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死亡後の口座凍結-最短で凍結解除するための手続きをわかりやすく解説-

2021年07月12日

死亡後の口座凍結-最短で凍結解除するための手続きをわかりやすく解説

【ケース別】死亡後の口座の凍結解除までの期間

遺言書がある場合(遺言書通りに相続しない場合は「1-2 遺言書が無い場合」参照)

  • 遺言の種類によって口座の凍結解除までの期間が異なる!
  • 自筆証書遺言の場合は5~6週間程度
  • 公正証書遺言の場合は1~2週間程度
  • 遺言書通りに相続しない場合は「1-2 遺言書が無い場合」参照

死亡した方の遺言書がある場合で、かつ遺言書通りに相続することが決まっているケースについて解説します。

(注)遺言書の内容通りに相続しない可能性がある場合の口座の凍結解除までの期間は「1-2 遺言書が無い場合」を参照してください。

死亡後に口座が凍結された場合の手続きは、

金融機関に遺言書と必要書類(「2-1遺言書がある場合」参照)を持参する

金融機関に口座の凍結解除手続きを依頼する

という流れで進めていきます。

書類の不備がなければ、銀行に提出してから1~2週間で口座の凍結が解除されます。

しかし、遺言の種類によって、口座の凍結解除までの期間が大きく変わるので注意が必要です!

まず、その遺言書が「亡くなった方が自分で書いた遺言」なのか、「公証役場で保管している遺言」なのか確認しましょう。

専門用語では「亡くなった方が自分で書いた遺言」は自筆証書遺言と言い、「公証役場で保管している遺言」は公正証書遺言と言います。

他にも「秘密証書遺言」というものもあります。秘密証書遺言は年間でも100件程度しか作成されず珍しいケースですが、口座の凍結解除までの期間や手続きは「自筆証書遺言」と同じと考えてください。

  • 「自筆証書遺言」と「秘密証書遺言」の場合
    家庭裁判所で開封(検認といいます)の手続きを取らないといけません。
    勝手に開封した場合、「偽造した!」と疑われるだけでなく、遺言の内容が無効と判断されたり、5万円以下の過料に処せられる場合があります。

検認(開封)の手続きが完了するまでおよそ4週間程度かかると言われていますので、この手続きが終了したら、(2-1 遺言書がある場合)に記載している書類を準備して金融機関に行きましょう。金融機関の口座の凍結解除手続きは1~2週間かかりますので、合計すると5~6週間を想定しておくと良いでしょう。

  • 「公正証書遺言」の場合
    検認(開封)手続きが不要なので、すぐに銀行に持って行って手続きを行うことが可能です。
    1~2週間程度で金融機関の口座の凍結解除手続きが完了します。

遺言書が無い場合

  • 「遺産分割協議書」の作成が必要
  • 遺産の分け方が決まらない限り、口座の凍結は解除されない!
  • 相続人が1人の場合は「遺産分割協議書」は不要
  • 法定相続分通りに相続する場合には「遺産分割協議書」は不要

遺言書が無い場合には、

遺産分割協議書を作成

金融機関に口座の凍結解除手続きを依頼する

という流れで進めていきます。

ただし、相続人が1人しかいない場合や、法律で決められた割合(法定相続分)で相続する場合には「遺産分割協議書」は不要ですので、「2-2 遺言書が無い場合」の必要書類を準備して金融機関に行きましょう。

遺言書が無くて、上記にも該当しない場合には、まずは財産の分け方を遺族(相続人)で話し合って決めていかないといけません。
財産の分け方が決まったら「遺産分割協議書」という書類を作成し、相続人全員が記名し、実印を押印します。

遺産分割協議書とは、「誰がどのような財産を取得するのか」を記載した書類です。
そして、相続人全員が遺産の分け方について納得したうえで、記名と実印の押印をしないと、遺産分割協議書は有効なものとはなりません。

つまり、相続人のうち1人でも「財産の分け方に納得できない!」という方がいた場合は「遺産分割協議書」を作成することができず、口座の凍結を解除することができません。

ここで注意することは「相続税の申告期限は死亡した日から10か月以内」であるということです。
相続税を納税しなければならないのに、10か月以上話し合いがまとまらずに申告もしなかった場合、無申告加算税という重いペナルティが課されることがあります。

