小規模宅地の特例について知りたい人に向けて、小規模宅地の特例のメリット・デメリットを紹介します。
それでは、見ていきましょう。
小規模宅地の特例とは?
小規模宅地の特例は、国税庁によると以下の通りです。
個人が、相続や遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族(以下「被相続人等」といいます。)の事業の用または居住の用に供されていた宅地等(土地または土地の上に存する権利をいいます。以下同じです。)のうち一定のものがある場合には、その宅地等のうち一定の面積までの部分(以下「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、「減額される割合等」の表に掲げる区分ごとにそれぞれに掲げる割合を減額します。 なお、相続時精算課税に係る贈与によって取得した宅地等および「個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予及び免除」の適用を受けた特例事業受贈者に係る贈与者または「個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除」の適用を受ける特例事業相続人等に係る被相続人から相続または遺贈により取得した特定事業用宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。 |
小規模宅地の特例のメリット
小規模宅地の特例のメリットは、以下の3つです。
- 遺産分割が円滑に進む可能性がある
- 相続人の経済的負担を軽減することができる
- 相続人が相続税の申告手続きを簡素化できる可能性がある
遺産分割が円滑に進む可能性がある
小規模宅地の特例のメリットの一つに、遺産分割が円滑に進む可能性があることが挙げられます。
小規模宅地の特例を利用すると、相続財産として評価される宅地が小規模宅地として認定されることになります。
この場合、相続財産が小規模宅地であるため、相続人たちがそれを分割しても、土地評価額が低くなります。その結果、相続財産全体の評価額が減少し、相続税の課税対象額が減ります。
また、相続人が多数いる場合、相続財産の分割はしばしば紛糾する問題の1つです。その点、小規模宅地の特例が適用されると、相続財産の評価額が低くなるため、相続人たちの間での遺産分割協議が円滑に進む可能性が高くなります。
ただし、小規模宅地の特例は適用する条件があり、適用される場合でも、相続人の人数や資産状況によっては、遺産分割が円滑に進むとは限りません。
相続人の経済的負担を軽減することができる
小規模宅地の特例のメリットの一つに、相続人の経済的負担を軽減することができることが挙げられます。
小規模宅地の特例は、相続財産のうち宅地が一定の条件を満たしている場合に、相続税の課税対象額を減額する特別な措置です。この特例が適用されることで、相続人の経済的負担が軽減される場合があります。
具体的には、相続財産のうち宅地が小規模宅地の特例の条件を満たしている場合、その宅地に対する相続税の課税対象額が軽減されます。そのため、宅地を相続した相続人が相続税を支払う際に、支払う金額が減少することになり、その分経済的負担が軽減されます。
また、相続人が相続財産を分割する場合、相続税の支払いに関する問題が発生することがあります。その点、小規模宅地の特例が適用される場合、課税対象額が軽減されるため、相続財産を分割する際に生じる相続税の負担が軽減されることになります。
このように、小規模宅地の特例は、相続人の経済的負担を軽減するための有効な手段の一つとなっています。
相続人が相続税の申告手続きを簡素化できる可能性がある
小規模宅地の特例のメリットの一つに、相続人が相続税の申告手続きを簡素化できる可能性があることが挙げられます。
通常、相続財産の評価には専門家の鑑定が必要とされますが、小規模宅地の特例では、評価額が宅地の面積や地域ごとに決められた固定の金額で算出されるため、鑑定が不要になります。
そのため、相続人は鑑定に伴う費用を抑えることができ、申告手続きも簡素化されます。
また、特例の適用にはいくつかの条件がありますので、相続人はよく確認してから利用するようにしましょう。
小規模宅地の特例のデメリット
小規模宅地の特例のデメリットは、以下の4つです。
- 条件を満たしていない場合は利用できない
- 相続税が免除されるわけではなく一定の金額までの減免のみの効果しかない
- 相続人間で不公平感が生じる可能性がある
- 将来的に売却する場合に評価額が低くなることがある
条件を満たしていない場合は利用できない
小規模宅地の特例のデメリットの一つに、条件を満たしていない場合は利用できないことが挙げられます。
小規模宅地の特例を利用するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 相続財産の中に、居住用の土地・家屋が含まれていること。
