相続税の配偶者控除とは?二次相続時のデメリットについても詳しく紹介

相続税の配偶者控除について知りたい人に向けて、配偶者控除や二次相続時のデメリット、配偶者控除を受けるための条件を詳しく紹介します。

それでは、見ていきましょう。

相続税の配偶者控除とは?

相続税の配偶者控除については、国税庁は以下のような発表をしています。

配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
◆1億6千万円
◆配偶者の法定相続分相当額

この配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっています。

したがって、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。

ただし、相続税の申告書または更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、税額軽減の対象になります。

なお、相続税の申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたときも、税額軽減の対象になります。

  1. 税額軽減の明細を記載した相続税の申告書または更正の請求書に戸籍謄本等のほか遺言書の写しや遺産分割協議書の写しなど、配偶者の取得した財産が分かる書類を添えて提出してください。遺産分割協議書の写しには相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)も添付する必要があります。
  2. 相続税の申告後に行われた遺産分割に基づいて配偶者の税額軽減を受ける場合は、分割が成立した日の翌日から4か月以内に更正の請求という手続きをする必要があります。

配偶者控除がある背景とは?

相続税において配偶者控除がある背景は、家族間の相続や遺言による財産の分配が、社会的に正当だと考えられるためです。

配偶者は、共に生活を共に送ってきたため、財産を共有することが当然だと考えられています。

そのため、配偶者間の相続に対して、相続税を減税することで、家族間の相続を支援することが目的になっています。

配偶者控除は、配偶者間の相続において、相続税を軽減するための措置と言えるでしょう。

配偶者控除を受けるための条件とは?

配偶者控除を受けるための条件は、以下の通りです。

  • 戸籍上の配偶者
  • 遺産を隠蔽していない
  • 相続税申告を行う

戸籍上の配偶者

配偶者控除を受けるための条件の一つに、戸籍上の配偶者であることが挙げられます。

配偶者控除を受けるためには、被相続人と戸籍上の配偶者であることが求められ、事実婚状態の場合は、配偶者控除を受けるための条件を満たしていないので、配偶者控除を受けることはできません。

内縁の妻の取扱いについては、国税庁が以下のように公表しています。

法第19条の2第1項に規定する配偶者は、婚姻の届出をした者に限るものとする。したがって、事実上婚姻関係と同様の事情にある者であっても婚姻の届出をしていないいわゆる内縁関係にある者は、当該配偶者には該当しないのであるから留意する。(平15課資2-1改正)

遺産を隠蔽していない

配偶者控除を受けるための条件の一つに、遺産を隠蔽していないことが挙げられます。

国税庁では、実際に財産隠蔽時の相続税の配偶者控除について以下のように述べられています。

質問:被相続人から相続又は遺贈によって財産を取得した子(A)は、被相続人の配偶者(乙)の課税価格の計算の基礎となる財産1,000万円を隠蔽し、その隠蔽したところに基づいて、相続税の申告書(相続税法第55条に基づく相続税の申告書(相続人は乙とA、課税価格の合計額2億円))を提出していましたが、相続税の調査により、当該隠蔽財産が把握され、その後、当該隠蔽財産を含めて遺産分割(乙の課税価格7千万円(隠蔽財産1千万円を含みます。)、Aの課税価格1億4千万円)を行いました。乙及びAは、上記の事実に基づいて更正の請求及び修正申告の提出をしようとしていますが、その場合、配偶者に対する相続税額の軽減の基礎となる相続税法第19条の2第1項第2号イに規定する「課税価格の合計額」及び同号ロに規定する「配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額」は、いくらとなりますか。

回答要旨:納税義務者の隠蔽又は仮装により過少申告があった場合の配偶者に対する相続税額の軽減の金額の計算においては、その計算の基礎となる相続税法第19条の2第1項第2号イに規定する「課税価格の合計額」とは、「課税価格の合計額から第6項に規定する隠蔽仮装行為による事実に基づく金額に相当する金額(当該配偶者に係る相続税の課税価格に算入すべきものに限る。)を控除した残額」とされ、同号ロに規定する「配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額」とは、「配偶者に係る相続税の課税価格から第6項に規定する隠蔽仮装行為による事実に基づく金額に相当する金額(当該配偶者に係る相続税の課税価格に算入すべきものに限る。)を控除した残額」とされています。したがって、照会の隠蔽財産は、配偶者乙が取得しているため、相続税法第19条の2第1項第2号イに規定する「課税価格の合計額」は2億円、同号ロに規定する「配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額」は、6千万円となります。

