相続税額をケースごとにシミュレーション

相続税額のシミュレーションを知りたい人に向けて、相続税額のシミュレーションを公開します。

それでは、見ていきましょう。

相続税とは?

日本における相続税は、相続人が相続財産を受け取った場合に課税される税金です。

相続税は国税として課され、課税対象となるのは、相続人が日本国内に居住する場合は国内及び国外の財産、日本国外に居住する場合は日本国内にある財産について課税されます。

相続税の法的根拠は、「相続税法」にあります。

この法律は、1948年に制定され、その後何度か改正されています。

相続税法によって、相続税の課税対象となる相続財産の範囲や、相続税の税率、相続申告の手続きなどが定められています。

相続税は、相続人が相続財産を受け取った時点で課税されるため、相続人が相続財産を受け取った後、一定期間内に申告し、納税する必要があります。

相続税の税率は、相続人と被相続人の関係や相続財産の価額によって異なります。

国税庁の相続税のあらましによると、相続税の相続人と申告期限は以下の通りです。

「相続人」とは

民法では、相続人の範囲と順位について次のとおり定めています。

  1. 被相続人の配偶者は、常に相続人となります。
  2. 次の人は、次の順序で配偶者とともに相続人となります。

【第1順位】被相続人の子(子が被相続人の相続開始以前に死亡しているときなどは、孫(直系卑属)が相続人となります。)

【第2順位】被相続人に子や孫(直系卑属)がいないときは、被相続人の父母(父母が被相続人の相続開始以前に死亡しているときなどは、被相続人の祖父母(直系尊属)が相続人となります。)

【第3順位】 被相続人に子や孫(直系卑属)も父母や祖父母(直系尊属)もいないときは、被相続人の兄弟姉妹(兄弟姉妹が被相続人の相続開始以前に死亡しているときなどは、被相続人)

相続税の申告をする必要がある場合には、相続の開始があったことを知った日(通常の場合は、被相続人が亡くなった日)の翌日から 10 か月目の日までに、被相続人の住所地を所轄する税務署に相続税の申告書を提出するとともに、納付税額が算出される場合には、納税しなければなりません。

申告書の提出期限に遅れて申告と納税をした場合には、原則として加算税及び延滞税がかかりますのでご注意ください。

※相続税の申告の必要がない場合でも、相続時精算課税を適用した財産について既に納めた贈与税がある場合には、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。この還付を受けるための申告書は、相続開始の日の翌日から起算して5年経過する日まで提出することができます。

納期限(申告期限)までに金銭で一時に納付することが困難な事由がある場合には、例外的な納付方法である延納又は物納が認められています(国税庁ホームページ【https://www.nta.go.jp】に、詳しい手続等を記載した「相続税・贈与税の延納の手引」又は「相続税の物納の手引」を掲載していますので、ご覧ください。)。 

相続税の速算表

相続税の速算表は、以下の通りです。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

ケースごとに相続税額をシミュレーション

配偶者ありの場合

遺産総額子供1人子供2人子供3人
5,000万円40万円10万円0
6,000万円90万円60万円30万円
7,000万円160万円113万円80万円
8,000万円235万円175万円138万円
9,000万円310万円240万円200万円
10,000万円385万円315万円262万円

配偶者なしの場合

遺産総額子供1人子供2人子供3人
5,000万円160万円80万円20万円
6,000万円310万円180万円120万円
7,000万円480万円320万円220万円
8,000万円680万円470万円330万円
9,000万円920万円620万円480万円
1億円1,220万円770万円630万円

相続放棄とは?

相続放棄をする場合、相続人として承継することを放棄することになります。

そのため、相続放棄した相続人は、相続財産に対する相続分を受け取る権利を放棄することになります。

相続放棄をすることで、放棄した相続人は相続財産について一切の責任や権利を持たず、相続税の納税義務もなくなります。

ただし、相続放棄をする前に相続税が納税されている場合は、その分は返還されることはありません。

また、相続放棄した場合には、その次に法定相続人に相続権が移ります。

次の相続人がいない場合は、国庫に帰属することになります。

相続税額の算出方法とは?

