株と相続

2021年08月06日

株と相続

相続税における株式等の評価方法

上場株式の評価方法 

 上場株式の評価は、次の価額のうち最も低い価額によって評価します。
上場株式とは、金融商品取引所に上場されている株式をいいます。
株式のうち上場していない株式(『非上場株式』といいます)については、省略させていただきます。

  1. 被相続人死亡の日(『課税時期』といいます)の最終価格
  2. 課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
  3. 課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
  4. 課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額

なお課税時期に最終価格がない場合やその株式に権利落ちがなどがある場合には一定の修正をします。

権利落ちとは、配当などを受ける権利がなくなることを言います。
配当は権利確定日時点で株主名簿に登録されている株主に対して支払われるので、権利確定日を過ぎてから株主名簿に登録された株主に対しては配当を受け取ることはできません。

※金融商品取引所とは、東京証券取引所、名古屋証券取引所、札幌証券取引所、福岡証券取引所の証券取引所と大阪取引所、東京金融取引所があります。

証券投資信託の受益証券の評価方法

証券投資信託の受益証券(いわゆる『証券投資信託』のことを言います)の評価方法は、課税時期(被相続人の死亡の日)において解約請求等により支払いを受けることができる価額として、次の算式により計算した金額によって評価します。

(例)・・・一万口当たりの基準価額が公表されている投資信託 

(算式) ① × ② - ③ - ④

① 課税時期の1万口当たりの基準価額 
② 口数
③ 課税時期において解約請求等した場合に源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額
④ 信託財産留保額及び解約手数料

※ 証券投資信託の中には、金融商品取引所に上場されているものがあります。
このような証券投資信託については、証券投資信託の評価方法は適切ではないことから上場株式の評価方法と同じように評価します。

金地金や金貨、純金積み立ての評価方法

 ① 金地金
課税時期(被相続人が死亡した日)における買取価格で評価します。金地金は1g当たりの買取価格が公表されておりますので、その公表されている価格を用います。
② 金貨
海外の金貨は貴金属の買取業者に問い合わせをして、課税時期の買取価格の確認をしましょう。
国内で発行される10万円記念金貨や1万円記念金貨があります。
こちらの評価額は金貨に記載している金額で評価します。

といいますのは、日本の記念金貨は通貨として使用可能なためです。

③ 純金積み立て
純金積み立ての相続税の評価方法は、金地金の相続税評価額と同じく評価します。

国債の評価方法(個人向け国際)

個人向け国債の評価方法は、課税時期(被相続人の死亡の日をいいます)おいて中途換金した場合に支払いを受けることができる価額により評価します。

計算方法は以下の算式により評価します。

(算式)
額面金額 + 経過利子相当額 - 中途換金調整額

個人向け国債は一定の期間(原則1年)が経過するといつでも中途換金できることが法令で定められております。
かつ、その時の中途換金額が具体的に把握可能なため個人向け国債については課税時期における中途換金額により評価すします。

なお、中途換金ができない一定の期間内での中途換金は相続の場合に限って認められているので中途換金の額で評価しても差し支えありません。

外国通貨の評価方法

外国通貨の換算については、原則として納税者の取引金融機関が公表する課税時期(被相続人の死亡の日をいいます)における最終の対顧客直物電信買相場(TTB)により行います。

※ 対顧客直物電信買相場(TTB)とは

金融機関が顧客から外貨を買って邦貨(日本のお金)を支払う場合の相場を言います。

課税時期にその相場がないときは課税時期前の相場のうち、課税時期に最も近い日の相場を使います。

こんな時はどうする?

自宅から株券がでてきたら?

