遺族年金はいつまで受け取れるのか気になっている人に向けて、この記事では遺族年金はいつまで受け取れるのかやそもそも遺族年金とはどのような制度なのかを紹介します。
それでは、見ていきましょう。
遺族年金はいつまでに申請が必要?
遺族年金は、亡くなったことを知った日の翌日から5年で、5年を経過すると権利が時効で消滅します。
遺族年金を受給する際には、以下の書類が必要です。
- 亡くなった方の年金証書
- 死亡の事実を明らかにできる書類(下記のいずれかの書類)
- 住民票除票
- 戸籍抄本
- 市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
遺族年金はいつまで受給できる?
遺族基礎年金と遺族厚生年金で受給できる期間は異なります。
遺族基礎年金は、子供が成人するまでの費用を負担する年金の側面が強いため、子供が18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある場合は規定を超えるまで支給されます。
そのため、通常は子供が18歳になるまで支給されると考えておいて問題無いでしょう。
遺族厚生年金は、条件を満たす限り一生涯受給することが可能です。
遺族厚生年金は、残された配偶者の生活を補償する側面が強い年金になるので、残された配偶者が婚姻などをして生活の基盤が新たにできない限りは遺族厚生年金を受給することが可能です。
そもそも遺族年金とは?
遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類に分かれます。
遺族基礎年金
遺族基礎年金は、日本年金機構によると以下の通りです。
◆遺族基礎年金の受給要件
次の1から4のいずれかの要件を満たしている方が死亡したときに、遺族に遺族基礎年金が支給されます。
- 国民年金の被保険者である間に死亡したとき
- 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき
- 老齢基礎年金の受給権者であった方が死亡したとき
- 老齢基礎年金の受給資格を満たした方が死亡したとき
1および2の要件については、死亡日の前日において、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。
ただし、死亡日が令和8年3月末日までのときは、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
3および4の要件については、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方に限ります。
◆遺族基礎年金の受給対象者
死亡した方に生計を維持されていた以下の遺族が受け取ることができます。
なお遺族厚生年金を受給できる遺族の方はあわせて受給できます。
子のある配偶者(子とは18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方をさします。
子のある配偶者が遺族基礎年金を受け取っている間や、子に生計を同じくする父または母がいる間は、子には遺族基礎年金は支給されません)
遺族厚生年金
遺族厚生年金は、日本年金機構によると以下の通りです。
◆遺族厚生年金の受給要件
次の1から5のいずれかの要件を満たしている方が死亡したときに、遺族に遺族厚生年金が支給されます。
- 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
- 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
- 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき
- 老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき
- 老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき
1および2の要件については、死亡日の前日において、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。
ただし、死亡日が令和8年3月末日までのときは、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
4および5の要件については、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方に限ります。
◆遺族厚生年金の受給対象者
死亡した方に生計を維持されていた以下の遺族のうち、最も優先順位の高い方が受け取ることができます。なお遺族基礎年金を受給できる遺族の方はあわせて受給できます。
- 妻(※1)
- 子(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方。)
- 夫(死亡当時に55歳以上である方に限ります。)(※2)
- 父母(死亡当時に55歳以上である方に限ります。)(※3)
- 孫(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方。)
- 祖父母(死亡当時に55歳以上である方に限ります。)(※3)
※1 子のない30歳未満の妻は、5年間のみ受給できます。
※2 受給開始は60歳からとなります。
ただし遺族基礎年金をあわせて受給できる場合に限り、55歳から60歳の間であっても遺族厚生年金を受給できます。
※3 受給開始は60歳からとなります。
◆中高齢寡婦加算
