相続登記について知りたい人に向けて、相続登記の概要や相続登記をしないデメリット、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」について詳しく紹介します。
それでは、見ていきましょう。
相続登記とは?
相続登記とは、正確には、「相続による所有権登記」と言われるものです。
法務局によると「相続による所有権移転登記」とは、土地や建物の所有者が亡くなった場合に、その土地や建物の名義を、亡くなった方から遺産を引き継いだ方(相続人)へ変更する手続きのことです。
相続登記には、「必ずしなければならない」とか、「○か月以内にしないといけない」という決まりはありません。
しかし、相続登記をしないままにしておくと様々な問題が起こるとされています。
相続登記をすぐに行うことで、所有者不明の土地を減らすことができるだけではなく、相続の際にもスムーズに相続できるようになるので、価値の低い土地であってもすぐに相続登記することが推奨されています。
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律とは?
相続登記に関連した法律に、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律が挙げられます。
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律は、空き家など所有者不明の不動産が増えていることで制定された法律です。
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律では、土地の所有権又は共有持分を取得した者等がその土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度を創設し、もって所有者不明土地の発生の抑制を図ることを目的とするとされています。
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律では、法務大臣は、承認申請に係る土地が次の各号のいずれにも該当しないと認めるときは、その土地の所有権の国庫への帰属についての承認をしなければならないとされています。
- 崖(勾配、高さその他の事項について政令で定める基準に該当するものに限る。)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの
- 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
- 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
- 隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの
- 前各号に掲げる土地のほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの
相続登記をしないと生じるデメリットとは?
相続登記をしないと生じるデメリットは、以下の3つです。
- 相続人同士で揉める可能性がある
- 不動産の売却ができない
- 不動産を担保にお金を借りることができない
相続人同士で揉める可能性がある
相続登記をしないと生じるデメリットの一つに、相続人同士で揉める可能性があるということが挙げられます。
相続では、基本的に全ての相続人の合意のもとで相続の意思決定をする必要があるとされています。
そのため、相続登記をしないで先伸ばしにしていることで、相続人になっている人の合意を得られなくなるケースも想定できるでしょう。
例えば、相続人の一人と音信不通になってしまうケースが考えられます。
相続登記をしないで、いざ登記をしようと思った際に音信不通であっても、音信不通であることを理由に、当該の相続人の合意を得ないまま相続登記を行うことはできません。
このような背景から、相続登記をしないことで相続人同士で揉める可能性も考えられるでしょう。
そのほかにも、相続人の一人が条件に納得できないからと言って、相続登記に合意しないケースもあります。
不動産の売却ができない
相続登記をしないと生じるデメリットの一つに、不動産の売却ができないことが挙げられます。
相続登記をしないことで、不動産を登記をしていないことになり、結果的に当該不動産を売買したい時に売却する権利がないという事態になりかねません。
不動産を担保にお金を借りることができない
相続登記をしないと生じるデメリットの一つに、不動産を担保にお金を借りることができないということがあげられます。
銀行では、不動産を担保にしてお金を借りることが可能です。
ただし、不動産を担保にできるのは登記された物件であり、かつ所有権が明確になっている物件である場合です。
そのため、相続登記をしておらず登記されてない物件であれば、その不動産を担保にお金を借りることはできないでしょう。
相続登記の登録免許税免税措置とは?
相続登記の登録免許税免税措置は、以下の通りです。
- 相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置
個人が相続(相続人に対する遺贈も含みます。)により土地の所有権を取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、平成30年4月1日から令和7年(2025年)3月31日までの間に当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さないこととされました。 - 不動産の価額が100万円以下の土地に係る登録免許税の免税措置
土地について相続(相続⼈に対する遺贈も含みます。)による所有権の移転の登記又は表題部所有者の相続人が所有権の保存の登記を受ける場合において、不動産の価額(※1)が100万円以下の土地であるときは、平成30年11月15日(※2)から令和7年(2025年)3月31日までの間に受ける当該土地の相続による所有権の移転の登記又は令和3年(2021年)4月1日から令和7年(2025年)3月31日までの間に当該土地の表題部所有者の相続人が受ける所有権の保存の登記については、登録免許税を課さないこととされました。
※1不動産の所有権の持分の取得に係るものである場合は、当該不動産全体の価額に持分の割合を乗じて計算した額が不動産の価額となります。
※2所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成30年法律第49号)の施行日
相続登記の流れとは?
