相続税の申告が必要な人とは?税理士に依頼するメリットも詳しく紹介

相続税申告について知りたい人に向けて、この記事では相続税の申告が必要な人や税理士に依頼するメリット、相続税申告に強い税理士の特徴を詳しく紹介します。

それでは、見ていきましょう。

相続税の申告が必要な人とは?

相続税の申告が必要なのは、以下の場合と国税庁より提示されています。

被相続人から相続などによって財産を取得した人の相続財産等の合計額が「遺産に係る基礎控除額」を超える場合に、その財産を取得した人は相続税の申告をする必要があります。

【遺産に係る基礎控除額 =3,000万円+(600万円×法定相続人の数)】 

また、法定相続人になれるのは以下の人です。

死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。

なお、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされます。また、内縁関係の人は、相続人に含まれません。

<第1順位>:死亡した人の子供

その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します。

<第2順位>:死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)

父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。

第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。

<第3順位>:死亡した人の兄弟姉妹

その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。

第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。

相続で申告すべき資産とは?

相続で申告すべき資産は、以下の通りです。

  • 死亡時の所有財産
  • みなし財産
  • 相続時精算課税適用財産 
  • 暦年課税財産

死亡時の所有財産

相続で申告すべき資産に、死亡時の所有財産が挙げられます。

死亡時の所有財産は、税務署の資料より以下のように記載されています。

①土地、②建物、③株式や公社債などの有価証券、④預貯金、⑤現金などのほか、金銭に見積もることができる全ての財産が相続税の課税対象となります。

そのため、日本国内に所在する財産のほか、日本国外に所在する財産も相続税の課税対象となります。

なお、財産の名義にかかわらず、被相続人の財産で家族の名義となっているものなども相続税の課税対象となります。

みなし財産

相続で申告すべき資産に、みなし財産が挙げられます。

みなし財産は、税務署の資料より以下のように記載されています。

被相続人の死亡に伴い支払われる「生命保険金」や「退職金」などは、相続などによって取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。

ただし、「生命保険金」や「退職金」のうち、一定の金額までは非課税となります。 

相続時精算課税適用財産 

相続で申告すべき資産に、相続時精算課税適用財産 が挙げられます。

相続時精算課税の制度とは、以下のように定義付けられています。

原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳(注1)以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。
この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。
なお、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降すべてこの制度が適用され、「暦年課税(注2)」へ変更することはできません。
また、この制度の贈与者である父母または祖父母などが亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。

このように、相続時精算課税の制度は、贈与税・相続税を通じた課税が行われる制度です。

暦年課税財産

相続で申告すべき資産に、暦年課税財産が挙げられます。

暦年課税財産は、税務署の資料より以下のように記載されています。

被相続人から相続などによって財産を取得した人が、被相続人が亡くなる前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産は、相続税の課税対象となります。
この場合、相続開始の時の価額ではなく、贈与の時の価額を相続税の課税価格に加算します。 

【暦年課税=110万円までの贈与】

税理士に相続税申告を依頼するメリットとは?

税理士に相続税申告を依頼するメリットは、以下の3つです。

  1. 専門家の立場でアドバイスをくれる
  2. 自分の時間を使うことなく相続税の申告ができる
  3. 特例や財産の評価方法で相続税を圧縮できることがある

専門家の立場でアドバイスをくれる

税理士に相続税申告を依頼するメリットの一つに、専門家の立場でアドバイスをくれるということが挙げられます。

素人が相続税申告を自分で行うことも可能ですが、税務の知識がない素人が相続税申告を行う際には、特例の適用漏れなど様々なデメリットが考えられます。

その点、税理士に相続税申告を依頼すれば税理士が代わりに相続税申告をしてくれるだけではなく、相続にあたって出てくる様々な疑問を税理士が専門家の立場でアドバイスをしてくれます。

自分の時間を使うことなく相続税の申告ができる

税理士に相続税申告を依頼するメリットの一つに、自分の時間を使うことなく相続税の申告ができるということが挙げられます。

相続税の申告においては様々な書類が必要になり、場合によっては被相続人の戸籍謄本を取り寄せた上で、期間をかけて相続人にあたる人を探さなくてはいけない可能性もあります。

その点、相続税申告を税理士に依頼すれば、相続税の申告だけではなく相続人の調査まで税理士が代わりに行ってくれます。

このように自分の時間を使うことなく相続税の申告ができるというのは、税理士に相続税申告を依頼するメリットの一つと言えるでしょう。

特例や財産の評価方法で相続税を圧縮できることがある

税理士に相続税申告を依頼するメリットの一つに、特例や財産の評価方法で相続税を圧縮できることがあるということが挙げられます。

相続税申告をする際には様々な特例があり、それだけではなく相続税の評価額そのものを圧縮するための評価方法も存在しています。

このようなノウハウを税理士が専門家の立場で教えてくれるというのも大きなメリットです。

場合によっては、税理士に相続税申告の依頼料を支払っても、税理士に依頼したことで圧縮できた相続税の金額を考えると結果的にプラスになるということもあります。 

相続税申告の際の特例とは?

相続税申告の際の特例は、以下の2つです。

  1. 小規模宅地等の特例 
  2. 配偶者の税額軽減

小規模宅地等の特例 

小規模宅地等の特例は、相続した土地に対して満額の相続税がかかることで、被相続人の生活が脅かされないようにする制度です。

詳しくは、以下の通りです。

個人が、相続や遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族(以下「被相続人等」といいます。)の事業の用または居住の用に供されていた宅地等(土地または土地の上に存する権利をいいます。以下同じです。)のうち一定のものがある場合には、その宅地等のうち一定の面積までの部分(以下「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、下記の「減額される割合等」の表に掲げる区分ごとにそれぞれに掲げる割合を減額します。
なお、相続時精算課税に係る贈与によって取得した宅地等および「個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予及び免除」の適用を受けた特例事業受贈者に係る贈与者または「個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除」の適用を受ける特例事業相続人等に係る被相続人から相続または遺贈により取得した特定事業用宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。

配偶者の税額軽減

配偶者の税額軽減とは、被相続人が作った財産を夫婦で作った財産と考え、配偶者が相続する場合は相続税が減額される制度のことです。

詳しくは、以下の通りです。

配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。

※この制度の対象となる財産には、隠蔽または仮装されていた財産は含まれません。

  1. 1億6千万円
  2. 配偶者の法定相続分相当額

この配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっています。

したがって、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。

ただし、相続税の申告書または更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、税額軽減の対象になります。

なお、相続税の申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたときも、税額軽減の対象になります。

  1. 税額軽減の明細を記載した相続税の申告書または更正の請求書に戸籍謄本等のほか遺言書の写しや遺産分割協議書の写しなど、配偶者の取得した財産が分かる書類を添えて提出してください。遺産分割協議書の写しには相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)も添付する必要があります。
  2. 相続税の申告後に行われた遺産分割に基づいて配偶者の税額軽減を受ける場合は、分割が成立した日の翌日から4か月以内に更正の請求という手続をする必要があります。

まとめ

相続は、相続専門の税理士に依頼することでスムーズに、そして適切に申告をすることが可能です。

相続税の申告・生前対策のご相談なら相続特化の提案型税理士事務所である「アスク税理士事務所」にご相談ください。