遺産分割協議書とは
遺産分割協議書とは、相続人間での紛争を未然に防ぐために作成される、遺産の分割方法や財産の扱いについて取り決める文書です。
遺産分割協議書は、公証役場や弁護士などの専門家に相談して作成することが推奨されています。
また、遺産分割協議書は遺言書とは別物であり、相続人全員が署名捺印した後に成立します。
遺産分割協議書を作成することで、遺産分割協議書に基づいて遺産分割手続きが進められ、相続人間での紛争を未然に防ぐことが可能です。
遺産分割協議書の必要性
遺産分割協議書は、相続人が相続財産を分割する際に作成する書類であり、相続人同士が合意した内容を文書化することで、後々のトラブルを防止するための重要な書類です。
相続財産の分割は、相続人間で合意ができないときに、裁判所が決定することになります。
しかし、裁判所による分割は時間がかかり、費用がかかるだけでなく、相続人同士の関係を悪化させる原因にもなり得ます。
一方で、遺産分割協議書を作成することで、相続人の合意を明確にし、裁判所による分割を避けることが可能です。
また、相続人同士が意見の不一致からトラブルになることは少なくありません。
その際にも、遺産分割協議書を作成することで、相続人が遺産分割に関する争いを未然に防ぎ、和解を促すことができます。
その他にも、遺産分割協議書を作成することで、相続手続きを迅速化することができます。
このように、遺産分割協議書は、相続人間のトラブルを未然に防ぎ、相続手続きを迅速化するだけでなく、相続税の節税対策にも役立つ重要な書類です。
遺産分割協議書の内容
遺産分割協議書の内容は、以下に分けることができます。
- 遺産分割の方法
- 遺産分割の対象財産
- 遺産分割に関するその他の事項
遺産分割の方法
遺産分割協議書に記載する遺産分割の方法は、相続人の合意に基づいて決定されます。
一般的には、以下のような方法で分割することになります。
- 物的分割:相続財産を物的に分割する方法です。例えば、不動産を相続した場合は、不動産を物理的に分割することができます。ただし、物的分割が難しい場合や相続財産が複数の種類からなる場合は、他の分割方法を採用することがあります。
- 均等分割:相続財産を相続人数で等分する方法です。例えば、相続人が3人いる場合は、相続財産を3等分することが可能です。ただし、均等分割が適切でない場合もあります。例えば、相続財産の種類によっては、均等分割をすることができない場合があります。
- 代償分割:相続財産を代償金と引き換えに分割する方法です。例えば、相続人のうち1人が不動産を相続した場合、他の相続人は代償金を受け取ることで均等な分割を実現することができます。ただし、代償分割の金額や方法については、相続人間で合意が必要となります。
このように、遺産分割協議書に記載する遺産分割の方法は、相続人の合意に基づいて決定されます。
そのため、相続人間で話し合いを進め、最適な分割方法を選択することが大切です。
また、遺産分割協議書に記載する際には、分割方法について明確に記載することが重要になります。
遺産分割の対象財産
遺産分割協議書に記載する遺産分割の対象財産は、原則として相続財産全体となります。
相続財産とは、亡くなった人(被相続人)が所有していた財産のことで、以下のようなものが該当します。
- 不動産
- 預貯金、株式、債券、投資信託などの金融商品
- 自動車や家電製品などの動産
- 現金、貴金属、宝石、美術品、書籍、CD・DVDなどの貴重品
- 被相続人の権利・契約・請求権などの権利関係
ただし、遺言書がある場合には、その遺言書によって指定された財産については遺言に従うことになります。
また、相続財産には負債も含まれますので、負債の扱いも遺産分割協議書に記載することが必要です。
遺産分割に関するその他の事項
遺産分割協議書に記載する遺産分割に関するその他の事項としては、以下のようなものが挙げられます。
- 負債の処理方法:相続財産には、被相続人の未払いの借金や税金などの負債も含まれます。遺産分割協議書では、これらの負債をどのように処理するかを定めます。
- 分割の実施時期:遺産分割協議書で定めた分割の実施時期を決めます。一般的には、被相続人の死後すぐに分割を行いますが、場合によっては、相続手続きが完了するまで分割を待つこともあります。
- 分割に関する約束事:相続人間でトラブルが生じないよう、遺産分割協議書には相続人が守るべき約束事も含めて記載します。例えば、相続人が分割後に不動産を売却する場合には、他の相続人に先に譲渡の権利を与えることを約束することがあります。
遺産分割協議書の作成方法
遺産分割協議書の作成方法は、以下の2つがあります。
- 弁護士に依頼する場合
- 自分で作成する場合
弁護士に依頼する場合
遺産分割協議書の作成を弁護士に依頼する場合は、以下のような流れが一般的です。