特に、最近では配偶者名義の現預金であっても配偶者が専業主婦である場合は、配偶者の現預金ではなく、被相続人の相続財産と認定することも多いです。

そのため、配偶者自身は意図的な隠蔽の意識はなかったとしても、配偶者の稼ぎや労働実態、被相続人との関係性によっては追徴課税の対象になる可能性も十分にあるということは意識しておきましょう。

また、相続税申告において意図でない場合であっても財産の隠蔽があった場合は、重加算税の対象になるので本来の納税額以上の金額を納税しないといけない可能性もあります。

相続税申告を行う

配偶者控除を受けるための条件の一つに、相続税申告を行うことが挙げられます。

相続税申告の期限は、以下のように国税庁により定義されています。

相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内に行うことになっています。

例えば、1月6日に死亡した場合にはその年の11月6日が申告期限になります。

なお、この期限が土曜日、日曜日、祝日などに当たるときは、これらの日の翌日が期限となります。

申告期限までに申告をしなかった場合や、実際に取得した財産の額より少ない額で申告をした場合には、本来の税金のほかに加算税や延滞税がかかる場合がありますのでご注意ください。

相続税の申告書の提出先は、被相続人の死亡時における住所が日本国内にある場合は、被相続人の住所地を所轄する税務署です。財産を取得した人の住所地を所轄する税務署ではありません。

そして、相続税の配偶者控除適用時には、相続税申告をしないケースが意外にも多くなっています。

これは、相続税の配偶者控除を適用する際には、法定相続分が非課税になるためです。

配偶者の場合は相続税が非課税になるという部分だけが先に来てしまい、非課税になるための条件として相続税申告が必要であることが周知されていないことや、相続人が相続税申告が必要になる事実を忘れているケースが多いことも理由のひとつと言えるでしょう。

相続税について税理士に相談すべき理由とは?

相続税について税理士に相談すべき理由は、以下の通りです。

  • 配偶者控除についての説明を受けられる
  • 相続税申告を代行してもらえる
  • 税理士の署名入りの申告書を作成できる

配偶者控除についての説明を受けられる

相続税について税理士に相談すべき理由の一つに、相続税の配偶者控除についての説明を受けられることが挙げられます。

相続税の配偶者控除について、税務に詳しくない一般の人だと理解しにくい部分もあるでしょう。

基本的には法定相続分までは非課税になると知っておけば問題ないですが、細かい条件もあり、場合によって非課税にならないこともあります。

そのような背景から配偶者控除について自分が対象であるのかだけではなく、どのような場合に配偶者控除を最大限利用できるのかなども含め相談できるのは大きな魅力です。

相続税申告を代行してもらえる 

相続税について税理士に相談すべき理由の一つに、相続税申告を代行してもらえることが挙げられます。

相続税申告に関して税理士ができる業務は相談に対しての回答やアドバイスだけではなく、相続税申告の代行業務も可能です。

相続税申告自体は税理士でない人でもできますが、相続税を正確に申告をするためには税理士に依頼した方がおすすめでしょう。

また、税理士に依頼することで自分の時間を使うことなく相続税申告できるのも大きな魅力です。

税理士の署名入りの申告書を作成できる

相続税について税理士に相談すべき理由の一つに、税理士の署名入りの申告書を作成できることが挙げられます。

相続税申告を税理士に依頼し税理士に相続税申告書の作成を代行してもらうと、税理士の署名入りの書類を作成することが可能です。

税理士の署名入りの相続税申告書の場合、申告書自体の信用度が高まるので詳しくチェックされる可能性が比較的低くなるというのも大きな特徴でしょう。

まとめ

相続は、相続専門の税理士に依頼することでスムーズに、そして適切に申告をすることが可能です。

相続税の申告・生前対策のご相談なら相続特化の提案型税理士事務所である「アスク税理士事務所」にご相談ください。