保険金の相続税の仕組みや申告方法を知りたい人に向けて、保険金の相続税の仕組みや申告方法を紹介します。
それでは、見ていきましょう。
保険金の相続税の基本的な仕組み
保険金は、相続財産に含まれますので、相続税の対象となります。
保険金が相続人に直接支払われる場合、相続人はその金額に対して相続税を納めることが必要です。
ただし、相続人が配偶者や子供である場合、相続税法においては控除の対象となる場合があります。
また、保険金が被保険者の遺産に加算され、遺産分割の際に相続人に分割される場合、その金額は相続財産として課税対象となります。
ただし、相続税法においては、被相続人が死亡する前に保険金を受け取る契約を結んでいた場合、その金額は相続財産から除外される場合があります。
相続税は、相続人ごとに課税され、相続人が複数いる場合、相続人ごとの相続分に応じて課税されます。
保険金の相続税の計算方法と申告の流れ
保険金の相続税の計算方法は、以下の通りです。
- 相続財産の評価額を算定する。
- 相続人ごとに相続分を算定する。
- 相続人ごとの相続分に応じた相続税の税率を適用する。
- 相続人ごとに控除額を計算し、相続税の税額から差し引く。
- 相続税の合計額を算出する。
相続税の申告は、相続人が自主的に行う必要があります。
相続人は、故人の死亡から10ヶ月以内に相続税の申告書を提出する必要があります。
また、相続人が故人の遺産を受け取った時点で、相続税の申告と納税を行う必要があります。
相続税の申告書には、相続財産の詳細や相続人ごとの相続分、控除額などが記載され、申告書は、税務署に提出され、税務署による審査後に相続税の納税通知書が送られます。
その後、相続人は、相続税の納税期限までに納税することが必要です。
相続時に保険金に課税される税金の種類について
所得税が課税される場合
国税庁によると以下のように記載されています。
所得税が課税されるのは、保険料の負担者と保険金受取人とが同一人の場合です。
この場合の死亡保険金は、受取の方法により、一時所得または雑所得として課税されます。
死亡保険金を一時金で受領した場合
死亡保険金を一時金で受領した場合には、一時所得になります。
一時所得の金額は、その死亡保険金以外に他の一時所得がないとすれば、受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料または掛金の額を差し引き、さらに一時所得の特別控除額50万円(50万円を差し引く前の金額が50万円より少ない場合は、その残額)を差し引いた金額です。
課税の対象になるのは、その金額をさらに2分の1にした金額です。
死亡保険金を年金で受領した場合
死亡保険金を年金で受領した場合には、公的年金等以外の雑所得になります。
雑所得の金額は、その年中に受け取った年金の額から、その金額に対応する払込保険料または掛金の額を差し引いた金額です。
なお、年金を受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます。
相続税が課税される場合
国税庁によると以下のように記載されています。
相続税が課税されるのは、被保険者と保険料の負担者が同一人の場合です。
受取人が被保険者の相続人であるときは、相続により取得したものとみなされ、相続人以外の者が受取人であるときは遺贈により取得したものとみなされます。
また、死亡保険金を年金で受領する場合には、その年金を受け取る権利に対して相続税が課税されます。
なお、毎年支払を受ける年金(公的年金等以外の年金)に係る所得税については、年金の収入金額を非課税部分と課税部分(年金受給権に相当する部分とそれ以外の部分)に振り分けた上で計算します。
おって、年金を受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます(注2)。
贈与税が課税される場合
国税庁によると以下のように記載されています。
贈与税が課税されるのは、被保険者、保険料の負担者および保険金の受取人がすべて異なる場合です。
また、死亡保険金を年金で受領する場合には、その年金を受け取る権利に対して贈与税が課税されます。
なお、毎年支払を受ける年金(公的年金等以外の年金)に係る所得税については、年金の収入金額を非課税部分と課税部分(年金受給権に相当する部分とそれ以外の部分)に振り分けた上で計算します(注1)。
おって、年金を受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます(注2)。
(注1) 実際に贈与税の納税額が生じなかった場合も、上記の方法で計算します。
(注2) 平成25年1月1日以後に支払われる生命保険契約等に基づく年金のうち、その年金の支払を受ける人と保険契約者とが異なる契約等で一定のものに基づく年金については、源泉徴収されません。
保険金の相続税の非課税枠
保険金の相続税の非課税枠について、国税庁は以下のように記載しています。
被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部または一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となります。
この死亡保険金の受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません。)である場合、すべての相続人が受け取った保険金の合計額が次の算式によって計算した非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になります。
【500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額】
なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金には、非課税の適用はありません。
生命保険の受取人を指定することで相続税が回避できる?
