相続税控除の種類とは?申請方法についても詳しく紹介

相続税控除の種類について詳しく知りたい人に向けて、相続税控除の種類や相続税控除とはどのような控除なのか、相続税控除の申請方法について詳しく紹介します。

それでは、見ていきましょう。

相続税控除とは

相続税控除とは、相続税の課税対象となる財産から、一定の金額を差し引いたり、特定の財産に対して一定の金額を免除する制度です。

相続税の課税対象となる財産の価値が高額である場合、相続税控除により相続税の負担を軽減することができます。

相続税控除には、基礎控除や配偶者控除などがあります。

基礎控除は、相続人の数に応じて控除額が変わります。

配偶者が相続人の場合には、配偶者控除が適用されます。

ただし、相続税控除の額や適用条件は、頻繁に変わるので具体的な内容については税務署等の関係機関にお問い合わせいただくか、税理士等の専門家に相談するといいでしょう。

相続税控除の種類

相続税控除の種類には、以下のものが挙げられます。

  • 贈与税額控除
  • 配偶者控除
  • 未成年者控除
  • 障害者控除

国税庁によると、贈与税額控除は以下の通りです。

相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人からその相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)に暦年課税に係る贈与によって取得した財産があるときには、その人の相続税の課税価格に贈与を受けた財産の贈与の時の価額を加算します。

また、その加算された贈与財産の価額に対応する贈与税の額は、加算された人の相続税の計算上控除されることになります。

加算される価額の基になる贈与財産の範囲と控除する贈与税額は次のとおりです。

(注)被相続人から相続や遺贈により、租税特別措置法第70条の2の2(直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税)第12項第2号および租税特別措置法第70条の2の3(直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税)第12項第2号に規定する管理残額以外の財産を取得しなかった人(相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得している人を除きます。)については、相続開始前3年以内に被相続人から暦年課税に係る贈与によって取得した財産であってもその価額は、相続税の課税価格に加算されません。

加算する贈与財産の範囲

被相続人から生前に暦年課税に係る贈与によって取得した財産のうち相続開始前3年以内に贈与されたものです。

3年以内であれば贈与税がかかっていたかどうかに関係なく加算します。

したがって、基礎控除額110万円以下の贈与財産や死亡した年に贈与されている財産の価額も加算することになります。

加算しない贈与財産の範囲

被相続人から生前に贈与された財産であっても、次の財産については加算する必要はありません。

  • 贈与税の配偶者控除の特例の適用を受けているまたは受けようとする財産のうち、その配偶者控除額に相当する金額
  • 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、非課税の適用を受けた金額
  • 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち、非課税の適用を受けた金額
    (上記の金額のうち、贈与者死亡時の管理残額については、相続等により取得したものとみなして、相続税の課税価格に加算される場合があります。)
  • 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち、非課税の適用を受けた金額
    (上記の金額のうち、贈与者死亡時の管理残額については、相続等により取得したものとみなして、相続税の課税価格に加算される場合があります。)

控除する贈与税額

控除する贈与税額は、相続税の課税価格に加算された贈与財産に係る贈与税の税額です。

ただし、加算税、延滞税、利子税の額は含まれません。

国税庁によると、配偶者控除は以下の通りです。

配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。

(注)この制度の対象となる財産には、隠蔽または仮装されていた財産は含まれません。

  1. 1億6千万円
  2. 配偶者の法定相続分相当額

この配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっています。

したがって、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。

ただし、相続税の申告書または更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、税額軽減の対象になります。

なお、相続税の申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたときも、税額軽減の対象になります。

国税庁によると、未成年者控除は以下の通りです。

相続人が未成年者のときは、相続税の額から一定の金額を差し引きます。

未成年者控除が受けられる人

未成年者控除が受けられるのは次のすべてに当てはまる人です。

  1. 相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人(一時居住者で、かつ、被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)、または相続や遺贈により財産を取得したときに日本国内に住所がない人でも次のいずれかに当てはまる人
    a.日本国籍を有しており、かつ、その人が相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがある人
    b.日本国籍を有しており、かつ、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがない人(被相続人が、外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)
    c.日本国籍を有していない人(被相続人が、外国人被相続人、非居住被相続人または非居住外国人である場合を除きます。)
  2. 相続や遺贈で財産を取得したときに18歳(注)未満である人
    (注)「18歳」とあるのは、令和4年3月31日以前の相続または遺贈については「20歳」となります。
  3. 相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること。