- 相続人が、相続発生時に居住用として使用する意思があること。
- 相続人が、相続発生後5年以内に相続税の申告を行い、相続税を納付すること。
これらの条件をすべて満たしていない場合、小規模宅地の特例を利用することはできません。
また、相続人が居住用として使用する意思があるという条件は、相続発生時点での意思表示が必要です。
相続人が後に居住用として使用することを決めた場合でも、相続発生時にその意思がなかった場合は、小規模宅地の特例を利用することはできません。
そのため、相続人が相続財産に居住用の土地・家屋が含まれている場合には、早めに専門家に相談して、小規模宅地の特例が適用可能かどうかを確認することが重要です。
相続税が免除されるわけではなく一定の金額までの減免のみの効果しかない
小規模宅地の特例のデメリットの一つに、相続税が免除されるわけではなく一定の金額までの減免のみの効果しかないことが挙げられます。
小規模宅地の特例により、相続税の免除や減免が受けられると誤解される場合がありますが、実際には一定の金額までの減免が受けられるだけであり、全額が免除されるわけではありません。
相続人間で不公平感が生じる可能性がある
小規模宅地の特例のデメリットの一つに、相続人間で不公平感が生じる可能性があることが挙げられます。
小規模宅地の特例によって、相続財産が軽減された場合、それ以外の財産については通常の相続税の計算方法が適用されます。
つまり、小規模宅地の特例を利用している相続人と利用していない相続人がいる場合、小規模宅地の評価額に応じて相続税が異なることになります。
これにより、特例を利用していない相続人は、自分が相続する財産に対して多くの相続税を支払わなければならないと感じることがあります。
また、小規模宅地の特例を利用している相続人が、評価額が高い財産を自分で相続し、評価額が低い財産を他の相続人に相続させることで、不公平感が生じることがあります。
つまり、相続人間で不均等な財産分配が生じる可能性があるということです。
このような問題は、相続時に家族間のトラブルを引き起こす原因となることがあります。
将来的に売却する場合に評価額が低くなることがある
小規模宅地の特例のデメリットの一つに、将来的に売却する場合に評価額が低くなることがあることが挙げられます。
小規模宅地の特例を適用することで、評価額が軽減されますが、その代わりに土地の価値を下げることになります。
これは、小規模宅地の特例を適用した土地を将来的に売却する場合、一般的な土地よりも評価額が低くなる可能性があるということです。
例えば、小規模宅地の特例を適用している土地を売却する場合、通常の土地と比べて買い手にとって魅力的でないと考える場合があります。
なぜなら、土地の評価額が低いため、将来的に相続税がかかる可能性が高いというリスクがあるからです。
また、小規模宅地の特例を適用することで、土地の形状や立地条件などの問題がある場合にも、評価額が軽減されるため、将来的に売却する場合に不利になる可能性があるという点も考慮すべきです。
つまり、小規模宅地の特例を利用する場合は、将来的に土地を売却する可能性がある場合には、その影響も考慮して判断する必要があります。
日本郵便株式会社に貸し付けられている一定の郵便局舎の敷地の用に供されている宅地等とは?
日本郵便株式会社に貸し付けられている一定の郵便局舎の敷地の用に供されている宅地等は、国税庁によると以下の通りです。
日本郵便株式会社に貸し付けられている郵便局舎の敷地の用に供されている宅地等については、次の要件のすべてを満たす場合、特定事業用宅地等に該当するものとして、この特例の適用を受けることができます。
- 平成19年9月30日以前から被相続人またはその相続人が旧日本郵政公社との間の賃貸借契約に基づき郵便局の用に供するために貸し付けられていた一定の建物(以下「郵便局舎」といいます。)の敷地の用に供されていた宅地等であること。
- 平成19年10月1日から相続の開始の直前までの間において、その賃貸借契約の契約事項に一定事項以外の事項の変更がない賃貸借契約に基づき、引き続き、郵便局舎の敷地の用に貸し付けられていた宅地等であること。(貸付先は、平成19年10月1日から平成24年9月30日までの間にあっては郵便局株式会社、平成24年10月1日から相続開始の直前までの間にあっては日本郵便株式会社)
- その宅地等を取得した相続人から相続の開始の日以後5年以上その郵便局舎を日本郵便株式会社が引き続き借り受けることにより、その宅地等を同日以後5年以上郵便局舎の敷地の用に供する見込みであることについて総務大臣の証明がなされたものであること。
- 郵便局舎の宅地等について、既にこの特例の規定の適用を受けていないこと。(賃貸人一代限り)
まとめ
相続は、相続専門の税理士に依頼することでスムーズに、そして適切に申告をすることが可能です。
相続税の申告・生前対策のご相談なら相続特化の提案型税理士事務所である「アスク税理士事務所」にご相談ください。