ご自宅から株券が出てきた場合の対処について説明させていただきます。
もし自宅で発見した株券が上場株式に該当するものである場合、上場株式に該当する株式については全て電子化が完了しています。
従って、発見した株券については株としての効力はありません。

まず上場株式の株券が自宅から発見された場合の対処手順

① その株券は既に証券口座で管理しているか確認する

証券口座で管理されていない場合には信託銀行で管理しております。 

② 信託銀行に問い合わせをして、株式を証券口座に振り替える手続きを行う。

信託銀行は上場企業の株式の管理業務を担っております。
従って、上場企業はいずれかの信託銀行に株式の管理業務を委託しているため信託銀行に確認を取ってください。

証券口座がない場合はお手数ですが口座を開設する必要があります。

売却は証券口座でしか行えません。 

③ 相続が発生している場合は、信託銀行にて相続人が名義変更の手続きを行ったうえで証券口座に振り替える手続きを行います。

株式等を相続して運用するには?現金化したいときは?

株式を相続により取得してから運用するまでの手順を説明させていただきます。

① 相続により取得した株式を、ご自身の証券口座に振り替える手続きを行う。

  証券口座をお持ちでない場合には、証券口座を開設してから行ってください。

 被相続人様が口座開設していた証券会社と違う証券会社で口座を開設しても問題ありません。
株式を移動させるときは被相続人様の口座がある証券会社に問い合わせてください。

② 株式の移動が完了しましたら、運用が可能になります。

③ 相続で取得した株式等を現金化したいときは、売却の手続きを行うことで現金化できます。
ただし、売却益がある場合には所得税が課税されますのでご注意ください。

株式等を贈与したいときは?

相続や遺贈で取得した株式等を贈与したいときは、以下の手順で進めるとよいと思います。

  • 贈与したい株式の銘柄と株式数を決める
  • 贈与契約書を作成する
  • 贈与したい株式を管理している証券会社のホームページで確認するか証券会社に贈与したい旨を伝える。証券会社が事務的な進め方を教えてくれると思います。

贈与の金額が110万円を超えると贈与税の申告と納税が必要となります。
贈与税の申告が必要な場合は、株式等の贈与を受けた年の翌年3月15日までに財産の贈与を受けた方の住所地の税務署に申告書を提出してください。

贈与契約書の作成方法

株式等の贈与を受ける場合には、贈与契約書を作成する必要があります。
贈与契約書は、第3者からみても、財産の贈与があったことを確認するためにも必要です。

贈与契約書には、以下の事項は記載してください。

  1. 贈与者から受贈者への贈与契約を締結した旨の文言
  2. 贈与する財産と数量
  3. 贈与する年月日
  4. 贈与者の住所、氏名
  5. 受贈者(財産を貰う人)の住所、氏名
  6. 贈与者、受贈者の実印(印鑑証明があると更に良い)

専門家を活用するケース

税理士を活用するケース

税理士の先生が必要になるケースは相続税の申告が必要なケースです。
それ以外の場合で税理士の先生の力を借りる場合として、次回の相続(2次相続といいます)を考慮した分割案の相談で税理士の先生に依頼することがあります。
最初の相続の分割の仕方次第では2次相続で相続税の申告の必要が出てくるケースがあるからです。
ご心配の場合は一度相続税に強い税理士の先生に依頼するとよいでしょう。
依頼する場合には料金が発生しますのでご注意ください。

司法書士を活用するケース

司法書士の先生を活用するケースは、税理士の先生に依頼するケースより多いかもしれません。
相続税の申告が必要ない場合でも、遺産分割協議は必ず必要になります(遺言書がある場合は除きます)。
その遺産分割協議に基づいた財産の名義変更手続きで司法書士の先生に依頼するケースがあります。
名義変更手続きはご自身で行うことも可能です。
ただし、プライベートの時間を費やします。
相続が発生した場合には、司法書士の先生に手続きを依頼できる点を考慮して検討してみてはいかがでしょうか。
依頼する場合には料金が発生しますのでご注意ください。

まとめ

今回は株式等の評価方法やケースをまとめてみました。
ご自身の財産の相続税評価額を確認する場合の参考となれば幸いです。

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