遺産相続時の相続税の金額を知りたい人に向けて、遺産相続時の相続税の金額や相続税の対象となる財産、相続税の課税対象となる相続人を詳しく紹介します。
それでは、見ていきましょう。
遺産相続時の相続税とは?
相続税は、相続人が相続財産を受け取った際に課税される税金であり、相続税法に基づいて課税されます。
相続税の法的根拠は、「相続税法」(昭和29年法律第96号)により定められています。
この法律により、相続税の課税対象となる相続財産の範囲や税率などが定められています。
また、相続税の納税義務者や納税期限などに関する規定も、相続税法により定められています。
相続財産とは、相続人が相続によって取得する財産の総称であり、不動産、預貯金、株式、有価証券、自動車、家財道具などが含まれます。
ただし、相続財産のうち、一定の金額以下や特定の財産については非課税となる場合があります。
また、相続税の納税義務者は、相続人です。
ただし、相続人が未成年の場合は、法定代理人が納税義務者となります。
相続税の納税期限は、相続人が相続財産を受け取った日から10か月以内となっています。
相続人は、この期限内に相続税の申告書を提出し、納税義務を履行しなければなりません。
相続税には、控除額があります。
例えば、相続人が被相続人の配偶者である場合は、相続税の控除額が大幅に増えます。
また、相続財産には、相続人が被相続人に対して負った債務や相続財産の評価額などが考慮され、相続税の納税額が計算されます。
相続税の対象となる財産
国税庁によると、相続税の対象となる財産は以下の通りです。
◆相続や遺贈によって取得した財産(本来の相続財産)
相続税は、原則として、死亡した人の財産を相続や遺贈(死因贈与を含みます。)によって取得した場合に、その取得した財産にかかります。
この場合の財産とは、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか貸付金、特許権、著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものをいいます。
◆そのほか相続税がかかる財産(みなし相続財産ほか)
次に掲げる財産も相続税法の規定などにより相続税の対象となります。
- 死亡退職金、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金など
- 被相続人から生前に贈与を受けて、贈与税の納税猶予の特例を受けていた農地、非上場会社の株式や事業用資産など
- 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税の適用を受けた場合の管理残額(死亡日において受贈者が23歳未満であるなど一定の場合を除きます。)
- 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税の適用を受けた場合の管理残額
- 相続や遺贈で財産を取得した人が、被相続人の死亡前3年以内に被相続人から財産の贈与を受けている場合(一定の特例を受けた場合を除きます。)
- 被相続人から、生前、相続時精算課税の適用を受けて取得した贈与財産
- 相続人がいなかった場合に、民法の定めによって相続財産法人から与えられた財産
- 特別寄与者が支払を受けるべき特別寄与料の額で確定したもの
相続税の課税対象となる相続人
相続税の課税対象となる相続人は、国税庁によると以下の通りです。
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。なお、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされます。
また、内縁関係の人は、相続人に含まれません。
◆第1順位:死亡した人の子供
その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。
子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します。
◆第2順位:死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。
第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。
◆第3順位:死亡した人の兄弟姉妹
その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。
第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。
また、法定相続分は次のとおりです。
なお、子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分けます。また、民法に定める法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の持分であり、必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません。
- 配偶者と子供が相続人である場合:配偶者2分の1 子供(2人以上のときは全員で)2分の1
- 配偶者と直系尊属が相続人である場合:配偶者3分の2 直系尊属(2人以上のときは全員で)3分の1
- 配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合:配偶者4分の3 兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)4分の1
相続税の税率と納税方法
相続税の税率は、以下の速算表の通りです。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
そして、相続税を計算する際には、課税評価額を求める必要があります。
相続時に相続財産として計算に入れるものには、現預金や不動産、株式などがあります。
これらの評価額を計算した上で、課税評価額の合計額から基礎控除額を差し引く必要があります。
基礎控除額は、【3000万円+法定相続人×600万円】です。
そのため、法定相続人が1人の場合は3600万円が基礎控除額となり、3600万円を超える部分が法定相続分に応じた取得金額となり、税率がかかる部分になります。
また、相続税の納税方法は以下の5つです。
- 金融機関で納付
- クレジットカードで納付
- コンビニで納付
- 納税地の所轄税務署で納付
- ダイレクト納付
相続税の申告期限
日本における相続税の申告期限は、被相続人の死亡日から10か月以内となっています。
具体的には、以下のようなスケジュールとなります。
- 被相続人が亡くなった日:2023年1月1日
- 相続税の申告期限:2023年10月31日(10か月後の日)
ただし、相続人が相続財産を受け取る前に相続税の申告を行い、納税分の一部または全額を先に納めることもできます。
この場合、被相続人の死亡日から10か月以内には再度申告する必要はありません。
また、相続人が相続財産を受け取る前に相続税の申告ができない場合には、税務署に「事前申告書」を提出することで、相続税の納税期限を延長することも可能です。
ただし、事前申告書には特定の条件があり、また申請が承認されない場合もあるため、事前に税務署に相談することが重要です。
遺産相続と生命保険の関係
遺産相続と生命保険には、以下のような関係があります。
- 遺産相続時の負担軽減
- 相続人による受け取り
- 遺産分割協議の費用の捻出
遺産相続時の負担軽減
生命保険は、保険金を受け取ることができる受取人を指定することができます。
この受取人には、配偶者や子ども、その他の家族や友人などを指定することも可能です。
保険金は、被保険者が亡くなった場合に受け取ることができるため、相続人によって相続税が負担されることを軽減することができます。
相続人による受け取り
生命保険は、被保険者の死亡によって保険金を受け取ることができます。
相続人が生命保険の受取人になっている場合、被保険者が亡くなった際に保険金を受け取ることが可能です。
遺産分割協議の費用の捻出
遺産分割協議には、弁護士や司法書士などの専門家の費用が必要になることがあります。
生命保険の受取人に指定された相続人は、保険金を使って遺産分割協議の費用を賄うことができます。
相続放棄の注意点
相続放棄の注意点は、以下の通りです。
- 相続放棄の期限に注意する
- 相続放棄には手続きが必要
- 相続放棄の影響について理解する
- 相続放棄による効果について周囲の人と話し合う
相続放棄の期限に注意する
相続放棄には期限があります。被相続人の死亡から3か月以内に、相続人が相続放棄の意思表示をする必要があります。
期限を過ぎると、相続人は相続財産を受け取ることになります。
相続放棄には手続きが必要
相続放棄には、相続放棄届を提出する必要があります。
届出先は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所です。
また、相続放棄の手続きには、手数料がかかる場合があります。
相続放棄の際には、以下の書類を提出する必要があります。
- 相続放棄申述書
- 被相続人の住民票除票(または戸籍附票)
- 相続放棄する方の戸籍謄本
- 収入印紙(800円)
- 切手
また、場合によっては以下の書類も必要です。
- 被代襲者(被相続人の子)の死亡記載のある戸籍謄本
- 子・孫のの出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
- 被相続人の親の死亡記載のある戸籍謄本
相続放棄の影響について理解する
相続放棄をすることで、相続人は相続財産を受け取らないことになります。
しかし、相続放棄によって生じる権利・義務の変化や、相続放棄がもたらす税務上の影響について理解しておく必要があります。
相続放棄による効果について周囲の人と話し合う
相続放棄は、相続財産を放棄することであり、一度相続放棄をすると、二度と取り消すことができません。
そのため、相続放棄を考えている場合には、周囲の人とよく話し合い、熟考することが必要です。
まとめ
相続は、相続専門の税理士に依頼することでスムーズに、そして適切に申告をすることが可能です。
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