未成年者控除の額

未成年者控除の額は、その未成年者が満18歳(注1)になるまでの年数1年につき10万円で計算した額です。

また、年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。

例えば、未成年者の年齢が15歳9か月の場合は、9か月を切り捨て15歳で計算します。

この場合、18歳(注1)までの年数は3年になります。

したがって、未成年者控除額は、10万円×3年で30万円となります。

なお、未成年者控除額が、その未成年者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れないことがあります。

この場合は、その引き切れない部分の金額をその未成年者の扶養義務者(注2)の相続税額から差し引きます。

また、その未成年者が今回の相続以前の相続においても未成年者控除を受けているときは、控除額が制限されることがあります。

(注1)「18歳」とあるのは、令和4年3月31日以前の相続または遺贈については「20歳」となります。
(注2)扶養義務者とは、配偶者、直系血族および兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち一定の者をいいます。

国税庁によると、贈与税額控除は以下の通りです。

相続人が85歳未満の障害者のときは、相続税の額から一定の金額を差し引きます。

障害者控除が受けられる人

障害者控除が受けられるのは次のすべてに当てはまる人です。

  1. 相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人(一時居住者で、かつ、被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)
  2. 相続や遺贈で財産を取得したときに障害者である人
  3. 相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること。

障害者控除の額

障害者控除の額は、その障害者が満85歳になるまでの年数1年(年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。)につき10万円で計算した額です。

この場合、特別障害者の場合は1年につき20万円となります。

また、障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れないことがあります。

この場合は、その引き切れない部分の金額をその障害者の扶養義務者(注)の相続税額から差し引きます。

(注)扶養義務者とは、配偶者、直系血族および兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち一定の者をいいます。

なお、その障害者が今回の相続以前の相続においても障害者控除を受けているときは、控除額が制限されることがあります。

相続税控除の申請方法

相続税控除の申請方法は、以下の通りです。

  1. 相続人となった方が居住する地域の税務署で相続税の申告書を提出
  2. 申告書に必要な書類や情報を提出し、相続税の課税対象財産や負担財産、そして相続人の人数や関係などを記載
  3. 相続税の申告書に控除を希望する場合は、その旨を記載
  4. 相続税の申告書に基づいて税務署が控除額を算出し申告者に通知

ただし、申請方法については、地域や状況によって異なる場合がありますので、具体的な方法については税理士や所轄の税務署にお問い合わせください。

相続税控除の注意点

相続税控除には、以下のような注意点があります。

  • 控除対象財産には条件がある
  • 申請期限がある
  • 源泉徴収された場合は還付申請が必要
  • 課税対象財産額によっては控除を受けられない
  • 複雑な申告が必要

相続税控除の注意点の一つに、控除対象財産には条件があることが挙げられます。

控除を受けるためには、特定の財産に対する控除である場合には、その財産に対する条件を満たしている必要があります。

例えば、住宅に対する控除であれば、相続人がその住宅に居住している必要があります。

相続税控除の注意点の一つに、申請期限があることが挙げられます。

相続税控除を受けるためには、申請期限を守る必要があります。

一般的には、相続税の申告書と同時に控除を申請する必要があります。

相続税申告は、被相続人が亡くなったことを知ってから10ヶ月以内に行うことが必要です。

相続税控除の注意点の一つに、源泉徴収された場合は還付申請が必要なことが挙げられます。

源泉徴収された相続財産について控除を受けた場合は、還付申請をすることが必要です。

還付額は、控除額と源泉徴収額を比較して、差額分が還付されます。

相続税控除の注意点の一つに、課税対象財産額によっては控除を受けられないことが挙げられます。

相続税控除は、課税対象財産の金額に応じて算出されます。

そのため、課税対象財産が少ない場合は、控除を受けられない場合があります。

相続税控除の注意点の一つに、複雑な申告が必要なことが挙げられます。

相続税控除を受けるためには、複雑な申告が必要な場合もあります。

そのため、税理士に相談をしないと申請が難しい場合もあるでしょう。

まとめ

相続は、相続専門の税理士に依頼することでスムーズに、そして適切に申告をすることが可能です。

相続税の申告・生前対策のご相談なら相続特化の提案型税理士事務所である「アスク税理士事務所」にご相談ください。