相続税が払えないときの6つの解決策
2021年07月29日
遺産分割の方法を再検討する
- 遺産の分け方で相続税額は大きく変わることがある
- 次の相続のことも考えて再検討する
遺産の分け方を決めたものの、相続税が高くて払えない。
そんな場合は遺産の分け方をもう一度検討してみましょう。
遺産の分け方で相続税を軽減させる代表的な方法として「配偶者の税額軽減」という制度の活用があります。(配偶者控除とも呼ばれています)
簡単に言うと、配偶者が相続した財産が、最低でも1億6,000万円まで相続税がかからないという制度です。
つまり、配偶者がたくさん相続することによって、相続税を押さえることができます。
ただし、次の相続、つまり配偶者が亡くなったとき(二次相続)の相続税は割高になってしまうというデメリットがあります。
配偶者がもともと持っている財産で高く売却できそうなものがある場合や、配偶者が亡くなるまでの間に十分な相続税対策をすることで、二次相続の納税が問題なくできるかどうか、税理士に相談してシミュレーションしてもらうと良いでしょう。
つまり、配偶者の税額軽減を利用して相続税を下げる方法は、二次相続のシミュレーションが必須となります。
遺産を売却して納税
納期限までに売却する場合
- 売却する遺産を、誰が相続するのかが決まっていることが前提(共有でもOK)
- 死亡後10か月以内に自宅を売却すると税額が激増してしまう可能性!
- アパートや貸駐車場などの10か月以内の売却も要注意!
亡くなった方の財産に現預金が少なく、相続税が払えない場合は不動産を売却できないか検討しましょう。
※自宅やアパート、貸し駐車場などは、売却するタイミングで税額が激増するので要注意!
不動産を売却する場合、
自宅やアパート、貸し駐車場については、相続税の申告期限(死亡後10か月以内)までに売却すると、税額が激増してしまう場合があります。
小規模宅地の特例と言って、一定の要件を満たした自宅は評価が80%減額、アパートや貸駐車場などについては50%減額できる特例です。
この特例を使う要件のひとつに「継続保有要件」というものがあります。
この要件を簡単に説明すると、
「亡くなった日から10か月間は売却してはいけません」
という趣旨になっています。
例えば、遺産の中に5,000万円の自宅土地があったとします。
小規模宅地の特例が適用されると
5,000万円→1,000万円(4,000万円減額!)
の評価として相続税が計算されます。
税率が40%だと仮定すると、ざっくり1,600万円の税金が減額されているわけです。
しかし、10か月以内に自宅土地を売却する契約をしてしまった場合は、
税額が1,600万円も増えてしまうことになってしまいます!
ただし例外があります。
亡くなった方の配偶者が自宅土地を相続する場合は、たとえ10か月以内に売却しても小規模宅地の特例の適用は継続することができます。
納期限後に売却する場合
- 現金化するまで納税を猶予する「換価の猶予」の申請をする
相続税を納税するために、相続した不動産の売却を予定しているものの、現金化するまで時間がかかってしまう場合、「換価の猶予」という制度を利用することができます。
「換価の猶予」とは、本来は「生活の維持のために税務署の差押えを猶予する」制度です。
延滞税というペナルティはついてしまうものの、最長で1年間、納税を猶予することができます。さらに、1年経過しても納税できない場合は、さらに1年間、追加で延長を受けることができます。
換価の猶予が認められる要件を満たし、納期限から6か月以内(亡くなった日から16か月以内)に申請書を提出しなければなりません。
換価の猶予は、本来の払うべき税額に加えて、延滞税というペナルティも追加で払わなければなりません。
また、手続きや計算を間違えると「換価の猶予」が認められず、大きなペナルティが課されることもあります。
換価の猶予の申請の経験のある税理士に必ず相談することをおすすめします。
分割払いで納税【延納】
- 相続税を最大20年の分割払いで納税することができる
- 申請にはいくつもの条件がある
- 亡くなってからなるべく早く税理士に相談必須
相続税の納税は、原則として現金で一括払いすることが原則です。
ただし、「どうしても払えないような人」には、最大20年間の分割払いが認められています。
これを「延納」といいます。
延納を利用する場合は、「どうしても払えない人」にあてはまるかどうかを説明する資料を税務署に対して提出します。
具体的には、相続する人の現預金の残高、相続する人の生活費の状況、1年以内の臨時的な収入や支出などを整理して申請します。
また、延納の申請には、相続税の分割払いを払い終えるまでの間、不動産などを担保として提供しなければなりません。
もろもろの書類を用意したからといって「延納」が必ず認められるわけではなく、提出後も税務署から修正の指示や追加の書類を求められることがあります。