相続税額の算出は、以下の3ステップでできます。

  1. 相続税の総額を計算
  2. 利用できる控除分を差し引く
  3. 各人の実際の相続税額を計算

相続税の総額を計算

相続財産の総額は、不動産、預貯金、株式や投資信託などの金融商品、家具や自動車などの有形財産、その他の財産を含めて算出します。

なお、相続分の計算方法は、相続人の帰属分を決める相続分離協議や裁判所の判決に基づいて算出する必要があります。

利用できる控除分を差し引く

相続税の総額を計算した後、相続人や被相続人の状況によって利用できる控除を差し引くことで、最終的な相続税額が算出されます。

主な控除としては、以下のものがあります。

  • 基礎控除:相続税の納税額を軽減するための控除で、法定相続人と被相続人の関係や被相続人の死亡時の年齢によって異なります。2023年現在、配偶者がいる場合は3,000万円、子ども1人あたり600万円の控除があります。
  • 特別控除:被相続人が死亡した際の葬祭費や、相続財産に対して生前に贈与した金額などの一部が控除されます。
  • 生命保険控除:被相続人が生前に支払った生命保険料のうち、相続人に対する保険金支払額に対する一部が控除されます。

各人の実際の相続税額を計算

最後に、相続人ごとに実際の相続税額を計算します。

相続人ごとの相続税額は、以下のようにして計算されます。

  • 相続人ごとに分割する場合:相続財産から基礎控除や特別控除などの控除分を差し引いた残りの金額を、相続人ごとに分割します。そして、各相続人ごとに分割された金額に対して税率を適用して、相続税額を計算します。
  • 相続人ごとに分割しない場合:相続人ごとに分割せずに、相続財産から基礎控除や特別控除などの控除分を差し引いた残りの金額に対して税率を適用して、相続税額を計算します。そして、相続人ごとに割り振りを行い、実際の相続税額を計算します。

相続対象になる財産とならない財産とは?

相続対象になる財産

相続対象になる財産は、国税庁によると以下の通りです。

  1. 被相続人が亡くなった時点において所有していた財産
    ①土地、②建物、③株式や公社債などの有価証券、④預貯金、⑤現金などのほか、金銭に見積もることができる全ての財産が相続税の課税対象となります。そのため、日本国内に所在する財産のほか、日本国外に所在する財産も相続税の課税対象となります。なお、財産の名義にかかわらず、被相続人の財産で家族の名義となっているものなども相続税の課税対象となります。
  2. 被相続人から取得した相続時精算課税適用財産
    被相続人から生前に贈与を受け、贈与税の申告の際に相続時精算課税を適用していた場合、その財産は相続税の課税対象となります。この場合、相続開始の時の価額ではなく、贈与の時の価額を相続税の課税価格に加算します。
  3. 被相続人から相続開始前3年以内に取得した暦年課税適用財産
    被相続人から相続などによって財産を取得した人が、被相続人が亡くなる前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産は、相続税の課税対象となります。この場合、相続開始の時の価額ではなく、贈与の時の価額を相続税の課税価格に加算します。
  4. みなし相続財産
    被相続人の死亡に伴い支払われる「生命保険金」や「退職金」などは、相続などによって取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。ただし、「生命保険金」や「退職金」のうち、一定の金額※までは非課税となります。

具体的には、以下のものが課税対象財産になります。

  • 宅地
  • 農地
  • 建物
  • 店舗
  • 居宅
  • 借地権
  • 借家権
  • 現金
  • 預貯金
  • 株券
  • 貸付金
  • 売掛金
  • 小切手
  • 自動車
  • 家財
  • 船舶
  • 骨董品
  • 宝石
  • 貴金属
  • 美術品
  • 電話加入権
  • ゴルフ会員権
  • 著作権
  • 慰謝料請求権
  • 損害賠償請求権
  • 借金
  • 買掛金
  • 住宅ローン
  • 小切手
  • 所得税
  • 住民税
  • 未払い税金
  • 未払い家賃・地代
  • 未払い医療費

相続対象にならない財産

相続対象にならない財産は、国税庁によると以下の通りです。

被相続人の「債務」と被相続人の葬式に際して相続人が負担した「葬式費用」は、相続財産の価額から差し引かれます。

差し引くことができる債務には、借入金や未払金などのほか、被相続人が納めなければならなかった税金で、まだ納めていなかったものも含まれます。

また、葬式費用とは、①お寺などへの支払、②葬儀社などへの支払、③お通夜に要した費用などです。

なお、墓地や墓碑などの購入費用、香典返しの費用や法要に要した費用などは、葬式費用に含まれません。

具体的には、以下のものが非課税財産になります。

  • 労働者である地位
  • 身元保証人である地位
  • 扶養請求権
  • 生活保護受給権
  • 根保証債務
  • 代理権
  • 使用貸借権
  • 扶養請求権
  • 生活保護受給権
  • 国家資格
  • 身元保証人の地位
  • 労働者の地位
  • 親権
  • 罰金
  • 離婚請求権
  • 慰謝料請求権
  • 仏壇や位牌などの祭具
  • 墓地や墓石
  • 弔慰金、香典
  • 生命保険金

まとめ

相続は、相続専門の税理士に依頼することでスムーズに、そして適切に申告をすることが可能です。

相続税の申告・生前対策のご相談なら相続特化の提案型税理士事務所である「アスク税理士事務所」にご相談ください。