるので説明させていただきます。

債務とは

相続税法で債務として計上できる債務は、被相続人の死亡の時にあった債務で確実と認められるものをいいます。
債務として計上できるものとして例えば次のような債務があります。

  • 金融機関等からの借入金
  • 不動産賃貸を行っている場合の預かり敷金
  • 所得税や消費税の確定申告の税金、準確定申告の税金
  • 納付が完了していない固定資産税や住民税(※)
  • その他相続開始時点で請求書はあるが支払いが完了していないもの
      (病院の入院費用などが⑤に該当します)

※納付が完了していない固定資産税や住民税

固定資産税や住民税は1月1日時点で納税義務が確定する税金です。
もしお亡くなりになった時点で、固定資産税や住民税の納税通知書が届いていなくても納税義務は被相続人にありますので債務控除として計上することができます

債務控除できないもの

被相続人が生前に購入した墓地など相続税法上の非課税財産に該当する代金で未払いのものについては、債務控除ができないものとして取り扱います。

葬式費用とは

被相続人の財産から差し引く葬式費用として次の費用を控除します。

  • 葬儀費用
  • 火葬、埋葬、納骨費用
  • 葬式の前後に生じた費用で通常葬儀に欠かせないもの(お通夜が該当します)
  • お寺などにお礼をした費用(お布施)
  • 死体の捜索又は死体や遺骨の運搬費用

葬式費用に含まれないもの

葬儀に要した費用のうち次に該当する費用は財産から差し引く葬式費用に含まれません。

  • 香典返し費用
  • 初七日などの法事にかかった費用
  • 墓地や墓石の購入費用

基礎控除

基礎控除とは、相続税の課税対象となる財産の価額の合計額から控除する金額のことをいいます。
ここでいう財産の価額の合計額とは、非課税財産や小規模宅地等の特例、債務葬式費用を適用した後の金額のことを言います。

基礎控除は無条件で適用できます。
基礎控除額は次の計算式で求めることになります。

基礎控除は、計算式で求めた金額については相続税の課税の対象から除外されるため今回説明に加えさせていただきました

(計算式)
 3000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)= 相続税の基礎控除額

※ 法定相続人の数とは相続の放棄があった場合にはその放棄がなかったものとした場合における相続人の数のことを言います。

養子がいる場合の取り扱いですが、法定相続人の数に含める養子の数は実子がいるときは1人。
実子がいないときは2人までとなります。

まとめ

今回は相続税を減少させる効果がある制度について説明させていただきました。
ご存じの制度も多かったかもしれませんが、このように整理すると、まだ活用できる制度があるかもしれません。
活用の仕方や現状の節税対策で十分か確認するためには相続税に強い税理士に相談したほうが良いと思います。
相続税に強い税理士であれば経験値が豊富です。

過去の経験から得られたノウハウを活用できますので、一度相続税に強い税理士の先生に相談してみるとよいでしょう。

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