相続時の手続きについて知りたい人に向けて、この記事では相続時の手続きで行うべきこと、相続時の手続きは税理士に依頼した方がいい理由を紹介します。
それでは、見ていきましょう。
相続で行う手続きとは?
相続で行う手続きには、以下のものが挙げられます。
- 遺言書の有無の確認
- 相続人調査
- 相続財産調査
- 限定承認・相続放棄の選択
- 遺産分割協議
遺言書の有無の確認
相続では、被相続人が遺言書を残していないかを確認することが一番最初に行うべきことです。
遺言書が残されている場合は、遺言書の内容に従って被相続人が残した財産が分配されるためです。
公正証書遺言は、日本公証人連合会でデータベースを使うことで、自筆証書遺言は、法務局に問い合わせることで遺言書の有無と内容を確認することができます。
相続人調査
遺言書を確認した後は、相続人が誰に当たるのかを調査する必要があります。
相続人となるのは被相続人の配偶者・子供・親・兄弟です。
多くのご家庭では、相続人となる人は血縁者である家族であり、かつ日頃交流がある人である可能性が高いので、誰が相続人であるかというところが不明瞭になることは少ないです。
ただし、本当にそれらの相続人だけで相続をして問題ないのかを確認することが必要です。
そこで、相続人調査では被相続人の戸籍謄本を取り寄せた上で、把握している相続人以外に相続人となり得る人がいないのか確認する行為になります。
被相続人が、過去に結婚をして離婚していた場合、前妻との間に子供がいるケースも考えられます。
この場合、被相続人が亡くなった際には、前妻との子供にも相続権が発生するので、遺産分割では前妻との子供の承認も必要です。
相続財産調査
相続人を調査すると同時に、被相続人が残した財産がどのくらいあるのかを計算することも求められます。
相続する財産には、現預金だけではなく不動産や証券、ゴルフ券なども含まれます。
このように被相続人が保有していた財産は、基本全て遺産相続の対象です。
そして、相続財産を調査する際には、日本国内の財産のみではなく海外含め財産がないのかを確認することも必要になります。
同時に、それらの財産の評価額がどのくらいになるのかを計算することも必要です。
不動産は、時価で評価するのではなく路線価を用いて課税評価額を計算します。
そのような背景から、どのくらい財産があるのかを調査すると同時に、どのくらいの評価額になるのかを明確にすることも必要です。
限定承認・相続放棄の選択
相続人を調査し終わり、相続財産が明確になった後は、被相続人の財産を相続するのかしないのかを相続人が決めることになります。
被相続人の財産を相続すると決めた場合には、プラス財産だけではなく、被相続人が生前に作った借金などのマイナス財産も含めて相続をしなくてはいけません。
相続放棄をした場合は、プラスの財産も相続することができませんが、借金などを代わりに相続する必要もありません。
遺産分割協議
遺産を相続すると決めた場合には、相続人の間でどのように遺産分割をするのかを決める必要があります。
遺産分割協議は、相続人となる人全員の承認が必要です。
未成年の相続人の場合でも承認が必要になります。
また、連絡が取れない相続人がいる場合、遺産分割協議は不成立となります。
このように遺産分割協議を行う場合は、相続人全員の同意が必要となるという観点から相続人が多い場合は、遺産分割協議が完了するまでに時間がかかる可能性も考えられます。
また、相続人の間で意思疎通が取れていない場合、遺産分割協議がスムーズに進まず、最悪遺産分割調停を実施する可能性も考えられるでしょう。
相続の手続きは税理士に依頼するのがおすすめな理由とは?
