不動産相続の流れについて知りたい人に向けて、不動産相続の流れや相続登記の義務化について紹介します。
それでは、見ていきましょう。
不動産相続の流れとは?
日本における不動産相続の一般的な流れについては、以下の通りです。
- 遺言書の確認:相続人が遺言書を作成している場合、その遺言書を確認します。
遺言書がある場合は、その内容に従って相続財産が分割されます。 - 相続人の確定させる:相続人が複数いる場合、相続人の身分を確定させます。
相続人は、法定相続人と遺言によって指定された相続人の両方がいます。
法定相続人は、配偶者、子、父母などの順序に定められています。 - 相続不動産の特定:相続財産の中で、不動産を特定します。
特定の方法は、登記簿や建物図面などを確認することが一般的です。 - 遺産分割協議書の作成:相続財産の分割方法について、相続人が合意した場合は、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書は、公正証書や弁護士による作成が望ましいです。 - 相続財産の名義変更:相続財産の名義変更手続きを行います。
不動産の場合、所有権移転登記を行います。 - 相続税の申告・納付:相続税が発生した場合は、相続税の申告・納付手続きを行います。
不動産の場合、不動産評価額に基づいて相続税が課されます。
相続税については、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
なお、相続の流れについては、個別の事情によって異なる場合があります。
また、不動産相続には、様々な問題が伴うため、専門家のアドバイスを受けることが望ましいです。
相続登記は義務化された?
相続登記は、義務化されることになっています。
法務省によると不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることを義務付けるとされています。
正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処することとする。
【相続人がすべき登記申請の内容】
◆3年以内に遺産分割が成立しなかったケース
▶ まずは、3年以内に相続人申告登記の申出(法定相続分での相続登記の申請でも可)を行う。
▶ その後に遺産分割が成立したら、遺産分割成立日から3年以内に、その内容を踏まえた相続登記の申請を行う。
▶ その後に遺産分割が成立しなければ、それ以上の登記申請は義務付けられない。
◆3年以内に遺産分割が成立したケース
▶ 3年以内に遺産分割の内容を踏まえた相続登記の申請が可能であれば、これを行えば足りる。
▶ それが難しい場合等においては、3年以内に相続人申告登記の申出(法定相続分での相続登記の申請でも可)を行った上で、遺産分割成立日(死亡日ではない)から3年以内に、その内容を踏まえた相続登記の申請を行う。
◆遺言書があったケース
▶ 遺言(特定財産承継遺言又は遺贈)によって不動産の所有権を取得した相続人が取得を知った日から3年以内に遺言の内容を踏まえた登記の申請(相続人申告登記の申告でも可)を行う。
また、相続登記の義務化に伴い相続土地国庫帰属制度も実施されます。
相続土地国庫帰属制度の概要は以下の通りです。
- 相続等によって、土地の所有権又は共有持分を取得した者等は、法務大臣に対して、その土地の所有権を国庫に帰属させることについて、承認を申請することができます。
- 法務大臣は、承認の審査をするために必要と判断したときは、その職員に調査をさせることができます。
- 法務大臣は、承認申請された土地が、通常の管理や処分をするよりも多くの費用や労力がかかる土地として法令に規定されたものに当たらないと判断したときは、土地の所有権の国庫への帰属について承認をします。
- 土地の所有権の国庫への帰属の承認を受けた方が、一定の負担金を国に納付した時点で、土地の所有権が国庫に帰属します。
ただし、引き取ることができない土地も設定されており、具体的には以下のような土地は引き取ってもらえません。
- 建物がある土地
- 担保権や使用収益権が設定されている土地
- 他人の利用が予定されている土地
- 土壌汚染されている土地
- 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
- 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
- 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
- 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
- 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
- その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
不動産相続時の注意点とは?
不動産相続時の注意点は、以下の2つです。
- 相続人全員の合意が必要になる
- 相続手法次第ではマイナスになることがある
相続人全員の合意が必要になる
不動産相続時の注意点の一つに、相続人全員の合意が必要になるということが挙げられます。
不動産に限らず遺産を相続する際には、相続人全員の同意が必要です。
特に不動産の場合、どのように相続をするかで揉めるケースも考えられます。
例えば、ある一人の相続人は不動産をそのまま相続したいにも関わらず、他の相続人は現金化して現金で相続をしたいと思っている場合があります。
この場合、相続人全員の合意が得られない可能性も高く、結果的に不動産相続が長引いてしまう可能性も考えられます。
相続手法次第ではマイナスになることがある
不動産相続時の注意点の一つに、相続方法次第ではマイナスになることが考えられるということが挙げられます。
不動産相続では、不動産をそのまま現物で相続する場合と現金化して相続する場合が考えられます。
現金化して相続する場合は、その時の時価で売買することになります。不動産の場合、時期や需要によって売買価格が大きく変わるのも事実です。
例えば、6千万円で購入した家であっても時期によっては3,000万円でしか売れない可能性も考えられるでしょう。
この場合、現金化をすることで現物で所有するよりもマイナスになってしまう可能性があります。
不動産相続の方法とは?
