相続税がかからない方法とは?減額する方法や罰則についても紹介

相続税がかからない方法を知りたいと思っている人に向けて、この記事では相続税がかからない方法や相続税の金額を減額する方法、相続税を支払わなかった場合の罰則などについて詳しく紹介します。

それでは、見ていきましょう。

相続税は全ての人が支払うものではない

結論から言うと、相続税は全ての人が支払うものではありません。

相続税は3,000万円の基礎控除があり、さらに法定相続人1人あたり600万円基礎控除が増額されます。

そのため、法定相続人が10人いる場合、最大9,000万円までが相続税の控除対象です。

このように法定相続人の人数が多ければその分基礎控除が増えるだけではなく、最初から3,000万円分の基礎控除があるため、日本の大多数の家庭では相続税を支払う必要はありません。

実際に令和元年では相続税を支払う必要があるのは、相続人全体の8%のされており、残りの90%以上は相続税を支払っていないことからもわかるとおり、相続税を支払うのはごく一部と言えるでしょう。 

相続税を抑える方法とは?

相続税を抑える方法には、以下の方法が挙げられます。

  • 生前贈与を行う
  • 生命保険金等の非課税枠を利用
  • 法定相続人を増やす
  • 特例を利用する
  • 不動産評価を適切に行う

生前贈与を行う

相続税を抑える方法の一つに、生前贈与を行うことが挙げられます。

生前贈与を行うことで、被相続人が亡くなった後に残されている資産が減るので結果的に相続税の金額を抑えることが可能です。

また、生前贈与の場合、年間110万円までは非課税対象になっており、かつ法定相続人でない人に対しても生前贈与を行うことが可能です。

このような背景から早いうちから子供や孫などに生前贈与を行っておくことで、自分の死後に相続税の発生する財産を減らすことができ、結果的に非課税枠の中で相続しやすくなります。

ただし、生前贈与を行う場合、名義預金は生前贈与に該当しないとされています。

名義預金とは子供や孫の名前の口座を作成した上で、そこに被相続人となる人が毎年一定金額を振り込むという手法です。

口座の名義人である子供や孫などが実際にその口座を使っているのであれば問題ありませんが、口座の名義人である子供や孫に周知しないで生前贈与を当該の口座に対して行なっていると、相続税対策とみなされてしまい相続税の課税対象になる可能性があります。

生命保険金等の非課税枠を利用

相続税を抑える方法の一つに、生命保険等の非課税枠を利用するということが挙げられます。

被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、保険料を被相続人が負担していた保険に関しては、相続税の対象になりますが生命保険金等の非課税枠を利用することが可能です。

生命保険金等の非課税枠は、【500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額】で計算することができます。

法定相続人を増やす

相続税を抑える方法の一つに、法定相続人を増やす方法が挙げられます。

法定相続人は通常、子供や兄弟、親などの血縁者になりますが、養子を迎えている場合は、養子も法定相続人になることが可能です。

法定相続人は、血縁者であるかどうかという判断基準はなく、被相続人との関係性のみから判断されます。

そのため、養子を子供として迎えている場合は、血縁者である子供であろうが養子の子供であろうが同じ相続順位になります。

このような背景から法定相続人を増やすことで相続額の控除額を増やすことも可能です。

相続税の非課税額は【3,000万円+相続人×600万円】となっているので、法定相続人の数を増やすことができれば、その分非課税枠を増やすこともでき、支払うべき相続税を抑えることもできます。

ただし、法定相続人を増やすということは相続の権利が発生するということでもあり、被相続人の意向だけで法定相続人を増やしてしまうと、被相続人の死後に養子と血縁者の間で対立が発生してしまう可能性も考えられます。

特例を利用する

相続税を抑える方法の一つに、特例を利用することが挙げられます。

特例を利用することで相続税の控除額を増やすことができるので、相続税の支払い金額を抑えられる可能性が高いです。

相続税で利用できる特例には以下のようなものが挙げられます。

  • 小規模宅地等特例
  • 遺産に係る基礎控除
  • 配偶者の税額軽減
  • 未成年者控除
  • 障害者控除
  • 相次相続控除
  • 贈与税額控除

不動産評価を適切に行う

相続税を抑える方法の一つに、不動産評価を適切に行うということが挙げられます。

被相続人の相続財産の中に不動産が含まれている場合、不動産評価を適切に行うことで相続税の支払い金額を抑えられる可能性が高いです。

不動産を相続する場合、路線価方式もしくは倍率方式を使って不動産評価額を計算することになります。

この際に、崖地や再建築不可地に不動産が立地している場合、それらの周辺環境に応じて不動産評価額を減額することも可能です。

不動産評価額の算出の際に利用できる減額要素は様々あり、減額要素を組み合わせて使うことで、不動産の評価額自体を抑えることができ、不動産評価額に応じて支払う相続税額も抑えられる可能性が高いです。

不動産評価は、税理士などの専門家に依頼することで適切に行ってもらえるので、不動産 を相続する場合は不動産評価を適切に行なってくれる税理士などの専門家を探すのがいいでしょう。 

不動産建設が相続税対策に有効な理由とは?

