遺産相続の期限を知りたい人に向けて、遺産相続の期限や対応できなかった場合のペナルティ、遺産相続について税理士に依頼するのがおすすめな理由を紹介します。
それでは、見ていきましょう。
遺産相続は被相続人の死後10ヶ月以内に行う
遺産相続(相続税の申告)は被相続人の死後10ヶ月以内に行う必要があります。
また、相続税の申告期限の延長は原則認められていません。
ただし、例外として特殊な事情がある場合のみ税務署に申請をして最大2ヶ月間の申告期限の延長が可能です。
特殊な事情としては、認知症の発症や災害、出産などが挙げられます。
遺産相続の期限までに対応できない場合のペナルティとは?
遺産相続の期限までに対応できない場合のペナルティは、以下の4つです。
- 配偶者控除が受けられなくなる
- 小規模宅地の特例が受けられなくなる
- 相続人全員が法定相続分で相続税を納める必要が発生
- 被相続人の預貯金の出金が制限される
配偶者控除が受けられなくなる
遺産相続の期限までに対応できない場合のペナルティの一つに、相続税の配偶者控除が受けられなくなることが挙げられます。
国税庁によると、相続税の配偶者控除は以下のように記載されています。
配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
※この制度の対象となる財産には、隠蔽または仮装されていた財産は含まれません。
- 1億6千万円
- 配偶者の法定相続分相当額
この配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっています。
したがって、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。
ただし、相続税の申告書または更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、税額軽減の対象になります。
なお、相続税の申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたときも、税額軽減の対象になります。
そして、相続税の配偶者控除を受けるためには相続税申告を行うことが必要です。
そのため、相続税申告を行わない場合は配偶者控除を受けることができません。
ただし、申告が遅れること「申告期限後3年以内の分割見込書」をして事前に申告することで、申請期限以降であっても相続税の配偶者控除を受けることが可能です。
小規模宅地の特例が受けられなくなる
遺産相続の期限までに対応できない場合のペナルティの一つに、小規模宅地の特例が受けられなくなるということが挙げられます。
正確に言うと、申請期限を過ぎたあとであっても期限内申告書、期限後申告書及び修正申告書を提出することで、提出期限を過ぎたあとであっても小規模宅地の特例を受けることはできます。
ただし、申告書の提出をしていない場合は、小規模宅地の特例を受けることはできません。
相続人全員が法定相続分で相続税を納める必要が発生
遺産相続の期限までに対応できない場合のペナルティの一つに、相続人全員が法定相続分で相続税を納める必要が発生することが挙げられます。
相続期限までに、法定相続分の配分方法が決まらず、相続税申告書を提出できる見込みがない場合、「分割見込書」を作成することで法定相続分の相続税がかからないようにすることも可能です。
しかし、「分割見込書」を提出しない場合は法定相続分の相続税が、法定相続人全員にかかることになるので注意しましょう。
被相続人の預貯金の出金が制限される
遺産相続の期限までに対応できない場合のペナルティの一つに、相被相続人の預貯金の出金が制限されることが挙げられます。
2019年7月からは、遺産分割が未完了の状態であっても預金の3分の1×法定相続分の金額を出金できるようになりました。
ただし、預金の3分の1×法定相続分以上の金額の出金は制限されるので注意しましょう。
不動産の相続登記をしないデメリットとは?