次のいずれかに該当する妻が受ける遺族厚生年金には、40歳から65歳になるまでの間、583,400円(年額)が加算されます。
これを、中高齢寡婦加算といいます。
夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子(※2)がいない妻。
遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻(※3)が、子が18歳到達年度の末日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)等のため、遺族基礎年金を受給できなくなったとき。
※老齢厚生年金の受給権者または受給資格期間を満たしている夫が死亡したときは、死亡した夫の厚生年金保険の被保険者期間が20年(中高齢者の期間短縮の特例などによって20年未満の被保険者期間で共済組合等の加入期間を除いた老齢厚生年金の受給資格期間を満たした人はその期間)以上の場合に限ります。
※「子」とは次の人に限ります。
- 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
- 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の障害の状態にある子
※0歳に到達した当時、子がいるため遺族基礎年金を受けている妻。
◆経過的寡婦加算
次のいずれかに該当する場合に遺族厚生年金に加算されます。
- 昭和31年4月1日以前生まれの妻に65歳以上で遺族厚生年金の受給権が発生したとき(上記4および5の受給要件に基づく場合は、死亡した夫の厚生年金保険の被保険者期間が20年(中高齢者の期間短縮の特例などによって20年未満の被保険者期間で共済組合等の加入期間を除いた老齢厚生年金の受給資格期間を満たした人はその期間)以上の場合に限ります。)
- 中高齢の加算がされていた昭和31年4月1日以前生まれの遺族厚生年金の受給権者である妻が65歳に達したとき
- 経過的寡婦加算の額は、昭和61年4月1日から60歳に達するまで国民年金に加入した場合の老齢基礎年金の額と合わせると、中高齢寡婦加算の額と同額になるよう決められています。
遺族年金の金額とは?
遺族年金の金額は、遺族基礎年金と遺族厚生年金で異なります。
遺族基礎年金の場合は、以下の通りです。
- 子のある配偶者が受け取るとき:777,800円+子の加算額
- 子が受け取るとき(次の金額を子の数で割った額が、1人あたりの額となります。):777,800円+2人目以降の子の加算額(1人目および2人目の子の加算額各223,800円・3人目以降の子の加算額各74,600円)
遺族厚生年金の場合は、以下の通りです。
遺族厚生年金の年金額は、死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額となります。
なお、上記受給要件の1、2および3に基づく遺族厚生年金の場合、報酬比例部分の計算において、厚生年金の被保険者期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算します。
65歳以上で老齢厚生(退職共済)年金を受け取る権利がある方が、配偶者の死亡による遺族厚生年金を受け取るときは、「死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」と「死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の2分の1の額と自身の老齢厚生(退職共済)年金の額の2分の1の額を合算した額」を比較し、高い方の額が遺族厚生年金の額となります。
遺族年金を受給できない場合とは?
遺族年金を受給できない場合は、以下のような場合です。
- 保険料の未納期間がある
- なくなった人と別居していた
- 再婚をしている
保険料の未納期間がある
遺族年金を受給できない場合に保険料の未納期間がある場合が挙げられます。
日本年金機構によると、遺族基礎年金の受給要は、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの被保険者期間に、国民年金の保険料納付済期間および免除期間、厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間の合計が3分の2以上あることが必要とされています。
つまり、未納期間が保険加入期間の3分の1以上ある場合は遺族年金を受給できません。
ただし、特例として死亡日が令和8年3月末日までのときは、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
なくなった人と別居していた
遺族年金を受給できない場合に、亡くなった人と別居していた場合が挙げられます。
遺族年金を受給するには、亡くなった方と生計を同一にしており、婚姻関係にあることが必要です。
そのため、入籍はしているものも生計を同一にしていない場合は遺族年金を受給できない場合があります。
一方で、別居している場合であっても生計を同一にして、一時的に単身赴任のような形で別居している場合は、通常通り遺族年金は支給されることが多いです。
事実上の夫婦関係があることが必要です。
再婚をしている
遺族年金を受給できない場合に、受給者が再婚した場合が挙げられます。
遺族年金を受給している者が再婚した場合は、遺族年金の受給権が亡くなるので、遺族年金を受け取ることはできなくなります。
まとめ
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