保険金にかかる税金について知りたい人に向けて、保険金にかかる税金をケースごとに詳しく紹介します。
それでは、見ていきましょう。
保険金に所得税が課税される場合
死亡保険金を一時金で受領した場合
国税庁によると、死亡保険金を一時金で受領した場合には一時所得になります。
一時所得の金額は、その死亡保険金以外に他の一時所得がないとすれば、受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料または掛金の額を差し引き、さらに一時所得の特別控除額50万円(50万円を差し引く前の金額が50万円より少ない場合は、その残額)を差し引いた金額です。
課税の対象になるのは、その金額をさらに2分の1にした金額です。
死亡保険金を年金で受領した場合
国税庁によると、死亡保険金を年金で受領した場合には、公的年金等以外の雑所得になります。
雑所得の金額は、その年に受け取った年金の額から、その金額に対応する払込保険料または掛金の額を差し引いた金額です。
保険金に相続税が課税される場合
国税庁によると、相続税が課税されるのは、上記「死亡保険金の課税関係の表」のように、被保険者と保険料の負担者が同一人の場合です。
受取人が被保険者の相続人であるときは、相続により取得したものとみなされ、相続人以外の者が受取人であるときは遺贈により取得したものとみなされます。
また、死亡保険金を年金で受領する場合には、その年金を受け取る権利に対して相続税が課税されます。
なお、毎年支払を受ける年金(公的年金等以外の年金)に係る所得税については、年金の収入金額を非課税部分と課税部分(年金受給権に相当する部分とそれ以外の部分)に振り分けた上で計算します。
よって、年金を受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます。
※実際に相続税の納税額が生じなかった場合も、上記の方法で計算します。
※平成25年1月1日以後に支払われる生命保険契約等に基づく年金のうち、その年金の支払を受ける人と保険契約者とが異なる契約等で一定のものに基づく年金については、源泉徴収されません。
保険金に贈与税が課税される場合
国税庁によると、贈与税が課税されるのは、被保険者、保険料の負担者および保険金の受取人がすべて異なる場合です。
また、死亡保険金を年金で受領する場合には、その年金を受け取る権利に対して贈与税が課税されます。
なお、毎年支払を受ける年金(公的年金等以外の年金)に係る所得税については、年金の収入金額を非課税部分と課税部分(年金受給権に相当する部分とそれ以外の部分)に振り分けた上で計算します。
よって、年金を受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます。
※実際に贈与税の納税額が生じなかった場合も、上記の方法で計算します。
※平成25年1月1日以後に支払われる生命保険契約等に基づく年金のうち、その年金の支払を受ける人と保険契約者とが異なる契約等で一定のものに基づく年金については、源泉徴収されません。
生命保険の保険金に税金はかかる?
結論から言うと、生命保険の保険金に税金がかかるかどうかは受け取っている保険金の種類によって異なります。
◆税金がかかるケース
- 死亡保険金
- 満期保険金
- 解約返戻金
- 個人年金保険
- お祝い金
◆税金がかからないケース
- 医療保険
- がん保険
- 介護保険
- 高度障害保険金
- リビングニーズ
保険金の相続税の課税金額の計算方法
保険金の相続税の課税金額の計算方法は、「500万円×法定相続人の人数」が非課税枠になるので、「500万円×法定相続人の人数」を超えた分が相続税の課税対象となります。
ただし、住宅ローン等などの債務控除がある場合は、保険金から債務控除を差し引いた上で、「500万円×法定相続人の人数」を超えた分が課税対象です。
また、相続税の場合は控除等も設けられています。
配偶者の税額軽減
配偶者の税額軽減の概要は、国税庁によると以下の通りです。
配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
※この制度の対象となる財産には、隠蔽または仮装されていた財産は含まれません。
- 1億6千万円
- 配偶者の法定相続分相当額
この配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっています。
したがって、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。
ただし、相続税の申告書または更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、税額軽減の対象になります。
なお、相続税の申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたときも、税額軽減の対象になります。
未成年者控除
未成年者控除の概要は、国税庁によると以下の通りです。
未成年者控除が受けられるのは次のすべてに当てはまる人です。
- 相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人(一時居住者で、かつ、被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)、または②相続や遺贈により財産を取得したときに日本国内に住所がない人でも次のいずれかに当てはまる人
a.日本国籍を有しており、かつ、その人が相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがある人
