相続時の税金について知りたい人に向けて、この記事では相続時の税金や申告漏れのペナルティ、相続税相談の税理士を選ぶ際のポイントについて紹介します。
それでは、見ていきましょう。
相続税とは?
相続税は、被相続人が亡くなった際に保有していた資産などを相続人に相続した場合に発生する税金です。
相続税は、相続した財産の評価額に応じて算出されるので、相続した財産の評価額が大きければ大きいほど、相続税の納税額は大きくなります。
ただし、相続税は亡くなった方の財産を相続した場合に必ずかかるわけではなく、控除額を超えた財産にのみかかる税金です。現在の日本では相続税がかかるほどの財産を相続するのは全体の8%前後とされており、大多数の相続人は相続税を支払う必要がありません。
相続時の税金を納めなかった際のペナルティとは?
相続時の税金を納めなかった際のペナルティには、以下のものが挙げられます。
- 無申告加算税
- 延滞税
- 過少申告加算税
無申告加算税
国税庁によると無申告加算税について以下のように説明されています。
無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15パーセント、50万円を超える部分は20パーセントの割合の金額になります。
なお、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、この無申告加算税が5パーセントの割合を乗じて計算した金額に軽減されます。
適用条件は以下の通りです。
- その期限後申告が、法定申告期限から1か月以内に自主的に行われていること。
- 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。
なお、一定の場合とは、次の2つのいずれにも該当する場合をいいます。
- その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。
- その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税または重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。
延滞税
国税庁によると無申告加算税の金額は以下のように説明されています。
- 納期限の翌日から2か月を経過する日までは原則として年「7.3パーセント」
ただし、令和3年1月1日以後の期間は、年「7.3パーセント」と「延滞税特例基準割合(注2)+1パーセント」のいずれか低い割合となります。なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。
- 令和4年1月1日から令和4年12月31日までの期間は、年2.4パーセント
- 令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は、年2.5パーセント
- 納期限の翌日から2か月を経過した日以後は原則として年「14.6パーセント」
ただし、令和3年1月1日以後の期間は、年「14.6パーセント」と「延滞税特例基準割合+7.3パーセント」のいずれか低い割合となります。
なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。
- 令和4年1月1日から令和4年12月31日までの期間は、年8.7パーセント
- 令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は、年8.8パーセント
過少申告加算税
国税庁によると過少申告加算税は以下のように説明されています。
期限内申告書(還付請求申告書を含む。第3項において同じ。)が提出された場合(期限後申告書が提出された場合において、次条第1項ただし書又は第7項の規定の適用があるときを含む。)において、修正申告書の提出又は更正があつたときは、当該納税者に対し、その修正申告又は更正に基づき第35条第2項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に100分の10の割合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないときは、100分の5の割合)を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する。 |
相続税の計算方法とは?
国税庁によると、相続税の納付金額は以下のように計算するとされています。
- 「各人の課税価格の計算」で計算した各人の課税価格を合計して、課税価格の合計額を計算します。
【各相続人の課税価格の合計 = 課税価格の合計額】 - 課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて、課税される遺産の総額を計算します。
【課税価格の合計額 - 基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)= 課税遺産総額】
※法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。
※法定相続人のなかに養子がいる場合の法定相続人の数は、次のとおりとなります。
a.被相続人に実子がいる場合は、養子のうち1人までを法定相続人に含めます。
b.被相続人に実子がいない場合は、養子のうち2人までを法定相続人に含めます。 - 上記2で計算した課税遺産総額を、各法定相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものとして、各法定相続人の取得金額を計算します。
【課税遺産総額 × 各法定相続人の法定相続分 = 法定相続分に応ずる各法定相続人の取得金額(千円未満切り捨て)】 - 上記3で計算した各法定相続人ごとの取得金額に税率を乗じて相続税の総額の基となる税額を算出します。
【法定相続分に応ずる各法定相続人の取得金額 × 税率 = 算出税額】 - 上記4で計算した各法定相続人ごとの算出税額を合計して相続税の総額を計算します。
【各法定相続人ごとの算出税額の合計=相続税の総額】
相続税に係る控除
相続税に係る控除は、以下のものが挙げられます。
- 配偶者に対する相続税額の軽減
- 未成年者控除
- 障害者控除
- 相次相続控除
- 外国の財産に対する相続税
配偶者に対する相続税額の軽減
配偶者に対する相続税額の軽減は、国税庁によると以下のように定義されています。
被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
※この制度の対象となる財産には、隠蔽または仮装されていた財産は含まれません。
- 1億6千万円
- 配偶者の法定相続分相当額