相続登記の流れは、以下の通りです。
- 相続する不動産を明確にする
- 相続人間で不動産の分割を決める
- 相続登記に必要な書類を作成する
相続する不動産を明確にする
相続登記をする際には、相続する不動産を明確にすることが求められます。
場合によっては相続する不動産が国内だけではなく、海外などに点在している場合もあります。
このような場合であっても海外の当該不動産の登記が分かる書類などを集めることが必要です。
そして海外の不動産であっても相続をする際には、日本国内の不動産と同様に相続税が課されます。
相続人間で不動産の分割を決める
相続登記をする際には、相続人間で不動産の分割を決めることが求められます。
遺産分割協議書と言われるもので、相続人の間で誰がどのような割合で遺産を引き継ぐのかを明確にすることが必要です。
また、遺産分割協議は相続人全員の合意が必要になります。
相続登記に必要な書類を作成する
相続登記に必要な書類を作成するために必要な書類は、以下の通りです。
- 戸籍謄本
- 除籍謄本
- 改製原戸籍謄本
- 住民票
- 戸籍の附票
- 印鑑証明書
- 不動産登記簿謄本
- 固定資産評価証明書
- 金融資産の残高証明書
- 遺産分割協議書
- 遺言書の検認済証明書
- 家庭裁判所の審判書
相続登記は専門家に依頼した方がいいと言われる理由とは?
相続登記は専門家に依頼した方がいいと言われる理由は、以下の3つです。
- スムーズに登記できる
- 自分の時間を使わないで登記できる
- 書類作成上のミスを減らせる
スムーズに登記できる
相続登記は専門家に依頼した方が良いと言われる理由の一つに、スムーズに登記できるということが挙げられます。
相続登記を司法書士のような専門家に依頼することで、専門家が持っている知識や経験をもとに相続登記を行うことが可能です。
不動産や土地を相続する場合、不動産や土地を使って相続人が新たにビジネスを始めたいという要望がある場合もあります。
この場合、すぐに不動産や土地の登記ができないことでビジネスを開始できない、不動産をもとにお金を借りることができないなどの不利益が生じる可能性もあります。
自分の時間を使わないで登記できる
相続登記は専門家に依頼した方が良いと言われる理由の一つに、自分の時間を使うことなく登記ができるということが挙げられます。
相続登記を司法書士のような専門家に依頼することで、自分は何もしなくても相続登記をすることが可能です。
登記にあたっては様々な知識を身につけるのに時間が必要になるだけではなく、書類の作成にも時間がかかります。
書類作成上のミスを減らせる
相続登記は専門家に依頼した方が良いと言われる理由の一つに、書類作成上のミスを減らせるということが挙げられます。
相続登記においては、さまざまな書類作成を求められ、相続する不動産の数が多い場合、提出書類が膨大になることもあります。
そして、書類作成を素人が知識をつけながら行っていくのはよほどの時間がない場合難しいでしょう。
その点、専門家に依頼すれば書類作成作業に慣れているためミスなく行なってくれる可能性が高いだけではなく、専門家の方でダブルチェックをしてくれるので、ミスした書類がそのまま提出されてしまうことも少ないです。
まとめ
相続は、相続専門の税理士に依頼することでスムーズに、そして適切に申告をすることが可能です。
相続税の申告・生前対策のご相談なら相続特化の提案型税理士事務所である「アスク税理士事務所」にご相談ください。