不動産相続の方法には、以下のものがあります。
- 現物分割
- 代償分割
- 換価分割
- 共有分割
現物分割
現物分割とは、相続財産を物品ごとに相続人間で分割する方法です。
不動産や株式などの有価証券を実際の物品として分割することができます。
相続人の間で物品を所有することができるため、財産の管理や売却などが簡単になるという利点があります。
代償分割
代償分割は、相続財産を物品ごとに相続人間で分割する際に、各相続人が代償金を支払いながら物品を分割する方法です。
不動産を相続する場合、一定の価値をもつ土地や建物を相続人間で分割する際に、各相続人が代償金を支払いながら分割することができます。
換価分割
換価分割とは、相続財産を物品ごとに相続人間で分割する際に、一部の相続人が現金などの代償を支払って、他の相続人が現物を受け取る方法です。
不動産を相続する場合、土地を現金で換価し、その代金を一部の相続人に支払い、残りの相続人に建物を分割することができます。
共有分割
共有分割とは、相続財産を所有するすべての相続人が共同で所有権を持ち、その財産を共有する方法です。
この方法では、相続人間で財産を管理する必要があるため、決定の難しさや財産管理にかかる費用がかかるというデメリットがあります。
ただし、財産の売却に関する合意が得られない場合でも、相続人全員の合意が必要であるため、財産を守ることができます。
不動産相続は専門家に相談した方がいい理由とは?
不動産相続は専門家に相談した方がいい理由は、以下の3つです。
- 個人では不動産評価をしにくい
- 相続税の納付額を抑えることができる
- 手続きを代行してもらえる
個人では不動産評価をしにくい
不動産相続は専門家に相談した方がいい理由の一つに、個人では不動産評価がしにくいことが挙げられます。
不動産評価とは、不動産自体にどのくらいの価値があるかを判断することです。
不動産評価には路線価方式、倍率方式など決められた方式があります。
これらの方式を使って不動産評価をするのはもちろんのこと、立地などを考慮した上で不動産そのものの価値も判断する必要があります。
例えば、再建築不可の土地に建てられている不動産の場合は、一般的な不動産と比較して流通性が落ちると判断されます。
このような背景から減額要素として評価額から減額されることがあります。
しかし、個人の場合はこのような減額要素を知らないことが多く、かつ不動産評価を個人ですることは難しく、実際には個人ではできないことも多いです。
相続税の納付額を抑えることができる
不動産相続は専門家に相談した方がいい理由の一つに、相続税の納付額を抑えられる可能性があることが挙げられます。
不動産相続を専門家に相談することで、特例や控除などを使って不動産の納税額を抑える方法を提案してくれます。
このような方法を提案してくれることで結果的に支払うべきお金が少なくなるというケースも考えられるでしょう。
たとえば、税理士に20万円を支払っても圧縮できた相続税額が50万円であれば、結果的に相続人とっては30万円のプラスということになります。
このように相続税の相談を税理士などの専門家にすることで、専門家から専門的なアドバイスをもらうことができ、金銭的なメリットを享受できる可能性もあります。
手続きを代行してもらえる
不動産相続は専門家に相談した方がいい理由の一つに、手続きを代行してもらえることが挙げられます。
不動産相続を専門家に相談することで専門家が代行して手続きをしてくれます。
例えば、司法書士であれば相続登記を代行してもらうことができます。
また、相続人の間で揉めている場合には、弁護士が間に入ってくる仲介をしてくれることもあるでしょう。
それだけではなく税理士に依頼すれば税理士が代わりに相続税申告まで行なってくれます。
このように専門家に依頼することで相談だけではなく、その後の手続きも代行してもらえるというのは大きな魅力です。
まとめ
相続は、相続専門の税理士に依頼することでスムーズに、そして適切に申告をすることが可能です。
相続税の申告・生前対策のご相談なら相続特化の提案型税理士事務所である「アスク税理士事務所」にご相談ください。