この配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっています。
したがって、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。
ただし、相続税の申告書または更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、税額軽減の対象になります。
なお、相続税の申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたときも、税額軽減の対象になります。
未成年者控除
未成年者控除は、以下の条件に当てはまる人のみに適用されるものです。
- ①相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人(一時居住者で、かつ、被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)、または②相続や遺贈により財産を取得したときに日本国内に住所がない人でも次のいずれかに当てはまる人
- 日本国籍を有しており、かつ、その人が相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがある人
- 日本国籍を有しており、かつ、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがない人(被相続人が、外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)
- 日本国籍を有していない人(被相続人が、外国人被相続人、非居住被相続人または非居住外国人である場合を除きます。)
- 相続や遺贈で財産を取得したときに18歳未満である人
※「18歳」とあるのは、令和4年3月31日以前の相続または遺贈については「20歳」となります。
- 相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること。
未成年者控除の額は、その未成年者が満18歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額です。
また、年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。
なお、未成年者控除額が、その未成年者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れないことがあります。
この場合は、その引き切れない部分の金額をその未成年者の扶養義務者の相続税額から差し引きます。
また、その未成年者が今回の相続以前の相続においても未成年者控除を受けているときは、控除額が制限されることがあります。
障害者控除
障害者控除は、以下の条件に当てはまる人のみに適用されるものです。
- 相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人(一時居住者で、かつ、被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)
- 相続や遺贈で財産を取得したときに障害者である人
- 相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること。
また、障害者控除の額は以下の通りです。
障害者控除の額は、その障害者が満85歳になるまでの年数1年(年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。)につき10万円で計算した額です。この場合、特別障害者の場合は1年につき20万円となります。
また、障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れないことがあります。
この場合は、その引き切れない部分の金額をその障害者の扶養義務者の相続税額から差し引きます。
なお、その障害者が今回の相続以前の相続においても障害者控除を受けているときは、控除額が制限されることがあります。
相続税相談の税理士を選ぶ際のポイントとは?
相続税相談の税理士を選ぶ際のポイントは、以下の通りです。
- 相続税申告の実績があるかどうか?
- 身近な場所で相談できる税理士であるかどうか?
- 事前に費用の提示があるかどうか?
相続税申告の実績があるかどうか?
相続税相談の税理士を選ぶ際のポイントの一つに、相続税申告の実績があるかどうかということが挙げられます。
相続税の相談をする際には、相続税申告の実績がある税理士に相談しなくてはいけません。
これは、税理士の場合それぞれの専門分野が細かく決まっており税理士と言っても全ての分野に長けているわけではないためです。
そのため、相続税分野に長けている税理士を選ぶ必要があります。
そして、相続税分野に長けている税理士を見極める方の方法の一つに、相続税申告の実績があるかを確認することが挙げられます。
過去に相続税申告の実績がある人の場合、相続税申告に長けている可能性が高く、かつ実務として相続税を扱ったことがあるということです。このような税理士の場合、相続税について相談をしても的確なアドバイスをもらえる可能性が高いでしょう。
身近な場所で相談できる税理士であるかどうか?
相続税相談の税理士を選ぶ際のポイントの一つに、身近な場所で相談できる税理士であるかどうかということが挙げられます。
例えば普段よくインターネットを使う人の場合は、インターネットを使って相談できる税理士の方が相談しやすいでしょう。
インターネットのコミュニケーション手段のなかでも、メールをよく使う人はメールで対応 してくれる税理士、LINEをよく使う人の場合はLINEで対応してくれる税理士を選ぶといいです。
相続税の相談はインターネットではなく対面で行いたいと思ってる人の場合は、自分が住んでいる地域の近くにある税理士事務所の中で、相続税申告に長けている税理士事務所を探すのがいいでしょう。
事前に費用の提示があるかどうか?
相続税相談の税理士を選ぶ際のポイントの一つに、事前に費用の提示があるかどうかということが挙げられます。
事前に費用の提示がない税理士事務所の場合、後々オプション料金などとして高額な請求をされる可能性も否定できません。
それだけではなく事前に費用を提示できないということは、不明瞭な料金体系でどの部分で追加費用がかかるのかも分かりにくいです。
そのため、事前に費用を提示があるかどうかを確認するだけではなく、提示された料金に何が含まれているのかを事前に確認することも重要になります
まとめ
相続は、相続専門の税理士に依頼することでスムーズに、そして適切に申告をすることが可能です。
相続税の申告・生前対策のご相談なら相続特化の提案型税理士事務所である「アスク税理士事務所」にご相談ください。