分け方が決まっていない財産を、法律で定められている割合(法定相続分)で割り振って申告する「未分割申告」を行い、相続税の納税を行います。

未分割申告では相続税の評価を大きく下げる特例(配偶者控除や小規模宅地の特例など)を受けられないといったデメリットが存在します。
ただし、相続税申告の際に所定の書類を揃えて申告することで、申告期限(死亡した日から10か月)から3年以内に遺産分割が成立した場合は、これらの特例を適用して、正しい相続税に計算しなおすことができます。

書類を提出し忘れたり、書き方を間違えたりすると、この制度が利用できずに大きな損害を受けることがありますので、必ず相続に詳しい税理士法人・税理士事務所に相談しましょう。

これは私の意見ですが、相続のモメ事を解決させるために最初に弁護士の先生に相談される方もいらっしゃいますが、弁護士の先生に相談するのは「弁護士の先生に頼むしか方法が無いとき」に限った方が良いと思っています。

「弁護士と契約した」ということが相手に伝わったことがきっかけで、これまでの兄弟姉妹や親子関係が修復不可能になってしまったケースを何件も見てきました。

もちろん、弁護士に依頼することを否定するつもりは全くありませんが、まずは当事者間でじっくりと話し合いをすることが大切だと思っています。

【ケース別】口座の結解除のために必要な書類

遺言書がある場合

(注)遺言書の内容通りに相続しない可能性がある場合の口座の凍結解除に必要な書類は「2-2 遺言書が無い場合」を参照してください。

遺言書がある場合の必要書類は以下の通りです。

最短で口座の凍結を解除するために、抜けもれが無いか確認しておきましょう。

金融機関によって必要な書類が異なる場合もあるので、必ず電話で確認しましょう。

ここでは一般的に必要となる書類をご紹介します。

  1. 法定相続人全員の戸籍謄本
  2. 亡くなった方(被相続人)が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本(改製原戸籍)等
  3. 法定相続人全員の印鑑証明書
  4. 預金通帳・キャッシュカード
  5. 銀行印
  6. 遺言書
  7. 検認調書もしくは検認済証明書(自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合)
  8. 相続関係届出書(金融機関によって呼び名は異なる)

①と②は、本籍地のある市区町村役場で取得できます。
郵送の取り寄せが可能な自治体が多いので、市区町村に問い合わせましょう。

③は、印鑑登録証またはマイナンバーカードを準備して、市区町村役場へ行きましょう。
自治体によってはコンビニ交付に対応している所もありますので、市区町村に問い合わせましょう。

⑧は、金融機関によって呼び名や書式が異なりますので、金融機関に問い合わせましょう。

遺言書が無い場合

遺言書が無くて遺産分割協議がある場合の必要書類は以下の通りです。

最短で口座の凍結を解除するために、抜けもれが無いか確認しておきましょう。

金融機関によって必要な書類が異なる場合もあるので、必ず電話で確認しましょう。

ここでは一般的に必要となる書類をご紹介します。

  1. 法定相続人全員の戸籍謄本
  2. 亡くなった方(被相続人)が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本(改製原戸籍)等
  3. 法定相続人全員の印鑑証明書
  4. 預金通帳・キャッシュカード
  5. 銀行印
  6. 割協議書
  7. 相続関係届出書(金融機関によって呼び名は異なる)

①と②は、本籍地のある市区町村役場で取得できます。
郵送の取り寄せが可能な自治体が多いので、市区町村に問い合わせましょう。

③は、印鑑登録証またはマイナンバーカードを準備して、市区町村役場へ行きましょう。
自治体によってはコンビニ交付に対応している所もありますので、市区町村に問い合わせましょう。

⑦は、金融機関によって呼び名や書式が異なりますので、金融機関に問い合わせましょう。

死亡後でも口座から引き出しができるケース

仮払い制度※注意点あり!