b.日本国籍を有しており、かつ、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがない人(被相続人が、外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)
c.日本国籍を有していない人(被相続人が、外国人被相続人、非居住被相続人または非居住外国人である場合を除きます。) - 相続や遺贈で財産を取得したときに18歳(注)未満である人
※「18歳」とあるのは、令和4年3月31日以前の相続または遺贈については「20歳」となります。 - 相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること。
また、未成年者控除の額は以下の通りです。
未成年者控除の額は、その未成年者が満18歳(注1)になるまでの年数1年につき10万円で計算した額です。
また、年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。
例えば、未成年者の年齢が15歳9か月の場合は、9か月を切り捨て15歳で計算します。この場合、18歳までの年数は3年になります。したがって、未成年者控除額は、10万円×3年で30万円となります。
なお、未成年者控除額が、その未成年者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れないことがあります。この場合は、その引き切れない部分の金額をその未成年者の扶養義務者の相続税額から差し引きます。
また、その未成年者が今回の相続以前の相続においても未成年者控除を受けているときは、控除額が制限されることがあります。
障害者控除
未成年者控除の概要は、国税庁によると以下の通りです。
障害者控除の対象となるのは、次のいずれかに当てはまる人です。
- 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人(この人は、特別障害者になります。)
- 児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、知的障害者と判定された人(このうち重度の知的障害者と判定された人は、特別障害者になります。)
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人(このうち障害等級が1級と記載されている人は、特別障害者になります。)
- 身体障害者福祉法の規定により交付を受けた身体障害者手帳に、身体上の障害がある人として記載されている人(このうち障害の程度が1級または2級と記載されている人は、特別障害者になります。)
- 精神または身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、その障害の程度が(1)、(2)または(4)に掲げる人に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人(このうち特別障害者に準ずるものとして市町村長、特別区区長や福祉事務所長の認定を受けている人は特別障害者になります。)
- 戦傷病者特別援護法の規定により戦傷病者手帳の交付を受けている人(このうち障害の程度が恩給法に定める特別項症から第3項症までの人は、特別障害者となります。)
- 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定により厚生労働大臣の認定を受けている人(この人は、特別障害者となります。)
- その年の12月31日の現況で引き続き6か月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする(介護を受けなければ自ら排便等をすることができない程度の状態にあると認められる)人(この人は、特別障害者となります。)
相次相続控除
相次相続控除の概要は、国税庁によると以下の通りです。
相続開始前10年以内に被相続人が相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得し相続税が課されていた場合には、その被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人の相続税額から、一定の金額を控除します。
相次相続控除が受けられるのは次のすべてに当てはまる人です。
- 被相続人の相続人であること:この制度の適用対象者は、相続人に限定されていますので、相続の放棄をした人および相続権を失った人がたとえ遺贈により財産を取得しても、この制度は適用されません。
- その相続の開始前10年以内に開始した相続により被相続人が財産を取得していること。
- その相続の開始前10年以内に開始した相続により取得した財産について、被相続人に対し相続税が課税されたこと。
死亡保険金にかかる税金を申告しなかった場合は?
死亡保険金にかかる税金を申告しなかった場合は、本来納めるべき以上の税金を納める必要が発生します。
具体的には、以下のような税金が課されます。
- 延滞税
- 無申告加算税
- 重加算税
- 過少申告加算税
死亡保険金にかかる税金を申告しなかった理由が、故意であるかどうかは考慮されないので、故意でなくても死亡保険金にかかる税金を納めないとペナルティの対象になることは認識しておきましょう。
まとめ
相続は、相続専門の税理士に依頼することでスムーズに、そして適切に申告をすることが可能です。
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