不動産の相続登記をしないデメリットは、以下の3つです。
- 不動産の売却ができない
- 不動産を担保にできない
- 相続関係が複雑になる
不動産の売却ができない
不動産の相続登記をしないデメリットの一つに、不動産の売却ができないということが挙げられます。
不動産の相続登記をしていない場合、たとえその不動産に相続人として居住していた場合であっても、登記は被相続人である亡くなった方になっているため、登記自体は相続人に移行していません。
登記されていない不動産を第三者が勝手に売却することはできないので、たとえ自分が日っ相続人から相続した不動産であっても売却をするのが難しくなります。
不動産を担保にできない
不動産の相続登記をしないデメリットの一つに、不動産を担保にお金を借りられないことが挙げられます。
不動産の相続登記を行っていない事で、不動産の登記は相続人ではなく亡くなった被相続人のままになっています。そのため、不動産を担保に銀行からお金を借りることができません。
銀行からお金を借りる際には、担保する不動産は自己の所有物であり登記がされている物件になります。
そのような背景もあり、不動産を担保にお金を借りることができないのはデメリットになるでしょう。
実際に、相続した不動産をもとにビジネスを開始したいと思っている場合、不動産を担保にできないことで事業開始までの期間が延びてしまったり、最悪の場合事業自体が頓挫してしまう可能性があります。
相続関係が複雑になる
不動産の相続登記をしないデメリットの一つに、相続を先延ばしにすることで相続関係が複雑になりやすいということが挙げられます。
例えば、自分の親が残した不動産を登記する場合、法定相続人は配偶者・子供・兄弟・親になるので、ある程度スムーズに法定相続人と協議をすることが可能です。
一方で、自分の祖父が残した不動産が相続登記されていないまま、相続登記をしようと思った場合、相続関係にあるのは祖父の子供・兄弟・親になります。
例えば、祖父の子供がすでに亡くなっている場合は、その子供の法定相続人に祖父の物件の相続権が移行します。
この場合、相続登記をしようと思うと法定相続人となっている人、全員に同意を求める必要があり、結果的に権利関係が複雑になりスムーズに相続登記ができないという可能性も高いです。
遺産相続について税理士に依頼するのがおすすめな理由とは?
遺産相続について税理士に依頼するのがおすすめな理由は、以下の3つです。
- 相続に関わる手続きをサポートしてもらえる
- 相続税申告を代行してもらえる
- アフターサポートをしてもらえる
相続に関わる手続きをサポートしてもらえる
遺産相続について税理士に依頼するのがおすすめな理由の一つに、相続に関わる手続きをサポートしてもらえるということが挙げられます。
遺産相続について税理士に相談することで、相続税の申告を税理士が代わりに行ってくれます。
それだけではなく、不動産評価も税理士が行なってくれるので、相続人は自分がすべき作業を減らすことができるのが大きな特徴でしょう。
また、相続の流れや相続税を抑える方法についても相談できます。
このように、相続に関わる手続き全体をサポートしてもらい、相続手続きのなかで発生した疑問を税理士に相談し解決できるというのは大きな魅力でしょう
相続税申告を代行してもらえる
遺産相続について税理士に依頼するのがおすすめな理由の一つに、相続税申告を代行してもらえるということが挙げられます。
遺産相続を税理士に相談し、税理士に相続税申告を依頼することで、税理士が代わりに相続税申告を行ってくれます。相続する資産が多い場合、自分で相続税申告を行うと申告漏れや申告ミスなどが発生しやすくもなります。
その点でも、相続税申告を代行してもらえるというのは大きな魅力でしょう。
また、相続税申告を税理士に行ってもらう場合、税理士の署名付きの申告書を作成することができます。
税理士の署名付き申告書を作成することで、相続税申告書自体の信用度が上がるというのも事実です。
このような背景もあり多くの資産を相続する場合は、自分たちで相続税申告を行うのではなく、相続税申告を代行してくれる税理士に依頼するケースが多いです。
アフターサポートをしてもらえる
遺産相続について税理士に依頼するのがおすすめな理由の一つに、アフターサポートをしてもらえるということが挙げられます。
相続税申告で申告漏れがあった場合、追徴課税や税務調査の対象になることがあります。
税務調査の対象になった場合、申告者が自ら立ち会うことも可能ですが、税理士に立ち会ってもらうことも可能です。この際に、税理士に相続税申告の相談をすることで税理士とコネクションができ、税務調査に立ち会ってもらいやすくもなるでしょう。
それだけではなく、税理士に相続税の相談をすることで、遺産相続後の節税方法や資産運用についてのアドバイスをもらうことも可能です。
まとめ
相続は、相続専門の税理士に依頼することでスムーズに、そして適切に申告をすることが可能です。
相続税の申告・生前対策のご相談なら相続特化の提案型税理士事務所である「アスク税理士事務所」にご相談ください。