相続の手続きは税理士に依頼するのがおすすめな理由は、以下の3つです。
- 税理士の判断を仰げる
- 申請を代行してもらえる
- 相続以外のことに自分の時間を使える
税理士の判断を仰げる
相続の手続きは税理士に依頼するのがおすすめな理由の一つに、税理士の判断を仰げるということが挙げられます。
相続の手続きを税理士に依頼することで、税理士が相続における相続税の計算や不動産評価額の算出をしてくれます。
それだけではなく、相続をするなかでの不明点などについても税理士に相談をして、税理士の判断を仰ぐことができるのも大きな魅力でしょう。
相続税について専門に勉強してきており、経験も豊富な税理士の判断を仰ぐことでより、適切にそして正確に相続税申告を行えます。
申請を代行してもらえる
相続の手続きは税理士に依頼するのがおすすめな理由の一つに、申請を代行してもらえることが挙げられます。
相続税申告を税理士に依頼することで相続税申告を税理士が代行してくれます。
相続税申告は、税理士でなくても行うことができ、自分で相続税申告を行うという人も多いです。
一方で、相続税額が大きい場合や平日の日中に時間を取ることができない人の場合、申請を自分で行うのが難しいことも多いでしょう。
また、相続税申告においては申告する前の段階で記載内容に漏れがないのかなどを確認する必要がありますが、自分で相続税申告をする場合は税務署に行った上で、税務署職員に確認はしてもらうしかありません。
税務署は、平日しか空いていないので平日の昼間に時間を取れないサラリーマンが相続人の場合は、税理士に頼むケースが多くなります。
相続以外のことに自分の時間を使える
相続の手続きは税理士に依頼するのがおすすめな理由の一つに、相続以外のことに自分の時間を使えるということが挙げられます。
相続の手続きが発生するのは自分の両親や血縁者が亡くなった場合です。
その場合、相続だけではなく被相続人が所有していた所有物の整理や被相続人の関係者への連絡、葬儀の準備、お墓の準備などもしなくてはいけません。
このように人が亡くなった際に、相続人がすべきことが様々あります。
そのため、税理士に依頼することで相続分野においては丸投げすることができ、相続以外のことに自分の時間を使えるというのは大きなメリットです。
特に、相続人が一人しかおらず相続資産の評価額が課税対象であり、サラリーマンとして働いている場合は、自分一人で相続関連の手続きから被相続人のお墓関連の手続きなどを全て行うのは難しいです。
そのような背景もあり相続以外のことに自分の時間を使えることから、相続の手続きは税理士に依頼するのがおすすめと言われることもあります。
相続時の手続きを全て自分で行うリスクとは?
相続時の手続きを全て自分で行うリスクには、以下の3つが挙げられます。
- 判断ミス・申告漏れが発生しやすい
- 税務調査時に自分で対応しないといけない
- 本来納める以上の税金を納めてしまう可能性がある
判断ミス・申告漏れが発生しやすい
相続時の手続きを自分で行うリスクの一つに、判断ミスが発生しやすいことが挙げられます。
判断ミスの中でも最も大きいものが、課税対象であるにも関わらず、課税対象ではないと自己判断してしまうことです。
相続税は、基礎控除額が設けられており3000万円にプラスして相続人の数×600万円が基礎控除となります。
そのため、相続人が5人いる場合は6000万円までが基礎控除の範囲となり、相続税を支払わなくても問題ないラインになります。
一方で、不動産などがある場合、それらの不動産をどのように評価するかによって課税対象であるかの判断が異なります。
現預金の場合は、6000万円以上の現預金があれば課税対象になるので判断しやすいですが、不動産の場合は様々な特例や路線価方式での評価額を採用していることで、時価が6000万円を超えていても課税対象にならない可能性もあります。
もちろん、時価は6000万円を下回っていても路線価の評価方式では課税対象になることも考えられます。
そのため、判断ミスが発生しやすく、申告漏れや過少申告などのリスクを防ぐ上でも税理士に依頼するのがおすすめです。
税務調査時に自分で対応しないといけない
相続時の手続きを自分で行うリスクの一つに、税務調査時に自分で対応しなくてはいけないということが挙げられます。
税理士に依頼している場合、申告漏れが発生し税務調査の対象になった場合、税理士が代わりに立会いをしてくれます。
一方で、税理士に依頼をせず自分で相続税申告を行った場合、スポットで税務調査の立会いを依頼する、もしくは自分で税務調査の立会う必要があります。
税務調査は平日に行われるので、平日に働いている人が税務調査に立ち会う場合は、有給を取得して調査に立ち会わなくてはいけません。
そのため、税務調査時に自分で対応しなくてはいけないというリスクが発生することも覚えておきましょう。
本来納める以上の税金を納めてしまう可能性がある
相続時の手続きを自分で行うリスクの一つに、本来納める以上の税金を収めてしまう可能性があるということが挙げられます。
相続税に限らず税金は、本来納めるべき税金よりも過少に申告していた場合は、過少申告加算税などが設けられており、ペナルティが与えられます。
一方で、本来納める以上の税金を納めてしまった場合に税務署などがそれらを指摘してくれる可能性は少ないです。
例えば、相続税の申告を税理士ではなく自分で行い不動産などを相続していた場合、路線価方式を使わず時価で6000万円の不動産をそのまま課税評価額6000万円として相続税申告をしてしまった場合、路線価方式を使うことで通常、不動産は時価の8割程度が課税評価額になるので、本来納める以上の税金を納めている可能性が高いです。
まとめ
相続は、相続専門の税理士に依頼することでスムーズに、そして適切に申告をすることが可能です。
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