生命保険の受取人を指定することで、相続税の対象となる可能性を回避することができます。
生命保険契約の受取人には、被保険者が亡くなった場合に保険金を受け取る権利があります。
受取人が被保険者本人以外の場合、保険金は相続財産に含まれず、相続税の対象となりません。
そのため、生命保険契約の受取人には、被保険者の配偶者や子供など、相続人に指定することが一般的です。
ただし、受取人に指定した場合でも、以下のような例外があります。
- 受取人に指定した場合でも、契約者が被保険者本人である場合、保険金は相続財産に含まれます。
- 相続人が生命保険契約の受取人である場合、相続財産に含まれる可能性があります。
- 相続人の権利を侵害するような受取人指定がされている場合、相続人が受取人指定の無効を主張することができます。
したがって、生命保険契約の受取人を指定することで相続税を回避することは一般的ですが、契約内容や相続人の権利などについては、個別の契約内容を確認する必要があります。
保険金相続税に関する注意点と遵守すべき義務
保険金相続税に関する注意点と遵守すべき義務は、以下の通りです。
- 生命保険金は相続財産として扱われるため相続税の対象
- 保険金相続税の納付義務は保険金を受け取った受取人が負う
- 保険金相続税の申告書の提出期限には注意が必要
生命保険金は相続財産として扱われるため相続税の対象
生命保険契約によって支払われる保険金は、一般的には相続財産に含まれます。
そして、相続財産に含まれるということは、相続税の対象となる可能性があるということです。
相続税とは、故人の相続財産から算出される税金のことであり、相続人が故人から受け継いだ財産に課される税金です。
相続税は、相続財産の評価額に応じた税率が適用され、相続人ごとに相続分を算定して課税されます。
生命保険契約によって支払われる保険金は、相続財産の評価額に含まれます。
ただし、受取人に指定した場合は相続財産に含まれないため、相続税の対象となりません。
一方で、受取人に指定せずに契約者本人が受取人であった場合、保険金は相続財産に含まれるため、相続税の対象となります。
保険金の相続税の納付義務は保険金を受け取った受取人が負う
相続税法によれば、相続税の納付義務者は、相続人や贈与を受けた者、そして被相続人の遺産を受け取る人です。
したがって、生命保険契約による保険金の受取人が相続人である場合、相続税の納付義務者となります。
生命保険契約による保険金は、相続財産の評価額に含まれるため、相続税の対象となります。
保険金の受取人が相続人である場合、相続税の納付義務が生じます。
また、生命保険契約による保険金は、受取人に直接支払われるため、保険金を受け取った受取人が相続税の納付義務を負うことになります。
そのため、受取人は、相続税の申告と納付を行うことが必要です。
保険金の相続税の申告書の提出期限には注意が必要
国税庁によると、保険金の相続税申告書は被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内に行うことになっています。
例えば、1月6日に死亡した場合にはその年の11月6日が申告期限になります。
なお、この期限が土曜日、日曜日、祝日などに当たるときは、これらの日の翌日が期限となります。
申告期限までに申告をしなかった場合や、実際に取得した財産の額より少ない額で申告をした場合には、本来の税金のほかに加算税や延滞税がかかる場合がありますのでご注意ください。
相続税の申告書の提出先は、被相続人の死亡時における住所が日本国内にある場合は、被相続人の住所地を所轄する税務署です。
財産を取得した人の住所地を所轄する税務署ではありません。
まとめ
相続は、相続専門の税理士に依頼することでスムーズに、そして適切に申告をすることが可能です。
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