不動産建設が相続税対策に有効な理由は、以下の通りです。

  • 現金と比較して評価額が小さい
  • 借家権と借地権の分を減額できる
  • 小規模宅地等特例を適用できる

現金と比較して評価額が小さい

不動産建設が相続税対策に有効な理由の一つに、現金と比較して評価額が小さいことが挙げられます。

現預金の場合、評価額は現預金の金額になります。

そのため、100万円の現金を相続した場合、評価額は100万円として計算されます。

一方で、不動産建設をした場合、評価方法は路線価方式もしくは倍率方式となります。

路線価方式が使われることが多く、路線価方式の場合は評価額が市場流通額の80%から90%程度になることが多いです。

そのため、100万円の価値があるとされる不動産の場合、実際に相続税の評価額として計上されるのは80万円から90万円程度になります。

借家権と借地権の分を減額できる

不動産建設が相続税対策に有効な理由の一つに、借家権と借地権の分を減額できるということが挙げられます。

同じ不動産であっても、自分が使っている不動産であるか、人に貸している不動産であるかで、不動産自体の取引自由度が異なってきます。

前者の場合は自分の意思で現金化をすることも可能ですが、後者の場合は入居者に退去してもらう必要があるので自由度が低いとされています。また、相続が発生するからと言って既に入居している入居者を強制的に退去させるということはできません。

そのような背景から相続税においては、不動産建設をしてそれらの不動産を第三者に貸している場合は、自由に現金化できないので不動産の評価額を減額するようになっています。

小規模宅地等特例を適用できる

不動産建設が相続税対策に有効な理由の一つに、小規模宅地等特例を適用できることが挙げられます。

小規模宅地等特例は、国税庁によると以下のように定義されています。

個人が、相続や遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族(以下「被相続人等」といいます。)の事業の用または居住の用に供されていた宅地等(土地または土地の上に存する権利をいいます。以下同じです。)のうち一定のものがある場合には、その宅地等のうち一定の面積までの部分(以下「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、下記の「減額される割合等」の表に掲げる区分ごとにそれぞれに掲げる割合を減額します。

なお、相続時精算課税に係る贈与によって取得した宅地等および「個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予及び免除」の適用を受けた特例事業受贈者に係る贈与者または「個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除」の適用を受ける特例事業相続人等に係る被相続人から相続または遺贈により取得した特定事業用宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。

<特定居住用宅地等に小規模宅地等の特例を適用するための要件>

  • 故人や生計一親族が住んでいた土地を配偶者が相続する。
  • 同居の親族が相続した土地に住み続ける。
  • 生計一親族が相続した土地に住み続ける。

<特定事業用宅地等に小規模宅地等の特例を適用するための要件>

  • 相続開始3年前よりも以前からその土地で事業を営んでいる。
  • 相続人が相続税の申告期限まで事業を継続している。

<貸付事業用宅地等に小規模宅地等の特例を適用するための要件>

  • 相続開始前からその土地で不動産貸付業を営んでいる。
  • 相続人が相続税の申告期限まで不動産貸付業を継続している。

相続税を不当に過少申告した際の罰則とは?

相続税を不当に過少申告した場合は、過少申告加算税を課されることになります。

過少申告加算税の概要は、国税庁によると以下の通りです。

期限内申告書(還付請求申告書を含む。第3項において同じ。)が提出された場合(期限後申告書が提出された場合において、次条第1項ただし書又は第7項の規定の適用があるときを含む。)において、修正申告書の提出又は更正があつたときは、当該納税者に対し、その修正申告又は更正に基づき第35条第2項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に100分の10の割合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないときは、100分の5の割合)を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する。

また、過少申告加算税のみではなく無申告加算税や延滞税のペナルティを課されることもあるので注意しましょう。

まとめ

相続は、相続専門の税理士に依頼することでスムーズに、そして適切に申告をすることが可能です。

相続税の申告・生前対策のご相談なら相続特化の提案型税理士事務所である「アスク税理士事務所」にご相談ください。