・最大150万円まで引き出せる

・相続放棄ができなくなるので借金が無いか慎重に調べる

これまで、遺産の分け方(遺産分割)が確定するまでは亡くなった方の口座からお金を引き出すことはできませんでした。

しかし、相続に関する民法が改正され,、家庭裁判所もしくは金融機関に申し立てることで、預貯金の引き出しが可能となりました。

葬式費用や生活費などをまかなうためにお金が必要な場合は、この制度を利用してある程度まとまった資金を引き出すことができます。
一方で、この制度を利用すると、相続放棄ができなくなるという注意点があります。
つまり、家族に内緒で多額の借金があることを知らずに仮払い制度を利用した場合、仮払い制度を利用してしまったがために、その借金をすべて引き継がないといけなくなってしまうのです。

仮払い制度を利用する際は、亡くなった方に本当に借金が無いか必ず調べなければなりません。

なお、仮払い制度で引き出す手続きと金額はこのようになっています。

●仮払い制度の手続きと引き出せる金額

①家庭裁判所に申し立てる場合

遺産分割がまとまらないため、家庭裁判所に調停を申し立てる

仮払いする理由を説明する

他の相続人の権利を侵害しない範囲で引出が可能となる

※専門的な知識が必要となるので、弁護士の先生に依頼しましょう。

②金融機関に申し立てる場合

150万円もしくは「死亡時の預貯金残高×法定相続分×1/3」のいずれか低い金額

死亡したことを金融機関に伝えていないとき

金融機関が口座を凍結するタイミングは、死亡したことを銀行が知ったときです。

つまり、新聞などに死亡したことが掲載されたり、死亡したことを家族が銀行に伝えたときに銀行が知るということです。

言い換えると、銀行が知るまでの間は、その口座は引き出すことが可能な状態であるということです。

しかし、相続税の申告は「死亡した日の財産」に対して課税しますので、死亡後に引き出した預金についても相続税が課税されますし、他の遺族(相続人)はその引き出した現預金を相続する権利があります。

なので、もし亡くなったあとに引き出した場合は、何に使ったのかわかる状態にしておきましょう。

口座が凍結されても困らないためにするべきこと

あらかじめ現金を引き出しておく

死亡後にはお葬式代や飲食代などだけでも平均すると150万円近くかかると言われています。
死期が近づいていることが分かっているのであれば、事前にある程度まとまったお金を引き出しておくと良いでしょう。

ただし、相続税の申告の際には、亡くなる直前に引き出したお金は、「引き出して使わなかったもの」とみなして相続財産に加えます。
つまり、引き出したお金は使ったとしても相続税がかかってきます。

「借金」という名目を活用する

あらかじめ、借金という名目で遺族の口座にお金を移しておくという方法もあります。

その「借金」は、亡くなった方の相続税を計算するうえで、財産に加えるので、節税にはなりません。しかし、病院代や葬式費用などのお金に充てることができるので、便利な方法です。

「金銭消費貸借契約書」を作っておくと、将来のモメごとも回避できるので、作っておくことをおすすめします。

家族信託を活用する

最近話題の家族信託という方法を使えば、「親の財産を子が管理する」ということが可能になります。なので、「管理者(受託者と言います)」である子は、口座が凍結されることなく、その預貯金を葬式費用などのために引き出すことができるようになります。

まだまだ一般的な方法ではありませんので、家族信託や相続に詳しい税理士や司法書士に相談しながら進めていきましょう。

死亡保険を活用する

生前に死亡保険を契約して、遺族(相続人)が受け取るようにしておけば、保険金が遺族に入金されますので、すぐに使うことができます。

さらに、死亡保険金については税制上のメリットもあり、「500万円×法定相続人の数」までは税金がかかりません。

まとめ

特に、死亡してから1年間の手続きはとても大変です。

手続きには期限や罰則があったりもするので、常に時間に追われるような気持になってしまいます。

だからこそ、先回りした相談や対応がカギを握っています。

相続は、何度も経験するようなものではありませんので、みなさんが手探りで手続きを進めているのが現状です。

私たちは、そんなご遺族の方が少しでも故人を偲ぶ時間を大切にしていただけるように、専門用語を使わずに安心した相続税の申告を行えるようにサポートしています。

「そもそも相続税はかかるの?」

「次にどんな手続きをすればいいの?」

「将来の相続の対策はどうすればいいの?」

など、些細なお悩みでも構いませんので、お気軽にご相談ください。

ウェブ面談も受け付けておりますので、ご希望の方はお申し付けください。

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