◆弁護士との面談:まず、遺産分割協議書の作成について弁護士と面談を実施。この面談では、遺産の状況や相続人の関係、分割方法について詳しく話し合います。 ↓ ◆協議書の作成:弁護士は、面談で話し合った内容に基づいて、遺産分割協議書を作成します。協議書には、遺産の分割方法や財産の詳細な内容、相続人の署名や印鑑などが含まれます。 ↓ ◆相続人への説明と協議書の確認:弁護士は、作成した遺産分割協議書を相続人に説明し、内容を確認します。相続人が協議書の内容に合意した場合は、協議書に署名や印鑑を押印します。 ↓ ◆協議書の保存と保管:遺産分割協議書は、原本として保存する必要があります。弁護士は、原本を保管し、必要に応じて相続人にコピーを提供します。 |
遺産分割協議書を弁護士に依頼する場合、作成費用が発生する可能性が高いです。
そのため、費用については、弁護士事務所によって異なりますので、事前に確認しておくことが望ましいでしょう。
また、弁護士に依頼することで、遺産分割協議書が正式な形式に則って作成され、法的な問題が発生する可能性が低くなるというメリットがあります。
自分で作成する場合
遺産分割協議書の作成を自分で行う場合は、以下のような手順があります。
◆相続人と協議する:まず、相続人と話し合い、遺産分割協議書の内容について合意します。遺産の状況や財産の詳細な内容、相続人の関係、分割方法について、十分に話し合う必要があります。 ↓ ◆協議書の作成:相続人との話し合いの結果、遺産分割協議書を作成します。協議書には、遺産の分割方法や財産の詳細な内容、相続人の署名や印鑑などが含まれます。また、協議書の形式は特に定められていないため、自由に作成することができますが、遺産分割協議書の書式が公正証書に準じることが無難です。 ↓ ◆相続人の署名と印鑑:相続人全員が協議書の内容に合意した場合は、協議書に署名と印鑑を押印します。ただし、相続人の一部が未成年者の場合や、成年被後見人である場合は、その法定代理人の署名が必要です。 ↓ ◆協議書の保存と保管:遺産分割協議書は、原本として保存する必要があります。原本は、誰か一人が保管することが望ましいです。また、必要に応じて相続人にコピーを提供することもできます |
遺産分割協議書の作成には、法的な知識や経験が必要になります。
また、協議書の内容が不明確だったり、正式な形式に則っていなかったりすると、法的な問題が発生する可能性があります。
そのため、自分で作成する場合でも、弁護士に相談するのがおすすめです。
遺産分割協議書の効力
遺産分割協議書は、法的に有効な文書として扱われます。
しかし、法的に義務付けられた形式に則っていない場合、無効とされることがあります。
例えば、相続人全員が署名していない場合、または相続人の一部が未成年者である場合などです。
遺産分割協議書が正式な形式に則って作成され、全ての相続人が合意に署名した場合、協議書によって分割された遺産の所有権は各相続人に移転します。
遺産分割協議書に記載された分割方法に従って、遺産の財産や債務が相続人間で分割されます。
また、遺産分割協議書は、裁判所に提出する必要はありません。
ただし、裁判所が介入する必要がある場合、遺言や相続法に則って裁判所が遺産分割を決定することもあります。
このように、遺産分割協議書は、相続人が和解し、円満に遺産を分割するために重要な文書であり、法的に有効であることが望ましいと言えるでしょう。
一方で、適切に作成されていない場合、問題を引き起こす可能性があるため、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
遺産分割協議書のサンプルやテンプレート
遺産分割協議書のサンプルやテンプレートは、弁護士や司法書士が作成したものや、インターネット上で無料で配布されているものなどがあります。
ただし、遺産分割協議書は、遺産の状況や相続人の関係性などによって異なるため、あくまでも参考程度にとどめ、個別の状況に合わせて適切な内容を盛り込む必要があります。
以下は、遺産分割協議書のテンプレートの例です。
<遺産分割協議書> 1.協議の概要 (ここに、相続人がどのような協議を行ったのか、分割する財産が何か、相続人の関係性についての説明を記載します。) 2.分割方法 (ここに、分割方法について具体的に記載します。例えば、特定の財産を特定の相続人に分ける、全財産を等分割する、特定の相続人に財産を優先的に分配するなど、分割方法について詳細に説明します。) 3.財産の詳細 (ここに、相続財産の詳細について記載します。具体的には、不動産、預金、株式、債権などの種類や金額を記載します。) 4.相続人の承諾 (ここに、全ての相続人がこの協議書に同意し、署名・押印する旨を記載します。) |
ただし、必ずしもこのテンプレートに従う必要はなく、相続人の状況に合わせて自由に内容を変更することができます。
まとめ
相続は、相続専門の税理士に依頼することでスムーズに、そして適切に申告をすることが可能です。
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