遺留分減殺請求とは?遺留分減殺請求が認められない場合についても紹介

遺留分減殺請求について知りたい人に向けて、遺留分減殺請求や遺留分減殺請求が認められない場合について詳しく紹介します。

それでは、見ていきましょう。

遺留分とは?

遺留分とは、相続人が法定相続分以外に受け取ることができる相続財産のことです。

法定相続分とは、遺産を法律上どのように分割するかを決める法定相続人に与えられる相続分のことであり、直系尊属、兄弟姉妹、配偶者などが相続人に含まれます。

一方、遺留分は、法定相続人に与えられる相続分を除いた、残りの相続財産のことです。

遺留分は、遺言で相続人に与えられる場合もあります。

ただし、遺留分は、法定相続人がいる場合に限ります。

すべての相続人が遺棄された場合や、法定相続分で相続財産が分割された場合には、遺留分は存在しません。

遺留分減殺請求とは?

遺留分減殺請求について、裁判所によると以下の通りです。

遺留分とは、一定の相続人のために、相続に際して、法律上取得することを保障されている相続財産の一定の割合のことで、被相続人(亡くなった方)の生前の贈与又は遺贈によっても奪われることのないものです。遺留分減殺請求とは、遺留分を侵害された者が、贈与又は遺贈を受けた者に対し、遺留分侵害の限度で贈与又は遺贈された物件の返還を請求することです。

遺留分減殺による物件返還請求について当事者間で話合いがつかない場合や話合いができない場合には、遺留分権利者は家庭裁判所の調停手続を利用することができます。

なお、遺留分減殺は相手方に対する意思表示をもってすれば足りますが、家庭裁判所の調停を申し立てただけでは、相手方に対する意思表示とはなりませんので、調停の申立てとは別に内容証明郵便等により意思表示を行う必要があります。

この意思表示は、相続開始及び減殺すべき贈与又は遺贈のあったことを知ったときから1年又は相続開始のときから10年を経過したときは、することができなくなります。

調停手続では、当事者双方から事情を聴いたり、必要に応じて資料等を提出してもらったり、遺産について鑑定を行うなどして事情をよく把握したうえで、当事者双方の意向を聴取し、解決案を提示したり、解決のために必要な助言をし、話合いを進めていきます。

遺留分減殺の法的根拠は、民法第1003条および1004条にあります。

民法第1003条によると、相続人が、被相続人が生前に相続人の世話をした場合など、相続分を減殺することができます。

このとき、相続人は、自己の分与を増やすために、遺留分を減らすことができます。

また、民法第1004条では、遺留分減殺請求に関する要件が規定されています。

具体的には、次のような条件が必要とされています。

  • 減殺の理由があること
  • 減殺額が適正であること
  • 請求期間内に請求されたこと

遺留分減殺請求の対象となる相続人は、裁判所によると以下の通りです。

  • 遺留分権利者(直系卑属、直系尊属及び配偶者)
  • 遺留分権利者の承継人(遺留分権利者の相続人、相続分譲受人)

遺留分減殺請求が認められない場合とは?

以下のような場合には遺留分減殺請求が認められないことがあります。

  • 遺留分減殺の範囲を超えた場合:相続人が必要な金額以上の遺留分減殺請求を行った場合には、超過分は認められません。
  • 相続人が悪意を持っている場合:相続人が遺留分減殺請求を行う際に、悪意を持って遺留分を減らそうとしている場合には、請求が認められません。
  • その他の理由:相続人が、法律上の要件を満たしていない場合や、遺留分減殺請求をする期間を過ぎた場合にも、請求は認められません。

以上のような場合には、遺留分減殺請求が認められないことがあります。

相続人は、自己の状況に合わせて遺留分減殺請求を行う必要があります。

遺留分減殺請求の注意点

遺留分減殺請求には、以下のような注意点があります。

  • 時効に注意する
  • 遺留分不足分の補償請求との併用に注意する
  • 適切な根拠を用意する
  • 相手方の主張に注意する
  • 適切なアドバイスを受ける

遺留分減殺請求には、時効があります。「相続が開始したこと」「遺留分が侵害されていること」を知った時から1年です。

時効期間を過ぎると、遺留分減殺請求をすることはできません。

遺留分減殺請求と遺留分不足分の補償請求を同時に行うことはできません。

遺留分不足分の補償請求を行った場合は、その後の遺留分減殺請求が認められることはありません。

遺留分減殺請求を行うには、適切な根拠が必要です。

例えば、相続人が遺留分を受け取ることによって、生活が著しく困窮することが明らかである場合や、相続人が負担すべき義務や負債が存在する場合など、遺留分減殺請求が認められる根拠が必要です。