これらの手続きを経て、ようやく「延納」が認められるのです。
このように、延納が認められるまでには多大な時間がかかります。
相続税が高くなる可能性がある、払えない可能性がある、と感じている方は、
できるだけ早く税理士に延納の相談をしないと、間に合わなくなってしまうこともあるので注意してください。
モノで納税【物納】
- 相続税を不動産などのモノで納納することができる
- 申請にはいくつもの条件がある
- 亡くなってからなるべく早く税理士に相談必須(できれば亡くなった直後)
先程、【延納】でもお話ししたように、相続税は原則として現金で一括払いすることが原則です。
そして、「どうしても払えない人」は延納による最大20年の分割払いが認められています。
しかし、「20年の分割払いをしても払えない人」については特別に「モノで納税すること」が認められています。
これを物納と言います。
なお、この「モノ」とは、相続した財産でなければなりません。
「モノ」は、国債や株式なども認められていますが、不動産、中でも「底地」を物納に提供する方が多いです。
一般的に、相続税を計算するうえでの不動産の評価額は、売買する時価よりも低くなります。しかし、底地の場合は買い手が見つからない場合があります。そのため、物納で底地を提供する方が多いのです。
物納の手続きは、かなりの時間を覚悟してください。
物納を認めてもらうためには、延納を申請するときと同様の書類に加えて、現金に変わって納付する「モノ」の状況を事細かに説明しなければなりません。
不動産の場合は、税理士だけでなく、物納に詳しい不動産会社や司法書士、不動産鑑定士と連携しながら進めていきます。
また、この物納の審査は延納の審査よりも厳しく、物納が認められないケースもあります。
物納が却下された場合にどうするかという対策も含めて相談していく必要があります。
したがって、物納を検討される場合は、できればお亡くなりになってすぐに税理士に相談して、時間をかけて進めていくことをおすすめします。
「相続に強い税理士」として営業している税理士でも、物納を手掛けた経験のある税理士はかなり少数です。
相談される際は、物納の経験があるかどうかも聞いておくと良いでしょう。
銀行からお金を借りて納税
- 担保が必要になるケースが多い
- 金利が高く、返済までの期間が極端に短くなるケースが多い
相続税の納税資金を金融機関に借りるという手段もあります。
しかし、実務上はこの手段を選択される方は意外と多くありません。
納税資金のために借入を行う場合、金利が高く、返済までの期間が短く設定されてしまうことが多いためです。
金融機関に借りるのであれば、「延納」などを検討する。という選択をされる方が多いです。
遺産分割がまとまらず、口座の凍結されているときは・・・
- 納税資金だけ遺産分割をまとめる
- 払い出し請求することで、口座からお金を下ろせる
- 払い出し請求すると相続放棄ができなくなるので注意
遺族(相続人)間で遺産の分け方がまとまらないと、亡くなった方の金融機関の口座は凍結されたままになってしまいます。
相続税は亡くなってから10か月以内に納税しなければなりませんので、税務署は話合いを待ってはくれません。
亡くなってから10か月経っても話合いがまとまらなさそうな場合には、いったん法定相続分に相続したものとみなして納税しなければなりません。
しかし、遺産の分け方が決まっていない以上、口座は凍結されたままになってしまいます。
ご自身に現預金が無い場合は、相続税が払えない事態に陥ってしまいます。
そのような場合は大きく2つの対策を取ると良いでしょう。
① 話合いで、相続税の納税資金の部分だけ遺産の分け方を決めてしまう
納税するために、とりあえず相続税の分だけ遺産の分け方を決めて、「遺産分割協議書」を作成し、凍結を解除する。
② 仮払い制度を利用する
家庭裁判所もしくは金融機関に申し立てることで、凍結された口座から最大150万円までの預金を引き出すことができます。
これを仮払い制度といいます。
しかし、この制度を利用してしまうと、相続放棄ができなくなってしまいます。
「相続税がたくさん必要だとおもっていたが、実は巨額の借金があった」というような場合には、相続放棄ができなくなってしまいますので、その借金を背負うはめになってしまう可能性もあります。
まとめ
相続税が払えない場合の対策をご紹介しました。
相続税が高額になりそうだと感じている方や、売却したくない財産を相続するような方は、できるだけ早いタイミングで相続に強い税理士に相談してください。
対策の方法によっては、かなりの時間が必要となるものもありますので、早く相談すればするほど選択肢が広がります。
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