遺留分減殺請求を行うにあたって、相手方が遺留分を受け取ることによって受ける不利益について主張する場合があります。

その場合、相手方の主張に対して反論できるだけの根拠を用意することが必要です。

遺留分減殺請求には複雑な問題が含まれるため、適切なアドバイスを受けることが必要です。

弁護士や司法書士など、遺留分減殺請求に詳しい専門家の助言を受けることが望ましいです。

遺留分減殺請求で必要な書類

遺留分減殺請求で必要な書類は、裁判所によると以下の通りです。

  1. 申立書及びその写し1通(6の書式及び記載例をご利用ください。)
  2. 標準的な申立添付書類
    ※ 同じ書類は1通で足ります。
    ※ 戸籍等の謄本は、戸籍等の全部事項証明書という名称で呼ばれる場合があります。
    ※ もし、申立前に入手が不可能な戸籍等がある場合は、その戸籍等は申立後に追加提出することでも差し支えありません。
    ※ 審理のために必要な場合は、追加書類の提出をお願いすることがあります。
  3. 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  4. 相続人全員の戸籍謄本
  5. 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  6. 不動産登記事項証明書
  7. 遺言書写し又は遺言書の検認調書謄本の写し

相続人に、被相続人の父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)が含まれている場合は、以下の書類も必要です。

  1. 相続人が父母の場合で、父母の一方が死亡しているときは、その死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  2. 相続人が祖父母、曾祖父母の場合は、他に死亡している直系尊属(ただし、相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る(例:祖母が相続人である場合、祖父と父母)がいらっしゃる場合は、その直系尊属死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

遺留分減殺請求を弁護士に依頼するメリットとは?

遺留分減殺請求を弁護士に依頼するメリットは、以下の通りです。

  • 交渉を有利に進めやすくなる
  • 請求までの時間を短縮できる
  • 遺留分侵害額を正確に計算できる
  • 調停になった場合も対応してもらえる

遺留分減殺請求を弁護士に依頼するメリットの一つに、交渉を有利に進めやすくなることが挙げられます。

遺留分減殺請求を弁護士に依頼することで、相手方にとっては弁護士がついた上で交渉してくるという点で、交渉を有利に進められやすく可能性もあります。

実際に当事者間のみで話し合うだけではなく弁護士を間に入れる事で、弁護士がついていること、そして法的根拠をもとに主張しているということも言えるので、交渉を有利に進めやすくなり、遺留分滅殺請求もスムーズに行える可能性が高いです。

一方で、弁護士がいるからと言って確実に遺留分滅殺請求が認められるわけではないという点については、理解しておきましょう。 

遺留分減殺請求を弁護士に依頼するメリットの一つに、請求までの時間を短縮できることが挙げられます。

遺留分減殺請求を弁護士に依頼することで、弁護士が依頼に変わり様々な交渉を進めてくれます。

それだけではなく、書類上の手続きなども弁護士に代行してもらえますので、スムーズに進みやすく、かつ書類のミスも少ないので結果的に遺留分減殺請求までの時間を短くできるというのも魅力です。

また、弁護士が間に入っているので、第三者の意見をもとに法的根拠をもとにした話し合いをすることができ、建設的な話し合いができるというのも大きなメリットになります。

遺留分減殺請求を弁護士に依頼するメリットの一つに、遺留分侵害額を正確に計算できることが挙げられます。

遺留分減殺請求を行う際には、まず始めにどのくらい自分の遺留分が侵害されているのかを計算する必要があります。

この計算の際に、弁護士が間に入ってくれることで正確な遺留分侵害額を計算することが可能です。

遺留分減殺請求を弁護士に依頼するメリットの一つに、調停になった場合も対応してもらえることが挙げられます。

遺留分減殺請求をしたにもかかわらず、遺留分減殺請求が認められなかった場合は調停を行うことになります。

調停になった場合、遺留分減殺請求を行ってくれた弁護士であれば、遺留分減殺請求を行なった背景なども理解しているので、スムーズに調停に入りやすいというのが大きな特徴です。

また、弁護士とコネクションがない人の場合、どのように弁護士を探すのかすらわからないことも多いでしょう。

その場合であっても、遺留分減殺請求を弁護士に依頼することができれば、そのまま遺留分減殺請求を依頼した弁護士に調停も行なってもらうという流れがスムーズに出来やすいです。 

まとめ

相続は、相続専門の税理士に依頼することでスムーズに、そして適切に申告をすることが可能です。

相続税の申告・生前対策のご相談なら相続特化の提案型税理士事務所である「アスク税理士事務所」にご相談ください。